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ベゾス・レター アマゾンに学ぶ14ヵ条の成長原則 | スティーブ・アンダーソン (著), カレン・アンダーソン (著), 加藤 今日子 (翻訳) | 2023年書評#48

アマゾンのジェフ・ベゾスが決算期に手紙を投資家へ書いていたのは有名なのですが、以前読んだInvent & wonderと似たようにその手紙をまとめられた本になります。

ohtanao.hatenablog.com

📒 Summary + Notes | まとめノート

成長サイクルと成長への14箇条

アマゾンのレターで頻繁に言及される4つの成功サイクルは以下です。

  1. 実験
    • いい失敗をする
    • 大きなアイデアに賭ける
    • ダイナミックな発明や革新を実践する
  2. 構築
    • 顧客にこだわる
    • 長期的な考え方を採用する
    • 自分のはずみ車を理解する
  3. 加速
    • 決定は迅速に行う
    • 複雑なことは単純化する
    • テクノロジーで時間を短縮する
    • 所有者意識をもたせる
  4. 規模の拡大
    • 企業文化を守る
    • 高水準を重視する
    • 重要な項目を計測し、計測項目を疑い、自分の直感を信じる
    • 常に1日目だと信じる

これらのサイクルを顧客第一、長期目線、Day1精神を元に意思決定が行われてきました。

1997に送付されたレターがすべての始まりでした。

https://venturebeat.com/wp-content/uploads/2010/09/amzn_shareholder-letter-20072.pdf

ベゾスがインターネットの利用率2300%の成長率を見てからオンライン本屋の着想を得て、高給取りの金融業を捨ててからの大きな賭けは世界でもっとも利用されるオンラインサイトへと成長していきました。

顧客へのこだわり

アマゾンのカスタマーエクスペリエンスに重要視されているのは①低価格②最高の品揃え③早くて便利な配送です。これは2001年にベゾスが10年経っても重要とされ、顧客に求められていることだとしてまとめられました。

代表的なのは無料配送です。Amazonのように倉庫を持たないECですと今でも送料基準が設けられていることからわかるように、送料無料は当時から画期的な試みでした。また速さに関してもアマゾンプライムでの即日配達などの試みも印象的です。

また、本書でウォールストリートへの抵抗とあるように株価がよく見えるようなレポートをすることはよく見られましたが、Amazonは過度に株価がよく見えるような決算をせずに、ドットコムバブルなどの際にも株価が大幅に下落した時はベンジャミン・グレアムの短絡的には株価は美人投票のようになるとのコメントをレターに書き、長期的には価値があるものに価値がついていくことを説明しています。

梱包の改善や、返品対応など顧客がECを利用するフリクションを一つずつ解決していきたゆまず改善を重ねている様子は今でもあります。本書には無いですが環境対応もウェブに掲載されており、梱包資材の取り組みや置き配システムの構築など流通システムへも影響を与えてきております。

意思決定について

アマゾンのスピード感のある意思決定の裏には意思決定方法が明確にされているということがあります。有名な話ではありますが、1型の決定(戻ることができないもの)、2型の決定(引き返しができるもの)を切り分けて2型のものに関してはより小さなチームでも判断しても良いものとしています。

レポートに関しても見栄えにはこだわらずPPTは避けて6ページメモと呼ばれるフォーマットを活用しています。会議の最初に全員で目を通せる簡潔さであり、意思決定に必要な情報を組み込めば後は見栄え整理などを削ぎ落として大事な判断を実行できるように試みたものです。

www.businessinsider.jp

Day1精神

Amazonの最も有名なカルチャーにDay1があります。

www.aboutamazon.jp

aws.amazon.com

 

 

www.youtube.com

以下引用:

いつも 1 日目を保つ

企業が成長を経験し、イノベーションを続けることは容易ではありません。成長や大規模なビジネス運営の本質は、さらなる複雑さを生み出し、それに伴い、自然に減速してしまう傾向があります。ビジネスは、急速に変化する外部環境や、顧客に代わってイノベーションを起こすことにより、絶えず進化する顧客のニーズに迅速に適応する必要があります。

そのために、企業は 2 日目の考え方を熱心に避ける必要があります。顧客が喜ぶ結果より短期的な目標やプロセスに焦点を当てること、自律性や迅速な実験と意思決定を強化する代わりにヒエラルキー官僚主義を広めること、何ができるかについて深く考える代わりに失敗を恐れて既存の機能に固執することが、2 日目の考え方につながります。

1 日目の文化を保持することにより、顧客に執着し、高品質で高速な意思決定を可能にし、従業員とリーダーが好奇心を持ち続け、実験的な態度で失敗やそれに伴う学びを可能にすることができます。これは、絶対に回避するべきリスクではなく、競争上の優位性となります。企業は、成長を遅らせるのではなく、成長を活用することができます。そして、最前線でイノベーションをリードする場合により適しています。

感想

本書としては他著と同様にアマゾンカルチャーを決算レターから紹介したものではありますが、改めて良い会社である理由というものが理解できるものであったような気がします。

会社が大きくなるに連れて、判断は遅くなり保守的な考えが蔓延してしまうようにも思いますがAmazonがあれだけの規模である中でも失敗と言われるような挑戦を果敢に繰り返し、そこからAWSやアマゾンエコー、FBAなどのときには主軸の利益を生み出すようなシステムを作り出してきたというのは素晴らしいものです。

もはやオンライン書店という形態からプライムビデオやAWS、AmazonGoなど多くのビジネスを行い多種多様なビジネスを展開しています。

個人的に最も注目しているのはアマゾンの環境事業に関する事であり、最近でも梱包パッケージを箱から封筒型へ変化させたり、再生可能エネルギーを使用するなどの声明を出したりしております。いい方向へスタンダードを作ってくれることを期待しつつ、これからのアマゾンの取り組みに注目したいです。

sustainability.aboutamazon.com