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PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則 | レイ・ダリオ (著), 斎藤 聖美 (翻訳) | 2025年書評39

レイ・ダリオと言えば誰もが知るブリッジウォーターで大成功を収めているヘッジファンドの一つです。世界の大局観を捉える彼の視点では中国の発展を予測し息子を留学させるほどの中国好き投資家の一人でもあります。

執筆活動も多く行っており、またYoutubeで書籍の内容を解説する動画もアニメーションを用いてわかりやすく行われています。本書の内容もそうですが、変わりゆく世界秩序なども有名なものですよね。

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レイ・ダリオの最初の原則は自分で考え次の3つ。

  1. 何を望んでいるのか
  2. 何が事実か
  3. 達成するためには何をすべきか

この原則を学ぶためにどのようにしてきたのかは有名なこちらのサイクルです。

  1. 目標
  2. 失敗する
  3. 原則を学ぶ
  4. 改善する
  5. 実行、さらなる目標

引用:https://jareddees.com/5-step-process-ray-dalio/

本の構成は①生い立ち、②人生の原則、③仕事の原則となります。

 

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📒 Summary + Notes | まとめノート

生い立ち

1949年に生まれたレイ・ダリオはロングアイランド中流階級の一人息子として育ちます。12歳のころにゴルフのキャディをはじめ、株式投資を開始。知っていたノースイースト航空のを買うと大きく儲けることができました。ニクソン大統領時に株の急騰を尻目に予想できずにただ見るだけであったことから、教訓を得ます。

他の人が他の時代に経験したことを理解しておかなくちゃだめだ。さもなければ、そういうことが自分の身に起こる可能性があることがわからない。そして、起こったときには、同対処すればよいかわからない。

HBS後にブリッジウォーターを創業するがなかなかうまく立ち回れないままでした。失敗続きであるもののそこから投資の聖杯を学びます。言い換えればリスク管理の方法で分散されたポートフォリオをバランスよく組むことでした。2008年の危機を乗り越え2010年には45%とすばらしい成績を叩き出します。

2010年ごろにはレイ・ダリオが考える人生のフェーズ①誰かに依存して学ぶ②他の人が依存してくるようになり、働く③他人から依存されず、働くこともなく、人生を自由に楽しむ、の中で②から③に移行するタイミングに来ていました。

ブリッジウォーターも大きなヘッジファンドとなり、自分が居なくても回るシステムを構築すること、ということで「アイデア本位主義」という原則を会社に植え付けます。

人生の原則

人生の原則で最初に述べられているのは現実主義の大切さです。

夢 + 現実 + 固い意志 = 人生で成功する

事実を正確に把握するということの難しさや心理的障害もあります。また進化することも人々には重要なテーマになるために、進化するために現実を受け入れ、オープンになるように求めます。

そのために冒頭のループ型の図を考えることになります。

  1. 明確な目標を持つ
  2. 目標達成の障害となる問題を明らかにし、放置しない
  3. 問題の根本原因を探るために正確に診断する
  4. それらの問題を回避するように計画を策定する
  5. その策定から結果が出るように実行する

理想や感情に囚われることなく、オープンになり、しっかりとした決定を行うこと。また習慣化などを利用して進化のループをひたすらに実行していくことが大事になります。

可能な限りよい人生を送るためには次の2つが挙げられます。

  1. 何が最善の決断か知る
  2. それをする勇気を持つ

仕事の原則

仕事は人生で多くの割合を占める時間の過ごし方となります。アイデア本位主義は本書で何度も言及されている基本法則であります。

イデア本位主義=徹底的に事実に基づく+徹底的に隠したてしない+信頼性を加味した意思決定

仕事面で大きな障害となるのはオープンであれないことです。よく見せようという努力であったり、どう考えているのか推測するような時間が不要になれば最も重要なことに注力することができます。

失敗から学ぶこともレイ・ダリオが重要視するテーマです。失敗から学ぶためにもオープンでなければ失敗を認める事もできない、そこに隠し事をするようになると組織として良い時間の過ごし方ができなくなってしまいます。

人員選定は企業で最も重要なことであるうえに、人を教育して責任を持たせる事も重要です。そして仕事ができないのであれば辞めてもらうことも必要になってきます。仕事の成果が上がっていない人が居た時には①学びが足りないのか②能力が不足しているのか、考え対応をします。命令して何かをさせるということは避けるべきであり、理解してもらい考えながら実行してもらう形が理想的です。

結果を診断する際には感情に左右されないように以下の点を見直します。

  1. 結果はよかったか悪かったか
  2. その結果は誰の責任か
  3. 結果が悪かったのは、責任者に能力がなかったのか、デザインが悪かったのか

これらの運用のためのツールもいくつか紹介されています。当たり前のようではありますが紹介されているツールの一つに日次アップデートのため、毎日15分ほどかけて毎日その日何をしたか、問題は何か、それをどう受け止めたかを書くように頼んでいました。

感想

大成功を収めるブリッジウォーターですがその成功の背景にある原則が学ぶことができる本でした。歴史から学び、進化することや現実主義であることの大切さ、組織論として文化とシステムの重要性がきれいにまとめられています。

人格者としての側面をとても感じられます。

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現在の世界情勢について語られるときも原則とする経済サイクルのどの位置に我々が居るのか、過去から学び現在の世界が抱える問題(過去との違い)を現実的に捉えています。秩序サイクルや債務の膨張は彼の著書でも語られています。

ブリッジウォーターのコラムも面白く、最近書かれた貿易戦争で影響があるのか誰か?も面白い内容でした。ブリッジウォーターの視点では中国は市場規模も十分にあり問題は少ないが、ヨーロッパへ与える影響が大きいのではないかと予測します。

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今年6月には新しい本 How Countries Go Broke: The Big Cycle の出版も予定されています。レイ・ダリオ本はいつもとても長いのですが面白いのでこちらも今年中には読みたいと思います。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/3RD2ogr 最新脳科学で読み解く 脳のしくみ 単行本 – 2009/4/24 サンドラ・アーモット(Sandra Aamodt) (著), サム・ワン(Sam Wang) (著), 三橋智子(みつはし ともこ) (翻訳)
  2. https://amzn.to/4jQUJqU 千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 文庫 – 2015/12/18 ジョーゼフ・キャンベル (著), 倉田真木 (翻訳), 斎藤静代 (翻訳), 関根光宏 (翻訳)
  3. https://amzn.to/4d0090E ダライ・ラマ宗教を超えて 単行本 – 2012/10/12 ダライ・ラマ14世 (著), 三浦順子 (翻訳)
  4. https://amzn.to/42QiKrm 文庫 遺伝子の川 (草思社文庫 ド 1-1) 文庫 – 2014/4/2 リチャード ドーキンス (著), Richard Dawkins (原名), 垂水 雄二 (翻訳)
  5. https://amzn.to/42XwD7c 習慣の力〔新版〕 *1 文庫 – 2019/7/4 チャールズ デュヒッグ (著), Charles Duhigg (その他), 渡会 圭子 (翻訳)
  6. https://amzn.to/4jRiSO7 歴史の大局を見渡す ──人類の遺産の創造とその記録 (フェニックスシリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2017/1/21 ウィル・デュラント (著), アリエル・デュラント (著), Will Durant (著), Ariel Durant (著), 小巻 靖子 (翻訳)
  7. https://amzn.to/4jOf5Rt あなたの知らない脳──意識は傍観者である (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 文庫 – 2016/9/8 デイヴィッド・イーグルマン (著), 大田直子 (翻訳)
  8. https://amzn.to/44cRdTg リーダーなら、人の心を変えなさい。 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS) 単行本 – 2005/3/3 ハワード・ガードナー (著), 朝倉 和子 (翻訳)
  9. https://amzn.to/4iTjLF7 〈わたし〉はどこにあるのか: ガザニガ脳科学講義 単行本 – 2014/8/28 マイケル・S. ガザニガ (著), Michael S. Gazzaniga (原名), 藤井 留美 (翻訳)
  10. https://amzn.to/42XwOiS ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代 ( ) 単行本 – 2016/6/24 アダム グラント (著), 楠木 建 (翻訳)
  11. https://amzn.to/4351C24 ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ文庫 NF 410) 文庫 – 2014/6/20 ダニエル・カーネマン (著)
  12. https://amzn.to/3RBiHdD なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか――すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる 単行本 – 2017/8/9 ロバート キーガン (著), リサ ラスコウ レイヒー (著), 中土井 僚 (監修), 池村 千秋 (翻訳)
  13. https://amzn.to/4iTjXUR しらずしらず――あなたの9割を支配する「無意識」を科学する 単行本 – 2013/12/13 レナード・ムロディナウ (著), 茂木健一郎 (その他), 水谷 淳 (翻訳)
  14. https://amzn.to/3EGISg3 ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代 単行本 – 2006/5/8 ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)
  15. https://amzn.to/3Yil0WV 本当に欲しいものを知りなさい: 究極の自分探しができる16の欲求プロフィール 単行本 – 2006/9/1 スティーブン リース (著), Steven Reiss (原名), 宮田 攝子 (翻訳)
  16. https://amzn.to/42yqGP3 奇跡の脳―脳科学者の脳が壊れたとき (新潮文庫) 文庫 – 2012/3/28 ジル・ボルト テイラー (著), Jill Bolte Taylor (原名), 竹内 薫 (翻訳)
  17. https://amzn.to/4jtzOdR ヒトはどこまで進化するのか 単行本 – 2016/6/28 エドワード・O・ウィルソン (著), 小林 由香利 (翻訳)

*1:ハヤカワ・ノンフィクション文庫