佐宗さんの前著でビジョン思考とはなにか、なぜ大切なのかについて書かれておりましたが本書はビジョン思考の使い方や事例の紹介になります。
BIOTOPEのホームページにも事例が多く紹介されていたりビジネス紙などでインタビューされていたりする内容も一部ありますがビジョン思考を認識する上でおすすめの本であると思います。
📒 Summary + Notes | まとめノート
佐宗さんの前著でビジョン思考とはなにか、なぜ大切なのかについて書かれておりましたが本書はビジョン思考の使い方や事例の紹介になります。
BIOTOPEのホームページにも事例が多く紹介されていたりビジネス紙などでインタビューされていたりする内容も一部ありますがビジョン思考を認識する上でおすすめの本であると思います。
創造の生態系を生む
デザイン思考やビジョン思考が現場レベルで実行されにくい課題が様々あります。
実際に著者が体験して課題とされるケースが紹介されており、どれも社会人生活がある方にはわかるものに思います。
- 人の不在ー主人公がいないプロジェクト
- 場の不在ー新たに生んだものを育てていく場や仕組みがない
- 意志の不在ー出てきたアイデアがまとまらない
- つくり型の不在ー自分たちの課題に合った創造の方法論が使えていない
- 組織とのすり合わせができないー効率性を大事にする既存組織
学校のクラス、部活、会社のグループ、部署、全社といった様々なレベルでビジョン思考でなにか変えようとすると仲間が居ない、予算が無い、やっても効果があるのかわからない、といったような事で結局いつもと同じことしかできないということはよくあるのではないでしょうか。
本書にある成功事例も同じような困難がありそうな物事が多いのですが、その中でどうやって創造ができる環境を運営していけたのかを書かれていたりします。
デザイン思考は魔法の杖なのか
本書で面白かった部分にデザイン思考を使ってみたけれども何も起きなかったということについて書かれています。著者もデザイン思考に出会ったころに夢見て使ってみたけれども何も魔法は起きなかったことに失望したといいます。
デザイン思考はツールとして用いられますが、結局は主観性を重視する、独創をする意志がある人が共創するという前提があるために、その人のポテンシャルを最大化する手法であって、デザイン思考が本領発揮できない場ではあまり効果を発揮できないと言います。
さらに思うこととしては、デザイン思考はイノベーションを引き出すハウツーである一方かなり混沌としてプロセスを通じていくために、地道なやりとりや取り組みを介する側面が忘れられて方法論が語られる部分があるのも難しさの一つなように思います。
デザイン思考で成功した事例が世に多く知られる一方で、いまいちうまく行かなかった事例もきっと多いのだろうなと感じます。概念である側面もあるので実行していくには、実際に成功事例を知るデザインファームと協力して進めていくというアプローチがデザイン思考の実践にはいいのだろうなと思いました。
まとめ一覧
創造のエッセンス
人
- 妄想を引き出し、熱を吹き込む
- ともに企む仲間をつくる
- 近境に眠る妄想を発掘する
- 組織外の仲間から自信をもらう
場
- 場と間をつくり出す
- 創発を生みやすい土づくり
- 情報の全体像を可視化する
- 1.5歩先の旗を立てる
意志
- ムーンショット型ビジョンをつくる
- 過去ー現在ー未来をつないだ新たな文脈づくり
- 言葉と物語によって塊を入れた意思にする
- 会社のタイプに合わせて意志をブランドに
創造
革新のツボ
組織を超えた仲間づくり
- 空き時間を利用して外に出る
- 勉強会や研修を仲間づくりの場にする
部門横断のコミュニティづくり
- 1.5歩先の戦略的テーマ設定
- ハブ人材の開拓
- マメな文脈共有と参加を促す仕組み
予算獲得による公式活動化
- 役員レベルのスポンサー獲得
- 人事などの間接部門と一緒に予算化
共感を呼ぶ空気づくり
- 大義をストーリー化して発信
- 小規模の実験による成功の可視化
- 外部メディアへの仕込み
正当性を高める戦略組織化
事業成長の仕組みづくり
意義の伝道
- 事業部、販社共同での価値探索
- トップによる意義の啓発
- ツールやノウハウの共有
感想
デザイン思考やビジョン思考について細かい事例が紹介されており、どういう環境が必要であるのか、問題フェーズに応じた最適化の方法など書かれている本でした。
著者の会社BIOTOPEのホームページやnoteなどにも成功事例が書かれているので本を手にするまでは行かないけど興味があるなんて方にはそのあたりから眺めてみるのもいい気がしました。
細かい事例や関連本などが紹介されているので、広く認知して事例や紹介本を読み進めていくというような楽しみもあると思います。
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