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訪問記/書評/勉強日記(TOEIC930/IELTS6.0/HSK5級/Python)

書評

続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実 | 吉田 裕 (著) | 2025年書評62

前作の日本軍兵士でも戦争における無惨な死は戦闘そのものよりも空腹によるものやそれによる病気、また軍の劣る設備などが戦闘よりも多くの死を生み出していたことがまとめられていました。 本書の冒頭で夏目漱石の作品に出てくる主人公が語る言葉が書かれて…

世界を変えた建築構造の物語 | ロマ・アグラワル (著), 牧尾 晴喜 (翻訳) | 2025年書評61

イギリスロンドンのアイコニックな建物シャードの構造エンジニアを担ったロマアグラワル。現在ではサイエンス教育活動を行っておりYoutubeチャンネルもあります。 www.youtube.com www.youtube.com 彼女の著書世界を変えた建築構造の物語は、近年の高層化し…

努力の地図 | 荒木博行 (著) | 2025年書評60

努力は報われるのか?なんてことはSNS時代に話題になりがちなトピックである。努力ができる環境だったからでしょう。努力して結局運と組み合わさって良かっただけでしょう。なんて話はよくあります。 www.youtube.com 自分自身でも、振り返ると特に高校生の…

となりの陰謀論 | 烏谷 昌幸 (著) | 2025年書評59

最近では7月5日の予言がノストラダムスの予言ばりに話題になっています。2000年問題もさながらかなり話題になったのにもかかわらず何も変わらない一日となっていた事が思い出されます。 www.youtube.com トランプ大統領の手法として、どこかに悪者を作り出し…

土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて | 藤井 一至 (著) | 2025年書評58

都会で住んでいると土と触れる機会は減りますが、土はとても身近でもあり、どこにでもあるもののその情報はあまり知らないということが殆どだと思います。 人類火星移住計画なんて一時期言われていましたが、今知りしぼみしているのは火星での食糧自給できる…

日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 | 吉田 裕 (著) | 2025年書評57

戦争の歴史研究には感情がつきまといます。戦艦大和は世界一の技術であった、零戦は…などとあります。また戦死を遂げた方々も多くおりその遺族からすると心苦しい記憶でもあり、さらには戦争中の激しいプロパガンダもありネガティブな情報は事実であっても検…

LOVE LIES | 我談的那場戀愛 | 何妙祺 (監督) | 2025年映像・映画評#6

前回に続きこちらも飛行機の移動中にざっと観た映画です。 ohtanao.hatenablog.com www.youtube.com www.youtube.com 映画のあらすじ 香港で社会問題となっている恋愛アプリ詐欺が舞台 医師でありお金持ちでありながら旦那と離婚直前で死別することになった5…

贈与と聖物: マルセル・モース「贈与論」とマダガスカルの社会的実践 | 森山 工 (著) | 2025年書評56

以前読んだグレーバー本のマダガスカルの話を知り興味を持ちマダガスカルの文化探索を目的に読んでみました。内容は思ったものと違ったのと、また贈与論についても明るくなかったためにあまり詳しく理解はできなかったものの、マダガスカルの埋葬文化からそ…

都会の異界 東京23区の島に暮らす | 高橋 弘樹 (著) | 2025年書評55

島生活なんて言うと東京では味わえないもの、まして23区ではそんな所ないのではと思います。思い返せば東京の海岸線は品川や皇居付近まで海であったと言います。23区の海岸線なんて埋立地、中には橋で繋がれている島も多くあります。大人気のタワマン地区豊…

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は | 福徳 秀介 (著) | 2025年書評54

先日映画で観た「今日の空〜」について本も買い読んでみました。 ohtanao.hatenablog.com 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は (小学館文庫) 作者:福徳秀介 小学館 Amazon Summary + Notes | まとめノート 映画との違い 映画での再現度はとても高く本の…

ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 | デヴィッド・グレーバー (著), 酒井 隆史 (翻訳), 芳賀 達彦 (翻訳), 森田 和樹 (翻訳) | 2025年書評53

負債論を出版してベストセラーとなったグレーバーの次なるヒットとなったブルシット・ジョブ。ケインズは1930年に人々の生活は週に15時間になるようテクノロジー進化により世界が変わる事を予想していましたが、今の世の中はそこから程遠い状態です。 strike…

欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア | エドウィン ルフェーブル (著), Edwin Lef`evre (原名), 林 康史 (翻訳) | 2025年書評52

久しぶりに投資関連本、リバモアの伝記的小説を読みました。 ohtanao.hatenablog.com マーケットの魔術師という投資家のインタビュー本などで含め、多くのトレーダーが言及するリバモアは1940年にホテルの一室でピストル自殺する最後を遂げます。 そのトレー…

はじめての日本国債 | 服部 孝洋 (著) | 2025年書評51

国債というものは莫大な取引市場があるものの中々素人の投資対象に上がらず理解も中々進まないため、入門書のようなものを読んでみました。株式市場への投資はNISAなどの影響もあり流行りがきていると思うのですが、その中で根本となる債券、そしてその債券…

啓蒙の海賊たち あるいは実在したリバタリアの物語 | デヴィッド・グレーバー (著) | 2025年書評50

数々のエッセーを書き残しているグレーバーの本ですが、亡くなってからも毎年のように新書が出版される現象が起きています。死ぬ前から評価されていましたが、死んだ後にさらに評価されている所を見ると芸術家のようにも感じます。 yamdas.hatenablog.com da…

民主主義の非西洋起源について:「あいだ」の空間の民主主義 | デヴィッド・グレーバー (著), 片岡大右 (翻訳) | 2025年書評49

亡くなってから暫く時間が経つグレーバー(David Graeber)ですが、本書を読み改めてその思想の天才性に驚きました。本書を手に取る前に読んだのは最近発売された邦訳書「啓蒙の海賊たち」というリバタリアの話から啓蒙思想について読み、現在では当たり前と…

民主主義とは何か | 宇野重規 (著) | 2025年書評48

民主主義ということは今の世界での大きく信じられる思想の一つだと思います。一方で民主主義の歴史や民主主義とは何かという題にしっかりとした回答をできる人が少ない事も事実であると思います。 例えば、本書での始まりにある議題はこのようなものです。 A…

国家の逆襲 | マリアナ・マッツカート (著), 室伏謙一 (解説, その他) | 2025年書評47

マッツカートの本を読んだことがなかった事もあり、国家の逆襲(原著名と邦題がかなり大きく違ってびっくりな邦題)「The Value of Everything」を読みました。 本書は主に、価値の指標における歴史を遡り、その指標(GDP)が現代において機能しておらず、も…

M&A最前線 [業界再編・決定版]会社を売る力 | 渡部 恒郎 (著), 山本 夢人 (著), 竹葉 聖 (著), 沖田 大紀 (著), 前川 拓哉 (著), 渡邉 智博 (著), 藤川 祐喜 (著) | 2025年書評46

最近ではM&Aの必要性が多く語られてきており、日本では「本場アメリカに倣え!」的にM&Aの理解と受け入れが起こってきているように感じます。先日ではアクセンチュアがゆめみを買収するというような案件もありました。 note.com 最近読んだ「競争なきアメリ…

グロース「成長」大全 ~微生物から巨大都市まで上下巻 | バーツラフ シュミル (著), 田中 嘉成 (監修), 三輪 ヒナタ (翻訳) | 2025年書評44/45

ビル・ゲイツ推しのバーツラフシュミルの本になります。あらゆるものの「成長」についてフォーカスして世界の変化をみていくものであり、ちょっとファクトフルネス的な要素を感じます。 例えば、農地の有効利用に関して、古代エジプトでは農地1ヘクタールあ…

NEXUS 情報の人類史 : 人間のネットワーク/AI革命 | ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田 裕之 (翻訳) | 2025年書評42/43

ハラリ本の最新NEXUSを読みました。情報の歴史を遡り、AIについて鋭い視点を展開していきます。 情報の歴史を見ると、情報の素朴な味方として下記のようなものがあります。 情報 → 真実 → 知恵 or 力 素朴な見方では情報は真実を発見するための手段としてあ…

競争なきアメリカ――自由市場を再起動する経済学 | トマ・フィリポン (原著), 川添節子 (翻訳) | 2025年書評41

アメリカの強烈な資本主義はアメリカンドリームと呼ばれ、とても激しい市場競争が行われていると感じられています。 1999年に著者がマサチューセッツ工科大学の経済学博士課程に入学したときにはアメリカでパソコンを買うのはフランスで買うより30%安く、イ…

ウィーブが日本を救うーー日本大好きエコノミストの経済論 | ノア・スミス(Noah Smith) (著), 片岡宏仁 (翻訳), 経済学101 (翻訳) | 2025年書評40

昨年雑居ビルの経済学が過去バズったノア・スミスの新著になります。 note.com もともとの記事はSubstackで連載している彼のブログNoahpinionから翻訳してまとめられたものが経済学101にもまとめられています。 www.noahpinion.blog スタンフォード大学で物…

PRINCIPLES(プリンシプルズ) 人生と仕事の原則 | レイ・ダリオ (著), 斎藤 聖美 (翻訳) | 2025年書評39

レイ・ダリオと言えば誰もが知るブリッジウォーターで大成功を収めているヘッジファンドの一つです。世界の大局観を捉える彼の視点では中国の発展を予測し息子を留学させるほどの中国好き投資家の一人でもあります。 執筆活動も多く行っており、またYoutube…

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか | ナシーム・ニコラス・タレブ (著), 望月 衛 (翻訳) | 2025年書評38

最近ではカオスの帝王で描かれていたタレブの最初の著書であるまぐれについて読みました。タレブの本のファンであり、たまたまの物事について過大評価されている部分を痛烈に批判します。 MBAで優秀そうに振る舞うスーツ姿の男たち、株価が上がった材料を雄…

米中戦争を阻止せよ トランプの参謀たちの暗闘 | 村野 将 (著) | 2025年書評37

アメリカのハドソン研究所はアメリカのシンクタンク。そこで働く村野さんの著書を読みました。 ja.wikipedia.org そもそも国防について素人すぎてハドソン研究所すらよく分からなかったり、なぜGDP比での拠出について言及するのかという点があまり理解できな…

ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法 | Kazu Languages (著) | 2025年書評36

OmoTVというランダムに世界中の人々とテレビ電話でつながる事ができるサービスを通じて様々な外国人と母国語で話す青年のドッキリ動画があります。 www.youtube.com 最近ではPIVOTでのインタビューにも出演し、著書である最強の外国語習得法について話してい…

ことば、身体、学び 「できるようになる」とはどういうことか | 為末 大 (著), 今井 むつみ (著) | 2025年書評35

為末大さんと今井むつみさんの二人により「できるようになる」ということについて探索していく対談形式の書籍になります。今井むつみさんは以前読んだ言語の本質でも語られているようにオノマトペの話が有名かもしれません。言語というものに対して新しい気…

世界史を変えた薬 | 佐藤 健太郎 (著) | 2025年書評34

一昔前に比べると驚異的に寿命年齢が伸びていますがその背景には科学の進歩、創薬開発が重要な役割をしています。ほんの100年前には平均寿命は男性42歳、女性43歳であり今ではバリバリ仕事をするような年齢でした。 樋口一葉は24歳、石川啄木は26…

仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝 | 鵜飼秀徳 (著) | 2025年書評33

京都の名門企業である島津製作所。最近では創業150周年の記念アニメーションを公式から出されています。 www.youtube.com 仏具とノーベル賞 京都・島津製作所創業伝 作者:鵜飼秀徳 朝日新聞出版 Amazon Summary + Notes | まとめノート 京都 京都は長い歴史…

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム | クレイトン M クリステンセン (著), タディ ホール (著), カレン ディロン (著), デイビッド S ダンカン (著), 依田 光江 (翻訳) | 2025年書評32

イノベーションのジレンマで有名なクリステンセンの著書、ジョブ理論を読みました。本の概要は次の記事にまとめられているので本を読む前に読んでみるのも良いでしょう。 hbr.org Wikipediaの説明は次のようなものです。 ジョブ理論とは、人がどのようなもの…