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ビジネススクールで教えている会計思考77の常識 | 西山 茂 (著) | 2024年書評27

財務諸表を読むにあたりより実践的に企業の決算内容を見ながらそこから何を読み取れるかを見ていく本になります。ビジネススクールは行ったこと無いのでわからないのですが、こういう感じのことやるのでしょうかね。

掲載されている企業は10社で、こちらの企業の決算内容を比較しながら会社の特徴を見ていく流れになります。

  1. ソフトバンクグループ
  2. ファーストリテイリング
  3. ニトリ
  4. カルビー
  5. ヤオコー
  6. トヨタ自動車
  7. 任天堂
  8. 信越化学工業
  9. 日立製作所
  10. セブン&アイホールディングス 

📒 Summary + Notes | まとめノート

ROE

ROE当期純利益自己資本で割ったものであり、株主の資本がどれだけ効率よく儲けにつながっているのかが分かる指標になります。こちらをデュポンシステムで分解すると3項目から成ることがわかります。

ROE=売上高当期純利益率(収益性)×総資産回転率(効率性)×財務レバレッジ(安全性・借りれの多さなど)

日本企業はROEが低いと言われるのですが、理由は色々あり収益性の低い事業を持ち続けたり、内部留保を増やして非借金経営などの財務安全性が好まれたり、値上げがしにくい利益のあげにくさなどあるようです。

株探ではROEの表記もありますがそれぞれ3項目も見ることができます。下のカルビーの例ですと、利益率が下がって来ており、財務レバレッジも落ちている(自己資本比率アップ)、総資産回転率はあまり変わっていない結果としてROEも落ちてきている事がわかります。

参考:https://kabutan.jp/stock/finance?code=2229

ソフトバンクグループなどは財務レバレッジがとても高く新規事業や投資を沢山行い最近ではアームのようにホームランを当てて全部取り返すというような経営で投資会社に近い側面もありそうです。

本書で参考になったのは、売上債権回転期間棚卸資産回転期間仕入債権回転期間から、棚卸資産回転期間仕入債権回収期間が短いとより効率的に資産を利益に変えられているなどわかるという点でしょうか。

レバレッジについてリスクを取れば財務レバレッジは高くなりますし、無借金経営などであれば財務レバレッジは低くなります。レバレッジがきくと財務安全性は低くなってしまいますので、社債格付けなどは低く利率が高くなりがちです。最近ですと楽天などが良い例でしょうか。

企業の成長フェーズなどで何が良いのかは変わってくるために、正解は無いのですが、比較する際にはとても良い指標に見えます。(WACCなどで評価するケースもあるようです)

その他

成長について

上場企業であれば株主から成長が求められるのが資本主義社会なのですが、持続的にできるというのは経営がうまくないとできないでしょう。ヤオコーは本書の例で記載されていますが、現在35年連続増益している企業です。

IRバンクなどで細かい業績推移を見ることができます。(https://irbank.net/E03127/quarter)

スーパーという業態であるためにデュポンシステムで見ると薄利多売の形態にはなりますが、他地域のスーパーと比べると利益率が多少良く、回転率が良い状態です。

各章で、より良いものをより安くという事にはニトリと無印を比較、コストは信越化学と日東電工を比較、もったいないの考えについてはユニクロしまむらを比較、キャッシュフローは日立とパナソニックM&Aはセブン&アイを例にデュポンシステムでのROE分析をベースにしながら回転期間やCCCを見つつ考察してく流れになります。

感想

決算書に関わる本を読み続けていくと少しずつ言っている事が分かってきたり、株探やIRバンクにある数値の意味合いや比較したときの洞察が増えてきて嬉しく思います。

このような事を重ねていくとROEが高くなったのは何故なのか?財務レバレッジ高いけど大きく拡大を狙っているフェーズなのかな?でも株価はまだ上がってないような気がするな、などのような考えが繋がると嬉しいですよね。

記事など読む時も記者が書いている内容が妥当性あるのかなどを決算情報から答え合わせもできるようになると少し見える世界が変わってくるのかなと思います。

考え方や読み方のお手本となるようなアナリストレポートも読むように努力したいですね。まだまだ使いこなせるまでは遠そうではありますが、今年は少しでも読めるようになりたいです。

 

著者の西山さんは日経ビジネススクールで講師されているようですね。

school.nikkei.co.jp

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会社の活動とお金の流れが見えてくる 決算書の読み方の基本 | 天野 敦之 (著) | 2024年書評26

前回の大手町のランダムウォーカーさんの著書から続き決算書の読み方の本です。どちらかというと前著の方が初心者向けで体系的な理解について考えられている本だったらこちらは少し一歩踏み込んで細かい部分を見ていく本になります。

より会計や簿記の用語がこちらの本では出てくるので少しとっつきにくさはあるかもしれませんが基本的な説明も多いので、どちらも初学者には良い気がします。

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決算書とは

決算書から読み取れる情報は収益性と安全性です。

収益性:会社がどれだけ効率的に儲けているか

安全性:会社が倒産せずに借金を返せるか

決算書には難しそうな用語が多いのですが、勘定科目と呼ばれるものであり、BSには資産、負債、純資産、PLには収益、費用の勘定科目が記載されます。

決算書内容についてメモ

貸倒引当金:債権が返済されなくなってしまうこと。将来発生する損失に備えてあらかじめ費用を発生させておくもの。

棚卸資産(在庫):棚卸資産が多いと会社が投資したお金が回収されてない事を意味するために少ない方が良い。

益金:会社にとって益金が少ないほど、また損金が多いほど、税金が少なくなる

売掛金:売上高だけでなく売掛金の額も確認し、無理やり売上を伸ばしていないか見る

EBITDA:営業利益+減価償却費。減価償却費の計算方法は定額法や定率法などあり、また国別に減価償却の税規定が異なるために会社間の業績を比較しやすいものにしたもの

投資キャッシュフロー:プラスになる時は固定資産や有価証券の売却などからキャッシュを集めたことになるために、キャッシュが必要な事情が無いか確認する(買収やリストラなど)

フリーキャッシュフロー:営業CF+投資CF。

ROE:株主が投下した自己資本と株主のものになる当期純利益を比較する指標。株主にとっての収益性を見るもの。負債の割合を増やしても増加する

流動比率流動資産÷流動負債であり、200%が目安とされ倒産リスクを見る。

固定比率:固定資産が長期の資金でまかなわれているかを示す指標

D/Eレシオ:有利子負債÷自己資本。1倍以下であれば財務安全性が高い

インスタントカバレッジレシオ:EBIT÷支払利息:すくなくとも1に近い、または1を下回るような場合は危険な状態にある

感想

基本的な部分は他著と似たような内容であるために簡易的にまとめていきました。本書全体、特に後半に各指標に対する見方が記載されており、例えばD/Eレシオが1倍以下であれば財務安全性が高いなどのような説明がしっかり書いてあり知見が増やしていける事が特に良く感じました。

決算書を読む中で難しいのは各指標がどうだから、どう解釈するのか?という点であると思います。用語を勉強した際に判断基準の出発点があると、そこから高いのは何故か?と注目することもできます。業種や企業の状態に依って考え方はあるために、必ずその判断基準が絶対かといえばそうでないと思うので、その点過去の決算書との比較、同業他社との比較という癖付けをしていきたいものです。

各指標について決算説明資料においてKPIとして利用する会社もあるので、この会社はROEに注意してやっているため株主への考えが強いのかな、や内部留保ばかり増やして財務安定性を高めたいのかななどのアイデアを見つけていく事が大事だと思います。

一部理解しきれないところもあったので、これからも勉強続けたいですね。

 

本の内容はとても良かったのでYoutubeなど探してみたらチャンネルを持っていらっしゃるようで、ヨガからスピリチュアルにハマっているようなのも気になりました。

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会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方 | 大手町のランダムウォーカー (著) | 2024年書評25

決算書を読めるようになりたいと思い何冊か読んでいるのですが、Twitterで話題だった大手町のランダムウォーカーさんの著書、世界一楽しい決算書の読み方を読みました。

決算書は会計の勉強をした人にとっても最初読むのは難しいようで、誰にでも触れやすいようにビジュアル化してクイズ形式にして楽しめるようにSNSで発信をしていったという著者の思いがとても上手く表現されたとても良い内容でした。

決算書は義務であり、正しく報告しなければならないためにある種誤魔化せない情報を提示しなければならないために、決算書が読めると企業の様々な状況や方針を掴むことができます。

www.mizuhobank.co.jp

決算書の理解をするためには多くの数をこなしてそこの数値を持ってどう読み取るか、という経験を積み重ねていく事が重要で、そのきっかけとして分かりやすくとっつきやすいアプローチというのはとても価値が高いように思います。

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決算書の全体像

上場企業は年に一回有価証券報告書、四半期ごとに四半期報告書を提出する事が求められています。株主が損をしないための仕組みでもあります。決算書に間違いがあることを粉飾などと言いますが、過去粉飾決済で様々な企業が問題になっていますね。

決算書は一般的に4構成です。

  1. 貸借対照表(B/S)
  2. 損益計算書(P/L)
  3. キャッシュフロー計算書(C/S)
  4. 株主資本等変動計算書(S/S)

貸借対照表

貸借対照表は企業の財産状況が分かるものであり、どのようにお金を集めてどのように使っているのかが記載されます。

ビジネスモデルに依ってそのバランスが変わってくるのがとてもおもしろいのですが、本書で紹介されているのは、メルカリとブックオフのようにどちらもリユースビジネスの企業です。メルカリはブックオフと比べて店舗を持たないために固定資産が少なく、また顧客の費用をプールする仕組みから流動資産が多くなります。IT企業はこの傾向が強いです。

ニトリ、無印、ユニクロの比較ではニトリは倉庫を店舗と別で所有することから固定資産が多くなり、ユニクロは在庫を店舗内で持つなどの特性から固定資産が少なめなどのポイントが紹介されています。

UFJスルガ銀行セブン銀行の比較ではセブン銀行は貸出よりもATMのサービスがメイン業務になっていることから、貸出金の少なさが目立ちます。

このように、ざっくりと固定資産と流動資産の特徴からその企業がどのようなビジネスモデルをしているのかを貸借対照表から読み解く事ができます。そうるすと貸出が多い銀行などはこれから金利が上がれば利益が上がってくるのでは?または、返済が難しくなるために倒産による損失などもあり得るのでは?というような勘所を掴めるかもしれません。

損益計算書

損益計算書は特定の期間における会社の売上と費用、利益がわかります。収益、費用、利益・損失、が主なポイントです。

費用の部分にはIT企業や成長企業であれば販管費が多くなりますし、土地や有価証券の売却などの営業外の費用などもわかります。

例にあるセブンイレブンブックオフ、キャンドゥの比較では、セブンイレブンフランチャイズのためにぱっと見の原価費が直営店舗のものしか見えないために、フランチャイズモデルの損益計算書を読む際は注意が必要です。

同様にコメダでは他のコーヒーチェーンと異なりフランチャイズ(ただしライセンス料は取らない)であり、コーヒー豆の卸をフランチャイズ先に実施しているために、卸業の損益計算書に近いかたちになります。(販管費が少ない)

コストコなどは会員費で収益を得て、原価率が高い販売単価ということも損益計算書からわかります。

ユニクロZARAの違いなども比較されており、ユニクロヒートテックのような定番商品が多くあり、ZARAはトレンドに沿った新作を売り切るスタイルなど比較されており同じ業界であるけれどもビジネスの優先順位がどのように違いそれが損益計算書にどう出るのかと解説されています。

キャッシュフロー計算書

キャッシュフローは現金の増減を表すものです。大きく分けて営業、投資、財務活動の3種類からなります。営業は本業でどれぐらいキャッシュが増えたのか、投資は投資活動によりどれだけキャッシを使用したか、財務は資金調達や返済でのキャッシュ増減がわかります。

企業フェーズによってその3項目のバランスは変わるのですが、営業CFがプラスになれば成長が、投資活動が多ければマイナスが多くなり、資金調達をすれば財務はプラスになります。

president.jp

その他

決算書から分かるもの

ツール

  • バフェット・コード
  • EDINET

感想

決算書を楽しむための読み方を解説してくれている本でとても面白かったです。勉強になったなと思う点は比較やビジネスモデルに依る傾向の違いを見るという点でしょうか。

  • 業態が近い企業同士での比較
  • ビジネスモデル(ビジョンやミッション)と決算書の一致程度

とっつきにくい事を分かりやすくかつポイントを外さないというのは重要な事だと思うのですが決算書という面白い・でも難しいというものを楽しく親しみやすいものにするというのはすごく思います。

これからも決算書に関わる本から読み方を勉強しつつ、決算書を実際に読んで株式投資に対するアイデアをつけられるように鍛錬したいです。