就職活動を直前に色んなOBの人とお話させてもらっていた頃の話。
小さい頃から高校野球が好きだった自分は、夏の時期になると毎日、新聞を切り抜き、スクラップし、地方大会の結果をまとめ、各チームの打率やら、盗塁数、本塁打数を見て今年はここが優勝しそうだな、なんて予想する事が好きだった。
高校野球への憧れを作ったのは家でたまたま購読していたとある新聞。
仕事で高校野球の事を記事にしたり、運営できたりしたらどんなに面白い事かと、短絡的な考えで、新聞社への憧れを抱いていた。
その憧れの新聞社へ内定が決まっているという大学の卒業生が知り合いの知り合いで居たので一度お話させてもらった事があった。
新聞社に入るなんて神業だと思ってた自分は、出来る事ならなんでもやっておこうと思って、内定者から良いよと言われた「若き友人たちへ」という筑紫哲也さんが書かれた本を読んだ。
若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト・メッセージ (集英社新書 515B)
- 作者: 筑紫哲也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/10/16
- メディア: 新書
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ジャーナリズムをお節介なものであると論じ、それを理解した上で、今の若い人たちへメッセージを書いた本であった。(と理解している)
「いつも言われていることが正しいとは限らない。かつてそういう傾向があったとしても、それは変わるんだ、ということを知っておく必要があるのです」
と書かれているように、何回も何回も、自分の頭で考えて判断する事の大事さを問われていた気がする。
ああ、なんて良い本なんだ、こんな人になれたらなんて思ってますます志望度が上がったのを覚えている。
説明する事が苦手な僕は、とにかく「良い」とか「悪い」とか曖昧な表現を使う事が多い。(そんなので良く言葉を扱う仕事がしたいなんて思ってたなあ) そんな自分が母親に「こんな”良い”本があったんだ」と言った時、
「へ〜、どんなところが良かったの?」
と聞かれた。今でもそうだが、自分の考えを上手くまとめたりする習慣が無く、本を読んだ後もふむふむとぐらいしか思わない自分。もちろん、当時、上手く説明出来る訳も無く、
「そうだな〜。」
みたいな感じでその場で良さげなフレーズを本から探したのを覚えている。
「良い」「悪い」の印象を自分の中でどう整理するか、という事を大事だなと思った時であった。相変わらず、今もすごい苦手である。
昔、テレビでサカナクションのボーカルの方が、「なんか良いと思ったりした時に、言語化できるように」って他のメンバーに言っていると聞いて(たしかミュージックステーションでそんなようなことを言っていた気がする)よくわからないこと言ってるな〜なんて思ってた。
まだまだ、伝えるという事がすごい苦手ですが、いつかちゃんと話せるように、伝えられるようになりたいものだ。
「へ〜、何が良かったの?」は、そんな自分がよく思い出す言葉である。
「これからの国は、どこへ行こうとしているのか。残念ながら、私にはあまり良い方向は見えてきません。私の危惧が、杞憂に終わるといいのですが……。」
ー筑紫哲也(若き友人たちへ)
そう言えば、色んな本を読んできて、色んな思い出があるなぁ。
(そんな思い出も本を読む価値の一つなのかもしれないなあ)