お金を貯める系の本をたくさん読んでみて最近はお金を使う本を読む機会が増えてきました。新NISAとともに今や投資ブームであり、マネー本も多く出版されています。著者の大江さんが指摘するのは「地味本」と「派手本」。派手本は「西銀座チャンスセンター一番窓口」というようにキャッチーな言葉で人を引き付ける手っ取り早いすぐできそうなことが書かれておりよく売れるものが多いです。
著者の大江さんは2024年に亡くなられていたようで、本書を読むまで知らなかった方ですが、経済コラムニストとして活躍されていたようです。
📒 Summary + Notes | まとめノート
お金について
お金が持つ役割は3つあります。
- 取引決済機能
- 価値尺度機能
- 価値保存機能
そして貨幣は元々信用の尺度として存在しました。いわゆる借用書というようなものです。
大江さんが考えるお金の役割は4つ目があり、それは「感謝のしるし」ということです。分かりやすい事例は寄付や投げ銭みたいなものでしょうか。
世の中にお金を回す4つの方法があります。
- 消費
- 投資
- 預金
- 寄付
お金を手に入れる5つの方法
- 働く
- 貯める
- 増やす
- だまし取る
- 盗む
わからないから物語が目に付く
「老後不安」や「老後2000万円問題」など老後の話は目に付くものです。なぜ不安を感じるのかというのは経験が無く、未知の世界であるからです。
介護に必要なお金はおおよそ月額8.3万円、介護期間が5年ほどなのでだいたい600万円ぐらいが目処になります。
Die with zeroなどの本も話題になりましたが、年代別金融資産の保有は年齢が上がるごとに増えてきます。いわば死ぬときに一番お金を持っているような状態も少なくありません。
お金の減らし方
作家の森博嗣さんの著書「お金の減らし方」という本で紹介されている内容に、森さんがどんなに貧乏なときでも収入の1割を趣味に、そして奥さんにも同様にお金を渡して2割は自動的に消費する枠としていました。天引き貯金は一般的ですが天引き消費という考えも一つの方法です。
大江さんのアイデアも記載されています。
- 好きなことにお金を使う
- 思い出にお金を使う 人間が賢くなる方法は「人」「本」「旅」であり旅はとても良いお金の使い方
- 人にお金を使う
- 価値にお金を使う 良いものを安く、コスパが良いという考えがデフレ傾向を生んでいる 値上げしないことを美談にするのは良いと思えない
お金よりも優先すべき事
- 時間
- 信用
- 健康
- 幸福感
感想
とても痛快な話しぶりでお金の使い方を教えてくれる本でとても面白かったです。印象に残った内容は未知の事に対する不安や不安にはナラティブによりますます助長される事。お金は流動させる方が良いという事、でした。
寄付について書かれており、利己的な目的で自己満足であるけれども寄付は貯めておくぐらいであればした方が良いのでは、というような事が書いてあります。自分自身も社会人になった時から毎月3000円ずつ寄付を始めて今ではすっかりちょっと良いカメラが買えそうなぐらいの額寄付したことになりました。(本書の話とは別ですが寄付金控除があるということを始めて知ったのでせっかくなので今年はやってみようと思います)
また森博嗣さんのどんな収入であっても1割は趣味に使うというのと似たような試みをやっており本を買うお金は毎月1万円ぐらいは見込んで使うようにしていました。今では中古を買ったり図書館で読んだりするのでそこまで使わなくなっているのですが、ある程度趣味に見積もって考えておくというのは良い使う方に思います。
中々未来について予測するのは難しいですが、大江さんは90歳になるまでには全財産使おうと試みていたようですが、結果として90歳よりかなり早くに亡くなる事となりました。冒頭の記事をみていてもかなり急な運びであったようで長く生きるのも考えものですが使い切ろうと思っていたよりもだいぶ先に身体が弱っていくというのも考えておく必要があるものだと感じます。
最近のメディアのせいで、という論調もなんだかなと思うもののメディアも営利商売なので大切なことをしっかり伝えるというよりは視聴者のアテンションを取りやすい形のコンテンツづくりになることを頭に入れながら情報を摂取するようにしたいなと思います。
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