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機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法 | 泉田 良輔 (著) | 2022年書評#48

予想のいらない株式投資法を読みました。

📒 Summary + Notes | まとめノート

本書で使われるバリュエーション手法

株式投資で難しいのは割安か割高か判断することですよね。本書ではバリュエーションの方法についてPER、PBRを基本に評価を実施しています。

PER:

利益を基準とした判断指標であり以下の式で求められます

PER=株価 / EPS(1株あたりの当期純利益

PBR:

純資産を基準としたバリエーションで以下の式で求められます

PBR=株価 / BPS(1株あたりの純資産)

未来の予測ではなく過去から学ぶ

本書で語られていることとして、未来予測は難しいために過去から学ぶことをおすすめしています。それも少なくとも10年ほど振り返るのが良いと言われます。

なぜ10年かと言われると、10年あれば景気の山も谷も味わっていることがほとんどで、その中でも赤字を出していない状況であることや、売上高の成長性、収益の安定性などを見て取れるからです。

その分析のために見ておくべきものは3つあります。

  1. 損益計算書
  2. 貸借対照表
  3. キャッシュフロー計算書

決算書を見るときのポイントは2点です。

  • 過去赤字になったことがあるかどうか
  • 利益率はどの程度か

利益率について見るべき点は次の2点です。

  • 利益率は高ければ高い方が良い
  • 利益率が高いのにはわけがある

過去の決算を見るときに注目するポイントは

  • 当基純損失の決算期があるかどうか
  • 営業利益率の水準はどうか
  • 株主しほんの比率はどうか
  • ROEの水準はどうか

外国人投資家が何を見ているのか

外国人投資家が著者によく聞いていたことに3年で株価が2倍になる銘柄を探していたそうです。

そこで一つの指標としていたのはROE25%です。ROEをデュポンシステムに沿い分解すると、25%のROEがあれば3年後の株価は195となり、おおよその二倍です。

他にも日本人ファンドマネージャーが著者へ言った「赤字にならない企業の株価が大きく下落した時にコツコツ拾っていくと、長い目で見てリターンは大きくなっているものだよ」という言葉がありました。

10倍株の発生メカニズム

本書では10倍株の発生には3つのステップがあるといいます。

  1. 商品やサービスのニーズ
  2. ビジネスモデルの質
  3. スケラビリティ

1つ目のステップニーズの確認に最も良いのは売上高でしょう。2つ目のステップのビジネスモデルは利益、営業利益率が着眼点になります。3つ目の点に関しては、事業拡大の可能性と市場規模(TAM)の確認になります。

これらの点からROEに落とし込んだポイントは以下3つです。

  • ROEが12%以上の実績がある
  • 上記のROEの水準以上を今後も複数年にわたって実現できそう
  • 利益成長を継続することができそう

ROEに関してはバフェットも着目しており「従業員数が少ないか負債がない一方でROEが高い事業収益をもつ会社」と買収基準を言っています。

また、著者が参考にしているアナリストの判断についても語られておりアナリストが投資判断に至るまでには4つのステップ①調査②モデルビルディング③バリュエーション④投資判断についても語られていました。

ROEが大事である一方で、ROEがただ上がるだけでなく上がった理由や他の指標とも合わせて見るスクリーニング手法も解説されています。

実際のスクリーニング方法

さて、それでは実際にどのようにスクリーニングするのでしょうか。

ツールとして3つ。

サンプル内にスプレッドシートがあるのでそちらを見るとわかりやすいのですが、5つの項目(売上高、営業利益、当期純利益、株主資本、総資産)からROE株主資本比率を計算します。

このスクリーニングでみる5つのポイントは

  1. リーマンショック時の決算の当期純利益が赤字ではない
  2. 過去5年間、当期純利益が赤字ではない
  3. ROEが過去3年間の平均で12%程度あるか
  4. 過去3年の株主資本比率の平均が50%以上か
  5. 5年前よりも直近決算の当期純利益が大きいかどうか

感想

株のバリュエーションは個人投資家にとって難しいポイントの一つであり、ついついなんとなくの投資に終始してしまうケースも多い中でROEなどを活用した方法の紹介は一つの見方として勉強になりました。

最近では株たんなど銘柄分析ツールとして活用できる情報が広く公開されているため、株価評価において活用できればと思いますが、これがまた難しいのも事実ですよね。。。

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