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「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法 | ジル・チャン (著), 神崎 朗子 (翻訳) | 2022年書評#37

📒 Summary + Notes | まとめノート

学校生活から社会人になるまで、人生で多くのところで活躍するのは外向型人間の側面は強く、元気よく、社交的な人が良いとされるケースが多いのではないでしょうか。世の中で評価されているのは外向型の人ばかり、、なんて思いがちな中で本書は勇気づけられる内容ではないでしょうか。

本書の著者ジルチャンは台湾人でありながらアメリカで大学、キャリアを積み台湾に戻ってきています。内向型の性格ながら、外向型の本場とも言えるアメリカで優秀な成績を収め、かつインターンシップなど競争が激しい仕事の側面でも活躍しました。

内向型の人でもいい、内向型でもこんな戦略があるのか。冒頭で書かれているように、本当の自分を見失わずに、自分らしくあっても良いということを多くの人に望み本書を書かれています。

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静かな人の仕事の戦略

仕事の場である種はったり力が必要とされるケースは多く訪れます。著者のジルもそういった場面にストレスを感じることが多かったようです。スピーチを行うことも多く、情報集めを余念なく行い、何度も練習します。

ある日ジルが内向型のアドバンテージを感じたのは、控えめな態度の誠実な日々の対応が投資家の心を掴み資金調達ができた時です。ハッタリをかます必要もなければ、業界用語を並べ立てる必要もなかったと言います。

インターンシップを勝ち取った際にはマネジメントに興味のあるスポーツを挙げ理由を書くという筆記形式の試験がありました。この際にジルは台湾出身であるという利点を活かし、ミネアポリスという土地柄野球を選ぶ人が少ない状況、台湾出身選手が野球で活躍する環境に役立てるということでアピールすることで、周りの優秀な候補者たちの中から選出されることになります。

内向型な性格の人たちは脳をどう活用しているか。内向型はじっくり考える傾向にあること、長期記憶に頼る傾向があります。こういった人たちは外向型の反射能力には及ばない側面があるため、外向型になろう、という考えは得策でないことがあります。これは科学的見地からも先天的・後天的側面があるため無理をする必要もないと言います。

シリコンバレーで活躍するマリッサメイヤーも典型的な内向型人間でありました。マリッサメイヤーは子供のころから、観察者であり、リーダーであり、全力で仕事に没頭するタイプでした。このストーリーを知ったジルはとても勇気づけられたそうです。内向型の人はエネルギーをチャージするには一人になる必要があるため、スピーチ会場に到達した際にはいつもトイレの場所を確認し一人で籠り集中すると言います。

仕事選びの際に、内向型の人はこんな仕事に向いているという情報もあるでしょう。ジルはそんな時には自分が最も大切にしたい価値観を見直すことが一番大切といいます。①大きくなったら、何になりたいと思っていたか?②どんな仕事に魅力を感じるか?③どんなものに憧れるか?④生まれつき才能に恵まれていることは?の4つの質問を自身に問いかけ、「あなたや私だけにぴったりの仕事なんてものは、存在しない」という大前提を理解しつつ、自分が価値を最大限発揮できる環境をその時々で見つけていくことが大切です。

内向型人間の一つの苦労に新しい環境で馴染むこともあります。この際は①仲間を見つけ、②仕事の能力を示し、③明確な成果を出す、という3点を意識するといいでしょう。その際に質問することはとても大切で、特に1対1が向いています。質問が明確であればあるほど助けられることも容易くなります。

CHAPTER 1:「はったり」はいらない

CHAPTER 2:戦略的に「得意なこと」で勝負する

CHAPTER 3:「核心」の能力を集中的に磨き上げる

CHAPTER 4:独特の「脳の特徴」を武器にする

CHAPTER 5:自分を「現実的」に見つめ、受け入れる

CHAPTER 6:ストレスフリーで「新しい環境」になじむ

静かな人の人間関係術

内向型人間は職場の突然のおしゃべりが苦手で、職場でも必要があることしか話さず静かな人とされるでしょう。友人のハードルも高くなかなか打ち解けるのも難しいです。そんな内向型にとって仕事というツールを使い力を合わせて困難に立ち向かい、固い信頼関係を結ぶことができるということが職場です。

揉め事は内向型人間が苦手なことの一つでしょう。そんな時は①ひと息ついて、②思いやりを持って相手の話をきく③コミュニケーションのチャンスにし④引きづらない、ようにするといいでしょう。

仕事の場の人間関係で大切なのは、どのように情報を伝えるかだけでなく、自分が伝えたい情報を相手に十分に理解させることです。また、有効的な関係を築くよりも、相手に困りごとがあるときに頼りにしてもらえるかが大切です。普段から感情的にならず、あまりにも自分ごととして抱え込まずに落ち着いた気持ちで対応すると良いでしょう。

静かな人の傾聴力は過小評価されていることも多いですが、傾聴力を活かして、顧客のニーズを掴んだり、高い分析能力は活かすことは内向型の人のアドバンテージとも言えます。

CHAPTER 7:仕事の戦場で「味方」を増やす

CHAPTER 8:落ち着いて「もめごと」をさばく

CHAPTER 9:「他人の感情」にいちいち振り回されない

CHAPTER 10:「電話」は難敵にも強い味方にもなる

CHAPTER 11:「交渉」を成功させるカギは聞く力

CHAPTER 12:「出張」で力の浪費を最小限に抑える

CHAPTER 13:外向型文化の中で「バックハンド」で戦う

冷静な力を人前で生かす

内向型にとって人前に立つことは多くのエネルギーを使います。そんな時は、行かないという選択肢を持ってみることも良いです。モチベーションがこれっぽちもないとわかったら行くのはやめてみましょう。もし参加することに決めたら前向きに心構えをしましょう。

参加する場合は、具体的な目標を設定するのも良いモチベーションになります。知識を深めたいのか、3人と知り合いになる、誰か一人と話しかける、そんな目標でもOKです。

イベントに参加した時には、一人になれる逃げ場所を見つけておくことや、助け舟の電話などの対処方法もあります。他にも、主催者の手伝いをしたり、少人数の輪に入ること、人を紹介するなども良いでしょう。

緊張することもネガティブなことではありません。緊張は自然な反応であると割り切って誰しもが悩んでいる症状として受け止めましょう。

SNSや文章などのプライベートな領域を守りつつ広い範囲の人々と交流できる方法など活用しながら交流するのも良いでしょう。

CHAPTER 14:長所を生かせば「イベント」は楽勝である

CHAPTER 15:そもそも、本当に行く必要があるのか?

CHAPTER 16:勝敗は「始まる前」に決している

CHAPTER 17:社交は「戦略」がすべて

CHAPTER 18:人前で話す極意

CHAPTER 19:会議で「隠れる」ことはできない

CHAPTER 20:静かな人は「SNS」を使い倒すべし

静かな人の潜在能力

成功者の共通点としてアダムグラントは謙虚さだと言います。①自分の弱点や自分に欠けているものを知っている②個人の利益よりもチームの利益を優先する③常に勉強と練習を怠らないという特徴が謙虚な人にはあります。まさに内向型の人の特徴と重なりますね。

チームとしてスタープレーヤーばかりでは成り立ちません。ロールプレイヤーばかりでも成り立たない。内向型と外向型がタッグを組むチームが最も良いでしょう。リーダーやマネージャーは気質を理解し、内向型には発言を外向型には傾聴を促すことが大切でしょう。

上司のタイプを理解しておくことは社会人で大切でしょう。心理学者ウィリアムマーストンが考案した性格類型検査DISCでは4つのタイプがあります。

  1. 主導型:状況をコントロールしたい
  2. 感化型:新しいことが大好き
  3. 安定型:伝統や和を重視
  4. 慎重型:正確なデータで判断する

これらの上司に対してどうすれば良いのか。台湾のイノベーションマネジメント公演化ジャッキーリューは以下のように例を挙げています。

  1. 主導型のマネージャーには、企画書の内容を1ページにまとめた概要を提出する。
  2. 感化型のマネージャーには、企画書の見栄えに力を入れる。
  3. 安定型のマネージャーには、実務的な内容にする。
  4. 身長型のマネージャーには、企画書は分厚ければ分厚いほどいい。

ジルはより細かく本書に記載しています。

  1. 主導型:ポイントを説明し自分なりの評価や提案を加える。
  2. 感化型:新規制と裏付けを伝えること。
  3. 安定型:過去のプロジェクトなどの事例を数多く言及。
  4. 慎重型:説明は、手堅く、徹底的で、詳細であればあるほどよい。

また、上司や上層部にとって最も重要な3〜5つの目標を理解すれば、自分のリソースや時間を同配分すれば良いか、理解できるようになるとカーンウェイラーは述べています。

内向型人間は控えめになりすぎますが、自分の成果は忘れず記録しておくことは忘れないようにしましょう。

また、内向型はリーダーにも向いています。ビルゲイツやウォーレンバフェットも典型例でしょう。

賢明な内向型は物事を深く考えるための時間を惜しまない、文献に慎重に目を通す、期待を超える頑張りで問題を解決するといった長所を自ら見つけることができるとビルゲイツは述べていました。

CHAPTER 21:「謙虚さ」こそが成功をもたらす

CHAPTER 22:タイプを混ぜれば「最強チーム」ができる

CHAPTER 23:あえて「正反対」の相手とタッグを組む

CHAPTER 24:上司を「管理」して、正当な評価を得る

CHAPTER 25:リーダーに「カリスマ」はいらない

CHAPTER 26:「静かな羊」がライオンを導く

感想

内向型に対する総まとめ本のような内容でした。マインドセットの部分から、実践的な対処法まで含め書かれておりとても勇気づけれられる方も多いのではないでしょうか。

特に仕事での振る舞いや上司との関係や対処法に関しては、内向型、外向型関わらずとても良い事例だったのではないでしょうか。

オードリータンも重要としてあげている傾聴能力は内向型にとってとても武器になる能力でしょう。

①仲間を見つけ、②仕事の能力を示し、③明確な成果を出す、という3点はとても良いアドバイスでしょう。

このために上司の傾向を認識し、自身の成果を記録しておくことなどは実践的に日毎からしておきたいと思いました。

提案の方法についても4つの大きなパターン認識は上司のみならず、顧客への対応にも言えると思います。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/myers-briggs-personality-types マイヤーズ・ブリッグスタイプ指標(MBTI)の16パーソナリティを知ろう
  2. https://amzn.to/3dB5XDC 内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力 単行本(ソフトカバー) – 2013/5/14 スーザン・ケイン (著), 古草 秀子 (翻訳)
  3. https://amzn.to/3dJHtrF The Secret Lives of Introverts: Inside Our Hidden World (English Edition) Kindle版 英語版 Jenn Granneman (著), Adrianne Lee (イラスト) 形式: Kindle
  4. https://amzn.to/3BIPZiz FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争 (角川ebook nf) (角川ebook nf) Kindle版 ニコラス・カールソン (著), 長谷川 圭 (著)
  5. https://amzn.to/3r6mnqs 小心者が世界を変える (ヴィレッジブックス) 文庫 – 2006/1/1 マーティ・O. レイニー (著), Marti Olsen Laney (原著), 務台 夏子 (翻訳)
  6. https://amzn.to/3BHgkxp 鈍感な世界に生きる 敏感な人たち Kindle版 イルセ・サン (著), 枇谷玲子 (翻訳)
  7. https://amzn.to/3dGBAeR The Introverted Leader: Building on Your Quiet Strength ペーパーバック – 2018/3/6 英語版 Jennifer B. Kahnweiler (著), Douglas R. Contant (はしがき)
  8. https://amzn.to/3SvcK0b マッティは今日も憂鬱 単行本 – 2017/4/27 カロリーナ・コルホネン (著, イラスト), 柳澤 はるか (翻訳)
  9. https://amzn.to/3xQziAA 内向的な人こそ強い人 単行本 – 2014/2/28 ローリー ヘルゴー (著), Laurie Helgoe (原著), 向井 和美 (翻訳)
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  12. https://amzn.to/3SsTy3a Talking with Confidence for the Painfully Shy: How to Overcome Nervousness, Speak-Up, and Speak Out in Any Social or Business Situation (English Edition) Kindle版 英語版 Don Gabor (著)
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