関東軍と聞くとイメージはロシアとの防衛という厳しい環境の中、満州事変を起こし暴走して太平洋戦争へと突っ込むきっかけとなった荒くれ者たちという印象を持っていたのですが、あまり詳しく知らないなと思い関東軍に関わる本を読んでみようということで読みました。
著者の小林さんですが色々と学業に対して議論があるようです。
📒 Summary + Notes | まとめノート
関東軍の歴史
ロシアの東進が進み、日清戦争後の1896年には満州まで東進する鉄道の設置を計画、大連までつなぎ港の利用を見込んでいました。朝鮮半島を巡り日露の対立は進み、1904年には日露戦争が開始。日露戦争により占領地を増やした日本は遼東半島の統治を開始します。ポーツマス条約で租借権を日本に譲渡することで関東州を日本が管轄する流れです。
1906年に関東都督府が設置。満鉄の設置が始まります。1919年には軍事部門が分離する形で関東軍が設立。辛亥革命や蒋介石に関わる山東出兵、中国統一の波乱の時代になります。
満州事変
関東軍の評判が大きく変化するのは満州事変の前後でした。満州事変勃発は31年の9月であり関東軍が満州一帯を収めたのが32年の3月ということでおおよそ半年の動きで満州国まで関東軍の勢力が拡大しました。その後満州国といういわば現地の独立国という体裁をとり関東軍が実質支配する国を宣言します。
満州国には日本から官僚が送り込まれ内面統治という手法がより色濃くなります。
ノモンハン事件などロシア・ソ連に面する関東軍は激しい戦闘が必要となる厳しい環境でした。また日本が南部侵攻を決める中でもソ連と面するのは変わらず、またソ連も戦力が弱くなった所を狙われるという非常に困難な状況でした。終盤には日本の敗戦濃厚である状況下にて捕虜としてシベリア抑留される対象となったのも関東軍です。
感想
前回読んだ日本兵の実態の話や本書も含め本当に混乱の時期であり、最も激しい前線に当たる土地でロシアに対抗し、さらには中国の統一運動も激しく反日勢力の台頭といった厳しい環境で最後には敗戦ですべてを失い、シベリア抑留という運命を辿るのを見るととても辛い運命に思います。
シベリア抑留で11年の長期にわたり抑留された近衛家の近衛文隆や中国共産党について林弥一郎など中国のその後の運命に関わる事にもなります。色々と欲望が渦巻き最前線ということで日本側の判断を待てない状況も想像できます。開拓民などで日本化を推し進めようとしましたが結果として中国残留日本人となってしまいました。
満州開拓民とは別ですがブラジルへの移民も思い出します
戦前・戦後には今では考えられないような事が多くあったので歴史の勉強はこれからもしていきたいと思いました。
📚 Relating Books | 関連本・Web
- https://amzn.to/41Bj8tG 関東軍 (講談社学術文庫 1714) 文庫 – 2005/6/11 島田 俊彦 (著)
- https://amzn.to/3UskMKm 関東軍 (講談社選書メチエ 180) 単行本(ソフトカバー) – 2000/3/1 中山 隆志 (著)
- https://amzn.to/3JcvSkf ソ連軍進攻と日本軍: 満洲―1945・8・9 単行本 – 1990/8/1 中山 隆志 (著)
- https://amzn.to/4lmFAOs 関東軍全史 (新人物往来社文庫) 文庫 – 2012/4/6 「歴史読本」編集部 (編集)
- https://amzn.to/4mGONSQ 張学良: 忘れられた貴公子 (中公文庫 ま 19-1) ペーパーバック – 1991/7/1 松本 一男 (著)
- https://amzn.to/4fBeguw 張作霖爆殺: 昭和天皇の統帥 (中公新書 942) 新書 – 1989/10/1 大江 志乃夫 (著)
- https://amzn.to/45oc721 甘粕正彦 乱心の曠野 (新潮文庫) 文庫 – 2010/10/28 佐野 眞一 (著)
