イタリアに住む増永さんの著者カフェの世界史。彼女のポストから見られる人柄もとても素敵で母親に買ってもらった古いユニクロのセーターのリペアサービスを受けた話などを見ると長く修理しながらものを使うという精神を大切にしたいと思えます。
裏側はこんな感じで賑やか。中学生の時に制服の下に着る、校則に違反しない地味な色味のトップスとして亡き母に買ってもらった一品。大人になってからは部屋着にしていたけど微妙に母が修理してくれた跡が残っていたから捨てれずにいました。
— nao masunaga (@Nao_Masunaga) 2026年7月20日
ユニクロのリペア代金は8€、お値段以上のサービスでした🪡 https://t.co/h73E4gPbk4 pic.twitter.com/XTp0lmovtJ
カフェ文化と言うとパリやイギリスみたいな意識がありましたが増永さんのいかれるイタリアのカフェの様子やエスプレッソ文化を見ているとイタリアのカフェ廻りもいつかしてみたいと思えます。
砂糖の世界史などものの世界史系の本のカフェ版といった構成であり、カフェの成り立ちを紐解ける本でした。
📒 Summary + Notes | まとめノート
カフェのはじまり
イギリスの行っていた三角貿易はイギリスで作ったものをアフリカで売りそのお金で黒人奴隷を買い、アメリカで売りそのお金でタバコや砂糖、綿花などをイギリスに持ち帰って消費や服の生産をするという流れでした。
コーヒーの成り立ちはイスラム圏に始まり、覚醒作用は儀式としての飲み物などとして活用。16世紀になるとイスラム圏のコーヒー文化はヨーロッパへと伝搬し、アルメニア出身のパスカロゼがイギリスでコーヒーハウスを開きます。ロゼは商人ダニエルエドワーズの召使いとしてロンドンに来ており、毎朝主人のためにコーヒーを淹れたことから当時めずらしい飲み物を飲むために多くの人が訪ねてきたことが起源になります。
コーヒーハウスは人が集まり議論が交わされることから様々な情報革命が起こり、新聞や郵便、さらには商人などが船舶でビジネスをすることから保険ビジネスなども生み出されていきます。コーヒーと同様に紅茶もイギリスは植民地から輸入しており国内で消費することからティーセレモニーも文化として根付いていきます。
産業革命とカフェ文化
産業革命によってイギリスの都市部に人が集まるようになりまた、穀物や栄養価の高い食べ物が効率良く生産できるようになったため都市部に多くの人を受け入れる体制も整えられていきました。
産業革命移行、茶や砂糖の値段も下がり始め、元々は薬としての認識が大きかった砂糖についても産業革命の工場で働く人達の手に届き始めました。
チョコレートも同様に元々は高価なものであったが、ザッハトルテやポケットチョコなどは大きく広まります。フランスなどでも王政に苦しむ市民が芸術や啓蒙などを議論する場としてカフェが流行ることになりました。
美術館や博物館とカフェ
現代でも美術館併設カフェなど美しい建築を楽しみながらコーヒーを楽しめる環境は残っております。施設併設のカフェの起点となったのは1851年のロンドン万国博覧会。万博期間中に人々をお茶やパンなどで迎えられるように、当時温かい食事を食べられるということはとても貴重なことでありおもてなしとして食事を提供できる休憩室を設置。
万博は当時から現代にかけても残るような建築物が残っており、東京の上野や京都の岡崎などの多くの美術館や博物館は万博会場として利用され今に残るものであり、万博が与える影響は大きなものでした。
また、1855年のパリ万博では輸入禁止措置の撤廃や関税の引き下げなどに伴いイギリスとの貿易が自由化されます。同時期には百貨店文化もパリへ広まることになりました。
戦争とカフェタイム
第一次世界大戦は国民全てが動員されるいわゆる「総力戦」の戦争へと変化した時代です。ここで流行したのはインスタントコーヒーであり、どんな場所でも手軽に飲めるコーヒーとして戦地でも活用されます。
総力戦の時代では今まで働くことがなかった女性も労働力として加わりチョコレートも板チョコとして運ばれるものが生産されました。
日本ではカール・ユーハイムは日本に残ったドイツ人捕虜が始めたものであり、今でも美味しいバームクーヘンを日本で作っています。
日本での喫茶文化の始まりと言われているのは鄭永慶が上野で1888年から始めた可否茶館。留学先にて知ったアメリカのコーヒー文化を輸入し一般の人でも集まれる場として始めます。4年で閉館してしまい当時の一般市民にはまだ高いコーヒーでしたが、フランス帰りのサッカや芸術家たちが銀座にてカフェを開始。今では戦前から続いて営業している店として、千疋屋、コロンバン、新宿中村屋、珈琲ショパン、茶房きゃんどるといったお店などがあります。
幸運にも京都は他の都市よりも空襲が少なく戦前から続く喫茶店は他の地域よりも多くあります。スマート珈琲、雲仙、イノダコーヒー、喫茶静香。特色のある店としてはフランソア喫茶室があり、労働運動に傾倒していた立野正一により開業されタブロイド誌の創刊などに繋がりました。
パリのカフェと戦争は大きな関わりがあり、多くの芸術家や啓蒙などは戦火においてもパリのカフェで議論しており、細かな話は以前読んだ「カフェから時代は創られる」でも詳しく触れられています。
本書で触れられているのは「ドゥ・マゴ」「ル・ドーム」「カフェ・ド・フロール」などで、フランスを訪れる際に知っておけばより楽しむことができる歴史かもしれません。
カフェと現代
戦争時代にはパスタやチョコが配給制の時代に入ると、プロパガンダパッケージとして使われたり、また従来の製品イメージに影響を及ぼさないよう特別パッケージなどにされたりします。
戦争終了後に大きなブームとなったのはインスタントコーヒーであり、フリーズドライ製法、スプレードライ製法などより美味しく手軽に楽しめる手法も確立されていきます。
コーヒー文化としてある、サードウェーブコーヒーやスペシャルティコーヒーの文化などは主にカウンターカルチャーから形成されており、インスタントコーヒーのように大量生産大量消費に対する反対文化として高品質なもののみを利用したスペシャルティコーヒーが知れ渡るようになります。スペシャルティコーヒーという言葉が使われるようになったのは以外に古く1974年。
セカンドウェーブとしてその波を作り出したスターバックスもイタリアのバール文化と美味しいコーヒーを提供できるサードブレイスを作り出すという試みでした。
スターバックスのように大きくチェーン化したコーヒー文化に対抗する新しい流れとして、品質の良い豆を使ったコーヒーというコンセプトは残しながらも、規模が大きくならない地域に根ざした店づくりというような新しい波、サードウェーブコーヒーが誕生します。
さらに触れられているのは博物館とカフェのコラボであったり、ブランドとカフェのコラボが今では進んできており、ファッションブランドが私設する美術館・博物館にはカフェが重要なものとして組み込まれています。
感想
カフェの成り立ちから現在のカフェ文化まで長い時間軸でカフェということについて知ることができる本でした。ヨーロッパでのカフェ文化など知っていると旅行する際により楽しめると思いますし、そのビジネス形態から中々存続することが容易では無い中で戦前から続いているカフェなども知ることができます。
多くの文化の起源はヨーロッパにあり、またその背景には植民地から母国では希少なものを輸入しそれでいて奴隷を活用した生産やアヘンの販売などをしていたという構造が見受けられるので中々非人道的な背景が随所に感じられ、現代でもその文化が尾を引いていおりモノカルチャー経済としての貧困を招いている所を見ると華やかな文化の影も感じます。
6月にカフェ巡りにハマっており、近所のカフェにローラー作戦で行っていたのですが、今ではコーヒー文化も当時のように人が集まり議論する場といった意味合いも大きく変化したのかなと感じます。喫茶店の形態として中々継続して経営することも難しく感じますし、単価×客数の方程式の中でのビジネスの難しさがありますが、気軽に立ち寄れて少し時間を過ごせるという場所として貴重な存在でもあります。
地方など旅行しているとそういった人が集まれる場所として百貨店やイオン、図書館などの公共施設などがあり、中国でもモールのベンチには人が涼みにきているといった様子が伺えます。継続して支払える程度の値段設定と、地域に根づき長く経営をすることができるのかというバランスがありますが、長年開かれたお店などはインフラとしての存在感も感じます。
📚 Relating Books | 関連本・Web
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- https://amzn.to/4fSqWxx 砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書 276) 川北 稔 (著)
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