中国で年に一回行われているロボットコンテストRobomaster。
前回の記事に書いたBloombergのHellow Worldシリーズにて取り上げられている。
RobomasterはDJIという深センにあるドローンメーカーが主催で行われているロボットコンテストである。とにかくかっこいい。
DJIは空撮で使うドローンを中心に優れた技術を持つメーカーである。
ドローン戦争で頭一つ飛び抜けた存在になっており、製品を出すごとに大きなイノベーションを取り入れ、とても魅力的な商品を毎年のように創出している。
MAVICシリーズは革新的に小さく高画質カメラを含んでいる。MAVIC Airシリーズも魅力的だ。
また、OSMOシリーズもとても魅力的である。ジンバル付きのハンディカメラではダントツに小さく携帯性に優れておりGo Proの領域までも奪い去ろうとしている。
Robomasterは深センで行われている。
会場に集まった学生達は寝る時間を惜しんで大会中にロボの作成を行う。
雑魚寝状態でとても綺麗なものとは言えないがギークが試合直前まで開発に打ち込む姿は熱狂を映し出している。
レポーターにインタビューされた女学生は寝るのは平均3-4時間のみでエナジードリンクを飲んで作業に打ち込んでいるという。2週間会場から離れずに作業をする。
ここまで打ち込むには理由があり、結果を残すとDJIで働くチャンスがあり、賞金を手にすることができる。
2006年にDJIは学生であるFrank Wangにより設立された。
DJIがRobomasterを開催する理由は、エンジニアがクールであるというカルチャーを作り出したいというためだそうで、Robomasterのリアリティーショーやドキュメンタリー、アニメを作り出し、かつ会場は注目されるように華やかな演出をしている。
Robomasterに憧れた若き才能達がテック業界に興味を持ちさらに新しくイノベーションを起こすようなエコシステムの形成を目指している。
どこで読んだのか忘れてしまったのだが、実は似たようなことがシリコンバレーでも行われていた。このような大会が開催されていたというわけではなく、エンジニアはギークでオタクという印象から、クールであるという文化を作り出すために、エンジニアがかっこいいという風潮を作り出した、と読んだ覚えがある。
日本で言うところの野球に良いスポーツ人材が集まったり、ジャマイカで短距離走に良い人材が集まるのと似たようなサイクルなように思う。甲子園がテレビに移しだされ、プロ野球のニュースは連日放送される。仲間とともに泥にまみれ汗をかき、努力して掴む栄光に一度は憧れたことがあるのではないだろうか。
多くの子供にエンジニアはかっこよくてクールであるという意識を持ってもらい、より多くの才能が集まるようにしたいということである。
会場はロボコンとかけ離れた華やかさ、規模である。
優勝チームは賞金を獲得でき、DJIで働く道もあるようである。
こういった試みは非常に良い循環を生んでいるように思う。
2018年の大会には福岡の学生連合チームが出場しており、こういった大会に日本チームが参加している点はとても驚いた。
大きなテック業界の渦はシリコンバレーから深センに移りつつあるのかもしれない。
特に世界の工場として培ったハードウェア技術から、驚くべき柔軟性を持つMarket-drivenによる生き残る技術競争により世界で最も優れた技術を持つようになりつつある。
もはやCopycatの領域はとうに過ぎており、DJIのように業界トップ企業が次々と出てくるかもしれない。
アジアがテックの覇権を取る日はそう遠くは無いかもしれない。