以前読んだ静かな人の戦略書にて内向型人間やHSPについて知りました。今回はHSPなどとは少し違うのですが感覚過敏について書かれた本を読みました。読むまで感覚過敏が何かということについても知らなかったですし、感覚過敏であればどうすれば良いのかなども分からなかったため、こういった本からどういった現象なのか知るとても良い機会になりました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
HSPとは?
著者のイルサンセ自身もHSP:Highly Sensitive Personであると言います。HSPはとても敏感な人と言われ多くは自己肯定感が低く、自信が持ちくい特徴があります。
そもそもこの概念はアメリカの心理学者でありセラピストのエイレンアーロンにより提唱されたものであり、世の中のおよそ5人に1人がそうであると言われています。イエレンアーロンは人をとても敏感なタイプとタフなタイプの2つに分け分類付けを行いました。
傾向としては、HSPは控えめで物静かにゆっくり物事を熟考するタイプとされ、外向的でタフな人たちは健康的で価値があるとされてきました。
HSPは生まれ持った気質でありネガティブなことではなくポジティブな側面も多くあると紹介されています。
HSPの特徴
HSPにはポジティブな面も多くあります。
- 1度に多くの情報を吸収できる
- 音やにおいなどの微細な違いも察知できる
- ゆっくり、深く多角的に考えられる
- とても慎重で、危機管理能力が高い
- 共感力が高く、気配り上手
- 誠実で、責任感がある
- 想像力豊かで、内的生活が充実している
表面的にはHSPに見えていなくても、外向的なHSPや刺激を求めるHSPのタイプも居ると言います。
HSPが抱えやすい心の問題
HSPの人は繊細であるため問題も抱えやすくあります。
人文自信に高度な要求をしてしまう
罪悪感と羞恥心に苛まれてしまう
恐怖心を感じ、憂鬱になりやすい
怒りをうまく放出できない
以前読んだ静かな人の戦略書にもあったようにあまり理想を高く持ちすぎずに、静かな人であるからこそできる戦略的な側面に自信を持ち行動していくという事が大事に思います。
鈍感な人たちとうまく付き合うには
HSPにとって自信がHSPとしてうまく付き合っていく方法も紹介されており、実践的な会話の方法も紹介されておりそれが興味深かったです。アプローチとしては
ステップ1:世間話と表面的な話をする
ステップ2:興味のあることについて話す
ステップ3:信頼する
ステップ4:直接聞いてみる
これらは、鈍感な人や敏感な人のみならずに仕事や学校の場でも似たように思います。あまり知らない人であれば特に世間話的な要素の会話で興味のある分野を探し、興味が重なることや共通する話題があればそれを広げて信頼をつける。
仕事ではよりそこに相手の価値になる話題を盛り込む方が良く、それがお互いの興味が重なる話でもあるように思います。
「敏感な自分」とうまく付き合うには
本書の最後にかかれているのは鈍感な自分とどう接していくかです。静かな戦略書のジルチャンも講演の前には決まってトイレに行きこもって気持ちを落ち着かせたり、パーティーでは会話する人が見つからない時には決まって誰かと電話して一回離席できるような状況を作り気持ちをリラックスさせると言いました。
まずは自分自身がHSPであること、もしくはそれに近いケースがあることを理解していれば、このような対策もできると知れることで自分自身をリラックスする方法を見つけ出すということができるように思います。ある種のアンガーマネジメントにもあるように思います。
- HSPの能力を楽しむ機会をつくる
- 五感から過度に刺激を受けないための対策をとる
- 過度な刺激を受けたら、じっと自分の内側に集中する
- 自分自身へ愛情を向けて、自分を守る
- 自分自身に思いやりをもつ
- 自分自身を和解する
- 心理セラピーを受けてみる
- 自分らしくいることの喜びを感じる
感想
HSPという敏感な人という分類が結構昔から提唱されており、それに対してどうすれば良いのかというアドバイスや具体的な対策が書いてあるとても良い本であったように思います。
自分のことを緊張しやすかったり、思ったより勉強で成績残せなかったりで思いつめてしまうような時期など誰しもあったり、それが社会人になっても続いてしまってしまうような人って割と多いと思います。
自分が無知で今まで知らなかったのか、このような情報に出会うチャンスが無かったのかわからないですが、こういった事象について世に広く知られていたらもうちょっと気楽に生きていける人が増えたり、気を回せる人が増えたりするのでは無いのかなと思います。
イメージではありますが、こういった理解は海外ではある側面があるような気がして、セラピーの文化であったり、そのようなサービスも多くある印象を持っています。一方で、文化的にも人種的にも日本では敏感な人が多いイメージもありますが、中々鈍感な世界で対処法が確立できていないという印象もあります。
HSPというのか、自己肯定感が低い印象があるからそう感じるのかは分からないですが、日本でも広まって欲しい本であるように思いました。
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