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ソニー半導体の奇跡 | 裏面照射型CMOSセンサーでの追撃 | 2021年書評#4

カメラ業界でSonyミラーレス一眼 が一人勝ちしています。

Sony製のカメラだけでなくイメージセンサーに使われているのがSony製のCMOSセンサーなのですが、本書ではそのCMOSセンサーがどのような経緯で開発案件となり、現在のSonyの稼ぎ頭事業までになったのかを、マネジメントチーム側からの視点でまとめられています。

Sonyウォークマンなど代表的な製品があったものの、AppleiPodiPhoneの台頭もあり株価も落ち込んでいました。

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本書はイメージセンサーの話なのですが、元々CCD(Charged Coupled Device)と呼ばれるイメージセンサーが主に使われていました。

一方でCMOS(Complementary Metal Oxide Semi-conductor)と呼ばれるイメージセンサーがあり、HDや4Kの高画質に向くものでした。

 

2004年頃、CCDのほうが安く取り扱い易いため昔のカメラにはCCDが主に活用されていました。SonyCMOSの開発が出遅れており特許も囲われていたため、裏面照射型CMOSセンサーしか製造の道が残されておらず開発に予算を当てられない可能性があったようです。

 

その中で静止画だけでなく動画も撮影できるカメラの需要であったり、高画質の流れ、暗所性能向上などを見込みCMOSの開発を続けます。

 

著者は半導体部門のマネジメントを担当しており、CCDの不具合対応やキャノンや東芝などへの売り込み、東日本大震災時の厚木工場計画停電の話など日々の奮闘具合が描かれています。

 

半導体も一昔前はうまく売上が立たず、売却案も出始め実際に交渉などもあったものの交渉が頓挫して売却されなかったようです。面白いのがその後CMOS増産体制のために買収に動くのですが、売却案を話した同じ人が買収に動いたようで、中々混沌とした様子でした。

 

Sonyは日本を代表する企業でスマートな意思決定や自由闊達な文化であるかと思えば、よくも悪くも企業らしく、いろんな迷いや組織変更に伴う意思決定の変化などはとても興味深かったです。

 

Sonyミラーレスシリーズの活躍や、Canonなどにも使われているイメージセンサーの開発の裏には色々な困難があり、引き継がれるSony文化が影にあったという一方で、

今後加速する半導体戦争の行き先がとても気になります。

em.ten-navi.com

 

どんな人におすすめか

エンジニア視点で無いところや半導体に関する細かい内容が無いため、エンジニアではない人にも読みやすく、プロジェクトXのような展開は読んでいて楽しかったです。

大人気企業であるSonyの企業内も混沌としており、右往左往しながらもパワフルに突き進める人が居るなど、企業らしい側面はメーカーでよくある光景なのだろうと思いました。

現在のSonyカメラの栄光の大きな要因である裏面照射型CMOSセンサーの開発の流れを知りたい人にはとてもおすすめの本でした。