仕事は社内、社外含め人と話す事が必要です。より広く言えば生きていく上で誰かと関わりを持ちコミュニケーションをすることが求められます。
本書はユーザーインタビューという特殊なケースの話をベースに書かれた本ですが広義の会議でのコミュニケーションのような視点でも読み取れるかなと思いました。
ただし、全体的に抽象度が高く、普通の会議では当たり前のような事が多いこと、また翻訳本にありがち?なアメリカのデザイン本てきな本構成でまとまってるのかまとまっていないのか分からないような部分は読みづらかったように思います。
📒 Summary + Notes | まとめノート
心構え
一番勉強になったのは以下の部分でした。
特定の成果をあげようと求められているのではない。もっと言えば、必ずしも特定の答えを出すために仕事を任されたのではないのだ。確かに、私たちには突き止めたいことーリサーチによって解決しなければならない疑問点ーがある。しかし、私がインタビューの参加者からどうしても引き出したいと思うことは幅広く、限定されていない。
インタビューである程度のイメージを持った質問はしたほうが良いものの、柔軟に自分の意図と異なる回答があった時に好奇心を持って引き出す事が重要であり、いわゆる答えありきの誘導尋問的な内容は避けるべきです。
本書で何回か出てきた内容にラポール(信頼関係)も重要であるとありました。当たり前ですが、相手の萎縮しない環境(おすすめは家へ訪問)にて相手へしっかりと傾聴の姿を見せることで信頼関係を形成しなければ良いインタビューにはなり得ないそうです。
視覚的に刺激になる写真やイメージを準備しておくこと、ディスカッションを進めやすくできる資料などあれば利用する。
インタビュー中
沈黙を恐れず、質問のあとに可能性のある選択肢を口にしてしまわないようにする。
✗例:「昨日の朝食に何を食べましたか?…トースト、ジュースなどですか?」
色々な質問を想定する:
- 一連の過程についてたずねる
- 数をたずねる
- 具体例をたずねる
- 例外についてたずねる
- 完全なリストについてたずねる
- 人間関係についてたずねる
- 組織構造をたずねる
- 明確にするためにたずねる
- 暗語や現地の言葉についてたずねる
- 感情が沸き起こったきっかけについてたずねる
- 理由をたずねる
- やんわりと探りを入れる
- 何の決めつけもせずにたずねる
- 全く知らない人に説明する
- 他の人に教える
- プロセスを比較する
- 他者と比較する
- 時間の経過で比較する
インタビューはできれば録音する
インタビュー後
- リサーチデータの処理方法は主に分析と統合
- トップラインレポートを作成しチーム内でフィードバックを得る
- 組織の中でリサーチの活用を促す
感想
デザイン系の題材の本が好きで比較的それなりに読んでいると思うのですが、結構分かりづらいものが多い印象があります。というのも抽象的な部分やアート的な感覚の話も多くあるのかなと感じます。
今回はユーザーインタビューに関する本という事で著者のインタビュー(される)動画も見たのですが特別な事をしているというよりはしっかりと当たり前の事をするという印象でした。
ユーザーインタビューの雑な印象になってしまうのですが、理由づくりのために行われたり、インタビュー内容をチェリーピック(つまみ取り)してそれとなく消費者の視点をマーケティングに取り入れた証拠として使われたりということが多くある気がするので、著者が言う特定の成果に向かってインタビューはしないという部分はとても賛同できます。
そこで問題になりそうなのはユーザーインタビューのコストの正当性です。ユーザーインタビューをしたから売れるものが作れたのか、どれだけ役に立ったのかという経済合理性がどこまで持てるのか難しく感じます。
ユーザーインタビューからではなくてデータとしてユーザー行動を把握できる手段も増えてきました。時代変化の中でユーザーインタビューの発展がどのように行われていくのか気になります。