去年から米国金融引き締めに伴い為替の話が良くでるようになりました。グローバルになった世界経済で為替の話は無視できない存在になっており勉強しようと思い本書を読みました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
為替の損得
外国為替を考えた時に為替での損得の例は以下になります。
海外に送金する:円高の方が得
円で収入を得て外国で使用:円高の方が得
ドルで収入を得て国内で使用:円安の方が得
輸出型企業:円安になると業績アップ
今の円安傾向でトヨタは過去最高益を叩き出し、電気代は石油価格高騰によりアップすることになりました。
もう少し踏み込んでケースを見てみます。金利が仮に安定している状態で輸出が増えると日本円を受け取るために海外企業またはドルで決済があった場合にドル→円に換える行為が発生します。
輸出では:ドルを円に換える需要が上がる
輸入では:円をドルに換える需要が上がる
戦後のドル円を振り返りますと、変動相場の導入からプラザ合意、米国利上げなどドル円が大きく動いています。普段日本国内だけで生活していると問題ないですが、海外で生活しない人ですと、iherbなどの輸入品の値段が高くなっていたり、海外旅行行った際に使える金額が目減りしてしまっていたりします。
引用元:https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2022/10/irepo221021/
現在の円安で言われるのは海外からの旅行者の需要が高まり、観光産業の充実が考えられます。
最近では日銀がいよいよマイナス金利または金融緩和を撤廃するのではということからドル円が大きく円高に動いたり、SVBの破綻により米国利上げの副作用懸念の声が高まり米国引き締め低下の予想により円高に動く場面がありました。
体外証券投資の場合を見ていきましょう。対外投資とは例えば日本人が米国の株式やETFを買う場合などです。投資先として魅力のある国(主に米国)は体外証券投資が多いです。日本も投資家の7割近くが外国人投資家であるということで大きな対外投資の受け皿となっております。日本人が対外証券投資をすると円を外貨に変えて外国証券を購入するために円安方面に動きます。
日本の対外証券投資の増加(流出>流入):円安要因
そのために、景気が良いとその国への投資が増え通貨の価値も高まります。上のドル円のグラフを見ると90年まで大きく円高方向に触れており日本経済が好調であった様子が伺えます。
ドル円は経済指標にも左右され、米国の経済指標の代表的なものは以下です。
雇用統計が良い(景気が良い):ドル高
失業率が悪化(景気が悪い):ドル安
製造業景況感指数50を上回る(景気が良い):ドル高
小売売上高が良い(景気が良い):ドル高
ゆるやかなアノマリー(季節性)もあるようです。
2〜3月:決算前に資金を本国還流するため円を書い円高
4〜5月:新規取引開始のためドルを買うために円安
8月:取引量が減る閑散相場
11月:外国企業が決算を前に本国還流するため円安
12月:クリスマスの閑散相場
米国の貿易赤字でもなぜ大丈夫なのか?というトピックに対しても書いてありました。
貿易で赤字でありドルが大量に流出していても外国人投資家や政府が米国債を購入することでドルを取り戻すバランスが取れているそうです。
①貿易赤字によりドル流出
ただし、この前提が成り立つのはドルが強い場合であり、ドルが弱くなる政策が発表されたり方向性となると、米国債の価値は下がるために投資家が米国債を買わなくなりドルが流入しなくなります。また輸入品価格も増加するために国内での消費が落ち景気停滞にも陥ります。
感想
コロナになってからの金融緩和や金融引締の動きに伴う円安の影響、また口先介入によるドル円への影響をひしひしと感じていたため本書を読みながら改めてセオリー通りに動いているのだなと実感しました。
特に最近は金利の影響度がましております。投資家のYoutubeなどを見ていても金利が全ての土台になるために金利をスタート地点として考えるべきとの考えが頭にありましたが、米国の金利による為替の上下はまさにそのとおりの動きをしていたのだなと感じます。
恥ずかしながら海外で生活した時もあまり円安・円高を考えずにどうせ生活しなければいけないということであまり考えたこともなく社会人生活を送ってきていましたが、大学生などの時に一通り知っておいても良かったなあと感じます。
あまり為替や金利を意識しすぎて行動を左右しても仕方が無いとは思いますが、円高の時にドル預金を初めて円安になった際に円に戻すなどすれば預金しているよりも少し得したりもあるので、少し得するために教養程度に見に付けておいても良い知識かなと思います。
一度一通り頭に入れておけば、貯蓄や投資の選択肢も増えますし変な投資話の欠点なども感覚的に分かるようになる気がします。一番良いのは投資などしつつ実践をしながら得したり損をしたりしてこのような本を読むというのが良い気がしました。