島生活なんて言うと東京では味わえないもの、まして23区ではそんな所ないのではと思います。思い返せば東京の海岸線は品川や皇居付近まで海であったと言います。23区の海岸線なんて埋立地、中には橋で繋がれている島も多くあります。大人気のタワマン地区豊洲なんてよく考えたら島ですし、大田区なんて昭和島、平和島、勝島と島が沢山あります。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:History_of_Tokyo_Bay,IImage_Map.JPG
著者の高橋さんが自ら佃島という中央区にある島に住み、23区の中の島を散歩する様子が描かれたエッセイ作品でとてもおもしろい本でした。
📒 Summary + Notes | まとめノート
佃島
中央区にある佃島は江戸時代からある漁師が作った島になります。タワーマンションが乱立する地域にもなります。著者の高橋さんは都内の島暮らしにあこがれて佃島に住んでいたようで、朝の散歩風景で釣りをするおじさんなど、東京ではあまり印象にないですが日本のどの海沿いの町にもある風景をみます。
本書を通じて街を歩きその土地のひとと話、その土地の面白いことを聞いて回る姿もドラクエのような雰囲気で面白いものです。
長屋のような家もまだ存在しており、地名にある佃屋さんもある。日本最古と言われる盆踊りもやられているなど土地柄の物語が記録されています。
大田区の島々
大田区は海に面しており、工業地帯でもあります。城南島という羽田の眼の前に島があります。城南島食堂はうな丼が500円で提供されており、食べに行くも城南島はジャングルさながらの雑草だらけ。トラックが多く通り、城南島食堂にいくとうな丼はすでに売り切れ。
城南島を散策すると聞き慣れない工場がたくさんあり、そこには絶景ビーチ。
京浜島にはリサイクル家具屋さんがあり、工作機械屋がある。面白い風景をみつけるコツは果敢にひとと接することだということで、「ご自由に御覧ください」と書いてあるのを見れば進んで入ってみることが大事だと言います。島の歴史を知りたいと言うと誰かがまとめた修士論文を見せてくれたりと、以外に紹介してくれるひとに遭遇。
勝島は競馬場がある島ですが、戦争の際に勝つことを祈願しネーミングされたようです。その隣には戦後に作られ平和を祈願した平和島。空港の目の前ということで絶景ビーチもあります。
感想
どこかに記録を残しておくことでその町の歴史を未来の誰かが見つけてくれればということで様々記録がありました。東京のように変化の多い都市ですと昔の景色が消え、そこで歴史も薄れていくというのは仕方のない移り変わりです。日記やエッセイもどうようで、自分の過ごした日々というのは時間とともに記憶が薄まるということは脳の仕組みです。
訪れた町について誰かに質問して町の歴史や面白いことを知り、それを記録していく。とても地道で情報がありふれた現代でそんなことするなんて面倒、なんて思いもありますが、記録することの大切さを感じられる本でした。
日常に面白いものを見つけていくというのは仕事で忙しく過ごしていると忘れがちです。すこし立ち止まると町の中に面白いお店や歴史など埋もれていると思います。そういった小さな面白さに立ち止まれるような余裕を持った時間が大切に感じます。
最近エッセイものの本にも興味が強くなってきているのも、誰かが過ごした記録を除いてみたいとの思いからでした。歴史ものの本も好きになってきていますし、また自分の住んでいる土地の細かなことなどその土地のことを詳しそうなひとなどに聞いて回りたいななんて感じました。