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海外でデザインを仕事にする | 世界で活躍する日本人たち | 2021年書評#2

社会人になるまで超ドメスティックの世界に生きてきましたが、

新卒の会社に入った頃に少し違和感を感じていました。

一括大量採用された数百人で毎朝ラジオ体操をし大講義室で会社の歴史を勉強する。

グローバル企業と呼ばれていましたが、入ってみたら日本語しか使わない。

グローバルと言われていた理由は海外に日本人が支配する工場を建て

現地の安い労働力を求めた低コスト化への対応をしていたからでした。

そんな中で次第に他の視点があるのではと思い英語を勉強を始めた後、外資系企業へと転職しました。

 

その中で入ることはなかったもののIDEOという会社がとても気になっており、

IDEO出身者が紹介されるまとまった本がなかった時に見つけた本が今回の本になります。

世界で活躍する日本人たち

僕の人生で海外で仕事をする、外国人と仕事をするなんて意識することは想像もしていなかったです。

本書で紹介されているIDEO出身の鈴木元さんも境遇として大きく変わらないと知りました。

パナソニックに入社しプロダクトデザインとした後にイギリスへ留学しその後に縁がありIDEOインターン、入社します。

IDEOはデザインコンサルファームであり、多様性をとても尊重し様々な人種、バックグラウンドのメンバーが集まることでシナジーを発揮する仕事をしています。

入社するのはもちろん難しいのですが、入ってからはとても理想的な仕事環境であったようです。

鈴木元さんの場合、言葉でよりもものづくりで会話するといったような日本人の職人気質という側面を活かした働き方をされていたようです。

今だからわかるのですが、日本人の仕事はとても丁寧で緻密です。一方でアメリカ人は比較的合理的にスピード感を持って勇気ある判断をする印象ですが、その中に日本人の感覚はとても重要だと自分の経験からも感じます。

言葉で伝えきれないという足かせを利点に変え、相乗効果を発揮する。

もっと自由でいいんだと言う感覚が本書からも理解できました。

それぞれの日本人にあるドラマ

本書には数多くの海外で活躍する日本人の成り行きが書かれています。

それぞれに本当に多くのドラマ、紆余曲折がありとてもおもしろかったです。

テキスタイルデザインナーの森山茜さん、途上国のファボラボで活躍する青木翔平さんや徳島秦さん、デザイナーの福定良佑さん、シリコンバレーのアートディレクターとして活躍する川島高さん、その他の方のストーリーもとてもおもしろいものばかりでした。

海外で働くなんて、エリートで優等生みたいな人なのかな…なんて昔思っていたのですが、本書を見る限り、とても優等生というよりは、日々の仕事をしていく中で自然と興味が海外に移り、パッションを持って突き進んだ結果海外で働くという境地にたどり着いたような印象でした。

情熱を持って生きること

社会人となって日々同じことを繰り返していると、いつの間にか情熱が薄れていくような感覚に苛まれます。

新しい物事にふれること、美しい物事に心動かされること、感動し涙を流すこと、年齢を重ね経験を得るということと引き換えに感情的になる場面が減っているように感じます。

なにかに夢中になり寝るのをおしんで没頭するなんて、明日の仕事を考えると中々できなかった自分が居ました。

そんな中で本書を読むと、日々の苦労の中にも没頭する物事に出会い突き進んでいく。

海外の慣れない生活や仕事の成約もはねのけながら結果を出していく物語に勇気を貰う人は多いのではないでしょうか。

さいごに、どんな人におすすめか

海外で働くということについて、様々な人の物語が書かれている本書はとても勇気を貰える内容になっていると思います。

日本で働くことに疲れたな、日々に変化が欲しいな、など思っている人にとってはとても良い本と思います。

海外の文化的側面を理解する上でもとてもおもしろく、改めて日本って特殊な島国なのかなあなんて印象を持って読むこともできました。

語学を勉強している人たちにとってもとても良いモチベーション維持になる本だと思います。

語学を勉強する上でガソリン的役割を果たすモチベーションはこういった情熱が伝わってくる物語にふれることでより勉強に身が入るように思いました。