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医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68 | 牧田 善二 (著) | 2022年書評#38

 

 

📒 Summary + Notes | まとめノート

人類共通して大事な物事に食事があります。日々の生活で必要であり、健康に大きく影響を与える食事に対してあやふやな情報が多くエビデンスがない議論になりがちな気がします。

本書によると、40歳の人の8割は健康下流状態にあるといいます。この健康問題に対して多くのところは血糖値にあり、血糖値により病気や不調の9割は紐づけられることができるそうです。

血糖値をキーとした正しい食事の取り方とは一体どんなものなのでしょうか。

最強の食事

医者が肥満を注意する原因として、あらゆる病気の原因となることは疑いの余地がないと言われています。では、肥満がどのような状態から引き起こされるかというと、血糖値が高い状態です。

血糖値を上げる原因は糖質(≒炭水化物)です。脂質やタンパク質は血糖値を上げません。

血糖値の上がり方もまた大切なポイントです。缶コーヒーや野菜ジュースなど液体物に関しては30分後には血糖値がピークに達しその後低下するという血糖値スパイクという現象を起こします。血糖値が一気に上がるとセロトニンドーパミンなどといった脳内物質が分泌されるため至福点と呼ばれるハイな気分となります。大きく血糖値が下がるというのもまた問題で、イライラや眠気などを引き起こす原因になると言われています。

ただし、糖質というのは生きる上で欠かせない栄養です。さて、そうしたらどのように糖質を取得すれば血糖値の急激な上下動なく栄養が取れるのでしょうか。

医学的に正しい食べ方

糖質は今のところ唯一の太る原因と言われています。よく挙げられるカロリー、脂質、コレステロールなどは関係が無いという見解が今では一般的のようです。

お米も含め糖質(≒炭水化物)が原因のために、フルーツなども肥満の原因になります。また、食事を一度に多く糖質を摂取するよりも小分けに食する方が良いなども効果的です。また、血糖値を上げないために、食事後すぐに運動をして血糖値の制御をするのも良いでしょう。

ここで良い食材として挙げられているものは、オリーブオイル、ナッツ、ワイン、チョコレート、大豆、チーズ、ブルーベリー、無糖コーヒー、酢、生ものなどです。

やせる食事術

さて、糖質が肥満の原因としていましたがもう少し紐解いていきましょう。糖質はエネルギーとして消費される一方、過剰摂取された糖質は分解されたあとブドウ糖になります。ブドウ糖が余ると中性脂肪として蓄積されることになります。

血糖値は上がりすぎても下がりすぎてもよくないと言われております。血糖値を摂取すると分解されブドウ糖が血液中に増加。血糖値の上がり過ぎを抑えるためにインスリンが分泌されます。インスリンブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉の細胞に送り込み体を動かすエネルギーとなります。そのため、インスリンの分泌低下も肥満の原因となり得ます。

実際にどうすれば良いのでしょう。

まずベースとなるのは糖質量の制御です。体重を落とすためには1日の糖質量を60gいかに抑えるのが理想。体重を維持するためには男性で120g、女性で110gが基準となります。わかりやすいイメージではうどんひと玉の糖質が53gと言われているため、痩せたい時期はうどんひとたま程度の摂取量にしましょう。

そんなこと言われても甘いものを食べたい時はありますよね。接種する際には、血糖値の上げ下げを行いやすい液体のもの、または砂糖が多く入ったケーキやお菓子はできる限り避け、固形物である白米や玄米などがベターです。

接種の仕方も血糖値に大きな影響を与えます。食事の際に野菜→タンパク質→糖質といった摂取をすると、血糖値の上がりはマイルドになります。また、水分も重要です。水分を多く摂取することで血液中の血糖値は薄められます。

血糖値の抑える食材もあります。オリーブオイル、ワイン、シナモンなどです。

24時間のパフォーマンスを最大化する食事術

前述したように血糖値の上下が大きいと肥満の原因につながるとありましたが、生活のパフォーマンスにも影響を与えます。

糖質は体を動かすエネルギーでもあるために、接種する場合は朝がよくまた、接種方法は野菜など摂取したのちがベストです。

食後に眠くなる原因には血糖値の大きな変動が挙げられています。そのため、食事はゆっくり噛みながら摂取し、できれば炭水化物などは避けると良いようです。また食後の軽いウォーキングも効果的です。

炭水化物を摂取する際に脂質を一緒に食べると血糖値を上げにくいこともわかってきています。オリーブオイルのパスタやチャーハンなど炭水化物の取り方によって血糖値の上昇を抑制する方法も覚えておくと良いでしょう。

老けない食事術

老いとの戦いは一生の人間のテーマですよね。老化現象の原因はAGE(終末糖化産物)と呼ばれる物質です。AGEはタンパク質や脂質がブドウ糖と結合してでき、ブドウ糖が過剰に余っていると老化を促進させる原因となり得ます。

AGEはシミやシワの原因となったり、動脈硬化を引き起こすようにもなります。

血糖値により太り、老け、そして病んでいくというスパイラルですね。

AGEはある種コゲのようなものでもあるため、加熱料理に多く見られます。焼く、揚げるなどはまさしくAGEを増やす調理方法です。紫外線やタバコも同様です。

AGEの対策には、うなぎ、鶏肉、マグロなどカルノシンという強い抗酸化力を持つ食材や、豚肉、玄米などのビタミンB1、B6を含むもの、ポリフェノールなども良いと言われています。

病気にならない食事術

病気にならない、つまり免疫力を上げる食事術とは一体どのようなものなのでしょうか。

天然物以外の接種はなるべく避けること、また、食品添加物人工甘味料などもできれば避けるほうが良いとされています。原因としては添加物の多くは発がん性があるとされるものが多いようです。

また、消化や吸収を手助けするためによく噛んで食べることや、腸内環境をよくしておくことも大事です。

また、塩分の上げ過ぎも高血圧を引き起こすために塩分にも意識して、時には塩分を排出するカリウム(野菜や果物に多く含まれる)を意識的に摂取するのも良いでしょう。

100歳まで生きる人に共通する10のルール

  1. 豆類をたくさん食べる
  2. 野菜はたっぷり多種類食べる
  3. 坂道を歩く
  4. 死ぬまで働く
  5. 生きがいを持つ
  6. 徹底的な健康チェック
  7. 食べすぎない
  8. アルコールを嗜む
  9. チョコレートを食べる
  10. 医者を選ぶ

感想

最近ではかなり認知度が上がってきた血糖値に紐づいた健康に関する本で、生化学の視点からわかりやすい説明が多く納得感のある内容でした。

食事に関してはどうしても全てコントロールし切るのは難しいですが、一方で日々から気をつけて習慣にもしやすいテーマです。

血糖値を意識することや理由を理解するだけで、モチベーションや具体的なアクションが分かればより気をつけることができるのではないでしょうか。

一時期より糖質制限について語られることも少なくなってきた気もするので、日頃から情報をアップデートしつつ良い習慣をするよう心がけたいと思いました。

「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法 | ジル・チャン (著), 神崎 朗子 (翻訳) | 2022年書評#37

📒 Summary + Notes | まとめノート

学校生活から社会人になるまで、人生で多くのところで活躍するのは外向型人間の側面は強く、元気よく、社交的な人が良いとされるケースが多いのではないでしょうか。世の中で評価されているのは外向型の人ばかり、、なんて思いがちな中で本書は勇気づけられる内容ではないでしょうか。

本書の著者ジルチャンは台湾人でありながらアメリカで大学、キャリアを積み台湾に戻ってきています。内向型の性格ながら、外向型の本場とも言えるアメリカで優秀な成績を収め、かつインターンシップなど競争が激しい仕事の側面でも活躍しました。

内向型の人でもいい、内向型でもこんな戦略があるのか。冒頭で書かれているように、本当の自分を見失わずに、自分らしくあっても良いということを多くの人に望み本書を書かれています。

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静かな人の仕事の戦略

仕事の場である種はったり力が必要とされるケースは多く訪れます。著者のジルもそういった場面にストレスを感じることが多かったようです。スピーチを行うことも多く、情報集めを余念なく行い、何度も練習します。

ある日ジルが内向型のアドバンテージを感じたのは、控えめな態度の誠実な日々の対応が投資家の心を掴み資金調達ができた時です。ハッタリをかます必要もなければ、業界用語を並べ立てる必要もなかったと言います。

インターンシップを勝ち取った際にはマネジメントに興味のあるスポーツを挙げ理由を書くという筆記形式の試験がありました。この際にジルは台湾出身であるという利点を活かし、ミネアポリスという土地柄野球を選ぶ人が少ない状況、台湾出身選手が野球で活躍する環境に役立てるということでアピールすることで、周りの優秀な候補者たちの中から選出されることになります。

内向型な性格の人たちは脳をどう活用しているか。内向型はじっくり考える傾向にあること、長期記憶に頼る傾向があります。こういった人たちは外向型の反射能力には及ばない側面があるため、外向型になろう、という考えは得策でないことがあります。これは科学的見地からも先天的・後天的側面があるため無理をする必要もないと言います。

シリコンバレーで活躍するマリッサメイヤーも典型的な内向型人間でありました。マリッサメイヤーは子供のころから、観察者であり、リーダーであり、全力で仕事に没頭するタイプでした。このストーリーを知ったジルはとても勇気づけられたそうです。内向型の人はエネルギーをチャージするには一人になる必要があるため、スピーチ会場に到達した際にはいつもトイレの場所を確認し一人で籠り集中すると言います。

仕事選びの際に、内向型の人はこんな仕事に向いているという情報もあるでしょう。ジルはそんな時には自分が最も大切にしたい価値観を見直すことが一番大切といいます。①大きくなったら、何になりたいと思っていたか?②どんな仕事に魅力を感じるか?③どんなものに憧れるか?④生まれつき才能に恵まれていることは?の4つの質問を自身に問いかけ、「あなたや私だけにぴったりの仕事なんてものは、存在しない」という大前提を理解しつつ、自分が価値を最大限発揮できる環境をその時々で見つけていくことが大切です。

内向型人間の一つの苦労に新しい環境で馴染むこともあります。この際は①仲間を見つけ、②仕事の能力を示し、③明確な成果を出す、という3点を意識するといいでしょう。その際に質問することはとても大切で、特に1対1が向いています。質問が明確であればあるほど助けられることも容易くなります。

CHAPTER 1:「はったり」はいらない

CHAPTER 2:戦略的に「得意なこと」で勝負する

CHAPTER 3:「核心」の能力を集中的に磨き上げる

CHAPTER 4:独特の「脳の特徴」を武器にする

CHAPTER 5:自分を「現実的」に見つめ、受け入れる

CHAPTER 6:ストレスフリーで「新しい環境」になじむ

静かな人の人間関係術

内向型人間は職場の突然のおしゃべりが苦手で、職場でも必要があることしか話さず静かな人とされるでしょう。友人のハードルも高くなかなか打ち解けるのも難しいです。そんな内向型にとって仕事というツールを使い力を合わせて困難に立ち向かい、固い信頼関係を結ぶことができるということが職場です。

揉め事は内向型人間が苦手なことの一つでしょう。そんな時は①ひと息ついて、②思いやりを持って相手の話をきく③コミュニケーションのチャンスにし④引きづらない、ようにするといいでしょう。

仕事の場の人間関係で大切なのは、どのように情報を伝えるかだけでなく、自分が伝えたい情報を相手に十分に理解させることです。また、有効的な関係を築くよりも、相手に困りごとがあるときに頼りにしてもらえるかが大切です。普段から感情的にならず、あまりにも自分ごととして抱え込まずに落ち着いた気持ちで対応すると良いでしょう。

静かな人の傾聴力は過小評価されていることも多いですが、傾聴力を活かして、顧客のニーズを掴んだり、高い分析能力は活かすことは内向型の人のアドバンテージとも言えます。

CHAPTER 7:仕事の戦場で「味方」を増やす

CHAPTER 8:落ち着いて「もめごと」をさばく

CHAPTER 9:「他人の感情」にいちいち振り回されない

CHAPTER 10:「電話」は難敵にも強い味方にもなる

CHAPTER 11:「交渉」を成功させるカギは聞く力

CHAPTER 12:「出張」で力の浪費を最小限に抑える

CHAPTER 13:外向型文化の中で「バックハンド」で戦う

冷静な力を人前で生かす

内向型にとって人前に立つことは多くのエネルギーを使います。そんな時は、行かないという選択肢を持ってみることも良いです。モチベーションがこれっぽちもないとわかったら行くのはやめてみましょう。もし参加することに決めたら前向きに心構えをしましょう。

参加する場合は、具体的な目標を設定するのも良いモチベーションになります。知識を深めたいのか、3人と知り合いになる、誰か一人と話しかける、そんな目標でもOKです。

イベントに参加した時には、一人になれる逃げ場所を見つけておくことや、助け舟の電話などの対処方法もあります。他にも、主催者の手伝いをしたり、少人数の輪に入ること、人を紹介するなども良いでしょう。

緊張することもネガティブなことではありません。緊張は自然な反応であると割り切って誰しもが悩んでいる症状として受け止めましょう。

SNSや文章などのプライベートな領域を守りつつ広い範囲の人々と交流できる方法など活用しながら交流するのも良いでしょう。

CHAPTER 14:長所を生かせば「イベント」は楽勝である

CHAPTER 15:そもそも、本当に行く必要があるのか?

CHAPTER 16:勝敗は「始まる前」に決している

CHAPTER 17:社交は「戦略」がすべて

CHAPTER 18:人前で話す極意

CHAPTER 19:会議で「隠れる」ことはできない

CHAPTER 20:静かな人は「SNS」を使い倒すべし

静かな人の潜在能力

成功者の共通点としてアダムグラントは謙虚さだと言います。①自分の弱点や自分に欠けているものを知っている②個人の利益よりもチームの利益を優先する③常に勉強と練習を怠らないという特徴が謙虚な人にはあります。まさに内向型の人の特徴と重なりますね。

チームとしてスタープレーヤーばかりでは成り立ちません。ロールプレイヤーばかりでも成り立たない。内向型と外向型がタッグを組むチームが最も良いでしょう。リーダーやマネージャーは気質を理解し、内向型には発言を外向型には傾聴を促すことが大切でしょう。

上司のタイプを理解しておくことは社会人で大切でしょう。心理学者ウィリアムマーストンが考案した性格類型検査DISCでは4つのタイプがあります。

  1. 主導型:状況をコントロールしたい
  2. 感化型:新しいことが大好き
  3. 安定型:伝統や和を重視
  4. 慎重型:正確なデータで判断する

これらの上司に対してどうすれば良いのか。台湾のイノベーションマネジメント公演化ジャッキーリューは以下のように例を挙げています。

  1. 主導型のマネージャーには、企画書の内容を1ページにまとめた概要を提出する。
  2. 感化型のマネージャーには、企画書の見栄えに力を入れる。
  3. 安定型のマネージャーには、実務的な内容にする。
  4. 身長型のマネージャーには、企画書は分厚ければ分厚いほどいい。

ジルはより細かく本書に記載しています。

  1. 主導型:ポイントを説明し自分なりの評価や提案を加える。
  2. 感化型:新規制と裏付けを伝えること。
  3. 安定型:過去のプロジェクトなどの事例を数多く言及。
  4. 慎重型:説明は、手堅く、徹底的で、詳細であればあるほどよい。

また、上司や上層部にとって最も重要な3〜5つの目標を理解すれば、自分のリソースや時間を同配分すれば良いか、理解できるようになるとカーンウェイラーは述べています。

内向型人間は控えめになりすぎますが、自分の成果は忘れず記録しておくことは忘れないようにしましょう。

また、内向型はリーダーにも向いています。ビルゲイツやウォーレンバフェットも典型例でしょう。

賢明な内向型は物事を深く考えるための時間を惜しまない、文献に慎重に目を通す、期待を超える頑張りで問題を解決するといった長所を自ら見つけることができるとビルゲイツは述べていました。

CHAPTER 21:「謙虚さ」こそが成功をもたらす

CHAPTER 22:タイプを混ぜれば「最強チーム」ができる

CHAPTER 23:あえて「正反対」の相手とタッグを組む

CHAPTER 24:上司を「管理」して、正当な評価を得る

CHAPTER 25:リーダーに「カリスマ」はいらない

CHAPTER 26:「静かな羊」がライオンを導く

感想

内向型に対する総まとめ本のような内容でした。マインドセットの部分から、実践的な対処法まで含め書かれておりとても勇気づけれられる方も多いのではないでしょうか。

特に仕事での振る舞いや上司との関係や対処法に関しては、内向型、外向型関わらずとても良い事例だったのではないでしょうか。

オードリータンも重要としてあげている傾聴能力は内向型にとってとても武器になる能力でしょう。

①仲間を見つけ、②仕事の能力を示し、③明確な成果を出す、という3点はとても良いアドバイスでしょう。

このために上司の傾向を認識し、自身の成果を記録しておくことなどは実践的に日毎からしておきたいと思いました。

提案の方法についても4つの大きなパターン認識は上司のみならず、顧客への対応にも言えると思います。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/myers-briggs-personality-types マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標(MBTI)の16パーソナリティを知ろう
  2. https://amzn.to/3dB5XDC 内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力 単行本(ソフトカバー) – 2013/5/14 スーザン・ケイン (著), 古草 秀子 (翻訳)
  3. https://amzn.to/3dJHtrF The Secret Lives of Introverts: Inside Our Hidden World (English Edition) Kindle版 英語版 Jenn Granneman (著), Adrianne Lee (イラスト) 形式: Kindle
  4. https://amzn.to/3BIPZiz FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争 (角川ebook nf) (角川ebook nf) Kindle版 ニコラス・カールソン (著), 長谷川 圭 (著)
  5. https://amzn.to/3r6mnqs 小心者が世界を変える (ヴィレッジブックス) 文庫 – 2006/1/1 マーティ・O. レイニー (著), Marti Olsen Laney (原著), 務台 夏子 (翻訳)
  6. https://amzn.to/3BHgkxp 鈍感な世界に生きる 敏感な人たち Kindle版 イルセ・サン (著), 枇谷玲子 (翻訳)
  7. https://amzn.to/3dGBAeR The Introverted Leader: Building on Your Quiet Strength ペーパーバック – 2018/3/6 英語版 Jennifer B. Kahnweiler (著), Douglas R. Contant (はしがき)
  8. https://amzn.to/3SvcK0b マッティは今日も憂鬱 単行本 – 2017/4/27 カロリーナ・コルホネン (著, イラスト), 柳澤 はるか (翻訳)
  9. https://amzn.to/3xQziAA 内向的な人こそ強い人 単行本 – 2014/2/28 ローリー ヘルゴー (著), Laurie Helgoe (原著), 向井 和美 (翻訳)
  10. https://amzn.to/3RqOknT とにかくやってみよう──不安や迷いが自信と行動に変わる思考法 単行本(ソフトカバー) – 2009/9/16 スーザン・ジェファーズ (著), Susan Jeffers (原著), & 1 その他
  11. https://amzn.to/3C50PRs WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う 単行本 – 2012/1/25 サイモン・シネック (著), 栗木 さつき (翻訳)
  12. https://amzn.to/3SsTy3a Talking with Confidence for the Painfully Shy: How to Overcome Nervousness, Speak-Up, and Speak Out in Any Social or Business Situation (English Edition) Kindle版 英語版 Don Gabor (著)
  13. https://amzn.to/3DSFj3Q Quiet Influence: The Introvert's Guide to Making a Difference (English Edition) Kindle版 英語版 Jennifer B. Kahnweiler (著)
  14. https://amzn.to/3r3g3jJ 誰もが嘘をついている~ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性~ (光文社未来ライブラリー) Kindle版 セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツ (著), 酒井 泰介 (翻訳)
  15. https://amzn.to/3BAB2z6 ハーバードの心理学講義 Kindle版 ブライアン・R・リトル (著), 児島修 (翻訳)

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム | ステファノ・マンクーゾ (著), アレッサンドラ・ヴィオラ (著) | 2022年書評#36

植物に関する本を読みました。

 

 

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📒 Summary + Notes | まとめノート

近年SDGsの話題がよく上がります。その中で動物のケアを行うアニマルウェルフェアが叫ばれ始め、ビーガンの認知度も大きく向上しました。そうする中で、植物を食するのはなぜ動物と食するのと切り離されて良いとされるかという疑問を持つようになりました。

知性を持っていないように見えるからOKなのか。動物のゲップに含まれるメタンガスによる地球温暖化と切り離されるから良いのか。

仮に植物が知性を持っており、意志があるとするのであれば今度は植物すらも食べることをよしとしなくなるのでしょうか。

問題の根っこ

多くの文化において、暗黙の共通認識として人間が最も優れた生物であると当然のように信じられています。生き物の中でも植物は神格化する宗教がある一方で低くカテゴライズされてもいます。

ダーウィンをはじめ植物に関する研究は数多く行われてきたのですが、植物学は中々評価を上げることができず、植物を生物全体の最下位に追いやっているという現実もあります。

動物と違う生活スタイル

植物は動物と異なる性質を持ちます。植物は胃や口がなくても栄養を摂取でき、骨格がなくても直立しており、脳がなくても決定を下すことができます。

独特の生理のおかげで、植物は体の大部分が切り離されたとしても、死んでしまうことがありません。

また肉眼で動きがあまり見えないために、止まっていると思われる植物は光を求めて成長の方向を変化させます。

食用として切り取られても成長を続けられることができ、空気を栄養に酸素を排出したり、光を栄養として成長ができることから、人間の生態系にとって欠かすことができない存在になっています。

20の感覚

さて、植物は目も鼻も耳もない。そうしたら視覚、嗅覚、聴覚、味覚を持っていないのでしょうか。本書ではこれをノーと言います。

根っこは光恐怖症に襲われているかのように、どんな光からも急いで遠ざかろうとする負の屈光性を呼ばれる性質を持ちます。土をゲルに置き換えて生物を育てると、通常よりも早いスピードで根は成長し光から逃げようとするのです。これは植物がその身体の大部分に光受容体を持つからです。

嗅覚と似たような効果もあります。ジャスモン酸メチルはストレスにさらされた多くの植物が放つ化合物で、植物の体調を示すメッセージのようなものです。これは昆虫などに食べられると出ることから、他の植物へSOSの意味をもつとも言われています。

ハエトリグサは味覚ともち、オジギソウは触覚を持つように振る舞います。ある植物の根はクリッキングと呼ばれる音を出すことも確認されており、植物は感覚を持っていると言っても良いでしょう。

未知のコミュニケーション

植物の構造を見てみると、体内でまた植物同志でコミュニケーションをとっていることもあります。

維菅束系では人間の血管のように栄養を伝達し、気孔は水分や光の状態に応じて開閉をおこないます。花粉や種子を外部に届けあい他の植物とコミュニケーションもします。

桜は受粉の時にミツバチが白い色がよく見える性質を活かして白く美しい花びらを咲かせ、赤いさくらんぼの身は葉の間でもよく見えるために鳥を誘き寄せます。食べられたさくらんぼは排泄として異なる場所に種子が運ばれ違う場所で実を咲かせます。

はるかに優れた知性

ここまでの話をもとに、植物が知性を持っているか考えてみましょう。

まず、植物が下等生物として扱われている点に対して地球という星を考えてみます。地球上の生物全体の総重量のうち、植物はなんと99.7%にも及び人間と動物を全て合わせてもごくわずかです。この観点から植物が地球を支配していると言ってもよく聞こえますね。

植物には脳がありません。脳がないなら知性がないのか?そもそも知性の定義を考える必要がありますよね。本書では知性を「知性は問題を解決する能力である」と定義します。

そう考えると、植物は多くの感覚を持ち、また動けない性質ながらも他の生物を利用して動くことが可能であり、自ら栄養を摂りに行ったり、体内をコントロールしたりしていますよね。

根っこは脳のように、数多くの変数を計測し、重力、温度、湿度、磁場、光、圧力、化学物質、有毒物質、音の振動など記録しそれに応じて根を伸ばしていきます。データ処理センターのようですね。

植物について考えるときに、「動かない」、「感覚を持たない」というレッテルを貼っていますが、これまで述べてきたように似たような機能を持っています。

また、動物は植物に依存していますが、植物は太陽に依存していることを考えると、植物は太陽と動物の世界をつなぐ媒体でもあります。

感想

植物は知性を持つのか?という疑問はなかなか難しいよう議題に思います。というのも定義次第でとんちのような話になってしまうようにも感じます。

本書を読んで思ったのは、人類の想像する知性が画一的でまた目に見えない価値観や人間の時間軸に依存する価値観の脆さ的な側面でした。

分子が動き回っているものすごい早いスピードも感じとることができなければ、ガラスのようにものすごい遅いスピードで流れることも感じ取ることができないために、植物のゆっくりな動きや成長も見逃していることが多くあります。

同様のことは対人関係にも通ずることがある気がします。ある時デヴィッドフォスターウォレスがスピーチしたように、人間のデフォルト設定でしか見ることのできない視点があります。

コロナを機に始めた植物のタイムラプス撮影などをしていると、人間はいかに自分たちの時間軸に縛られており、そこから逸脱して物事を理解する難しさがあるのかと感じます。 

 

 
 
 
 
 
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植物を知るためにとても良い本だったように思いました。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/3BrA1t1 植物の運動力 単行本 – 1987/1/1 C. ダーウィン (著), 渡辺 仁 (翻訳)
  2. https://amzn.to/3BtYw95 種の起源(上) (光文社古典新訳文庫) Kindleダーウィン (著), 渡辺 政隆 (翻訳)
  3. https://amzn.to/3DBwxXM 人類が消えた世界 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 文庫 – 2009/7/5 アラン・ワイズマン (著), 鬼澤 忍 (翻訳)
  4. https://amzn.to/3xvrnIH 欲望の植物誌―人をあやつる4つの植物 単行本 – 2012/10/1 マイケル ポーラン (著), Michael Pollan (原著), 西田 佐知子 (翻訳)
  5. https://amzn.to/3LqTYVF 創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク 単行本 – 2004/3/1 スティーブン ジョンソン (著), Steven Johnson (原著), 山形 浩生 (翻訳)