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シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略 | 洞田貫 晋一朗 (著) | 2022年書評#46

 

📒 Summary + Notes | まとめノート

集客に最も成功している美術館として森美術館が挙げられるでしょうか。その集客戦略、主にSNS活用について書かれた本書を読みました。

 
 
 
 
 
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印象に残った文章

  • 現代アートの美術館は、この時代、この場所で扱うべき作品を、洗練したキュレーションを通して見せることに価値があります。だからこそ、多くの人を感動させ、時には社会を動かすような展示会ができると思うのです。
  • 情報のその先にある感動が人を動かす
  • 森美術館が撮影可能な美術館を続けていくためにも、撮影OKであることを何度も何度も伝えていく必要があると思っています。
  • 画面の向こうにいるお客さんを想像し、彼らが本当に必要としている情報を淡々と投稿していく
  • 多くの人に見てもらえることで、アーティストやキュレーターのメッセージが広がり、社会で議論が起きるなど、さまざまな価値が生まれます。せっかくいい展示をしても、見る人がいなければ何の価値もありません
  • 文化・芸術は経済よりも上にあるべきもの
  • 設計図を作るとき、まず明確にしたいことがあります。自分達が伝えたいこととその先にあるものです。わかりやすく言えば、前者は目的、後者は志、理念といったところでしょうか。

感想

海外の美術館に行く際によく思っていたのは日本の美術館では撮影ができなかったり、座り込んで過ごしたりできないことでした。美術館は静かに過ごしてみるもの、という一方でその作品との時間を自由に過ごせる海外の美術館はまた日本と異なる感覚です。

また、上海でいくつかの美術館に行った際にほとんど撮影可能で、文化的な側面はあるものの自由にSNSに挙げる風景も新鮮でした。

一方で美術館とする機能を嘆く声があるのも理解できることです。

時代といえばそれまでなのかもしれませんが、新しい形への移行もありつつも大切にされてきた文化の側面がどこかに残り続けることも期待したいと思います。

コスト削減と再エネ導入を成功させる 最強の電力調達 完全ガイド | 久保 欣也 (著), 三宅 成也 (著), 山根 小雪 (著) | 2022年書評#45

電力調達に関わる本を読みました

📒 Summary + Notes | まとめノート

仕事の場面でもすっかりとおなじみになってきた脱炭素やエコの話題。CO2排出量を抑えようという目標に応じてどの会社も排出量を計測することが増えてきているように思います。

その中で大きなビジネスが生まれそうなのが再生エネルギーによる電力需要です。CO2排出に向けてカーボンニュートラルなオフィス、製造ライン、輸送ラインを目指す中で電力はお金で解決できるポイントになり、大きなビジネスチャンスが蠢いているように思います。

電力の基本

電力は4ステップで構成されております。

  • 電力をつくる
  • 電力を送る
  • 電力を売る
  • 電力を使う

電力自由化に伴い、作る、送る、売るを一貫して担っていたのは東電などの電力会社でしたが、その業界構造が変化しました。

電力自由化で新電力が登場しましたが、基本的に送る部分は今までと変わらず、主に売る部分が大きく民主化され、つくる部分について部分的に新電力が入り込んでいます。(太陽光など)

なぜ自由化が起きたかというと、公平な競争環境を整えて消費者が安く使えるようにということが狙いです。その背景には原料費高騰の影響もありますが電気料金が値上がりし続けているということがあります。

電気料金

電気料金の基本構成は4つです。

  • 基本料金(固定料金)
  • 電力量料金(従量料金)
  • 燃料費調整額
  • 再エネ賦課金

電力自由化に伴い利用者に電力会社を選ぶ自由が生まれましたがどのように選べば安全にコスト削減へ繋がるのでしょうか。

本書にある大きな区分けは使用電力量が低い部分では新電力が、大きい部分では大手電力に理があることが多いと言います。

負荷率や需要カーブを見ながら工場やオフィスの電力消費のパターンを認識することで最適な選択をできるでしょう。

アプローチとしては10の項目でまとめられています。

  1. 電力調達改革の方針決め
  2. 電力データの収集・整理
  3. 電力会社への見積もり依頼
  4. 見積もり提案の評価
  5. 価格協議・契約条件協議
  6. 切り替えに関する社内承認
  7. 申し込み手続き・契約切り替え
  8. 実績モニタリング・評価
  9. 契約更新・切り替え
  10. 契約・実績データ管理

本書内でコスト改善効果の例がいくつか示されているのですが、数千万レベルでの改善効果も多く書かれております。

個人における携帯料金じゃないですが、常にかかるコストを見直すことの大切さを感じます。

再エネに関して

本書の後半部分は再エネに関してです。

今では二酸化炭素の排出に関して、一定規模以上の事業者に対してCO2排出量の報告を義務づける温対法やNGO団体のCDPによる監視の目も生まれてきました。

そのため、電力のマネジメントは企業に対して重要性が日に日に増しています。アウトソースや一括見積もりサービスなど台頭してきておりさまざまな企業があります。

見積もり依頼・提案受付

集約支払い事業

コスト削減コンサル

  • ディーコープ
  • プロレドパートナーズ

調達支援BPO会社

  • 日本省電

欧米のサービス

  • Flipper
  • Enervee

CO2排出を減らす方法

CO2排出を減らすためには3つ方法があり、3つめが再エネで大きく改善できます。

  1. エネルギーの消費量そのものを減らす
  2. 排出したCO2を回収・貯蔵する
  3. 単位エネルギーあたりに含まれるCO2を減らす

日本では再エネ普及のためにFIT:固定価格買取制度が始まり再エネの比率は21%までに上昇しました。(原子力は非再エネ)

再エネのFIT電源には太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱などが含まれ、非FIT発電には水力発電、ごみ焼却発電などがあります。

再エネに関しては電力+環境価値となり、通常の電力より高価格になってしまいますが、一方で海外燃料依存である化石燃料を用いた発電からお金の流れを変えることができるのも事実です。

再エネを利用しているということは証明しないといけないために、3つの認証制度があります。(グリーン電力証明、Jクレジット、非化石照明)

これらの認証に関して、電力をトラッキングしなければならないケースもあるために、そこに対してブロックチェーンを用いたシステムを開発するみんな電力などの企業もあります。

今、さまざまな企業が出てきておりかつプラットフォームが整いつつあるために今後どのようなビジネスチャンスが生まれていくのか楽しみです。

感想

電力という誰しもが必要なインフラに対して、再エネ推進の大きな波やCO2排出を阻止しなければいけないモチベーションが拡大してきている昨今ですが、それに伴う多くのビジネスが生まれていることが知れる本でした。

アマゾンやアップルなどサプライチェーンも含めてCO2削減を求めているケースも増えてきているために、今後ビジネスの流れに注目していきたいと共に、どこかで関連した株なども購入して見たいなと思いました。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://japan.cdp.net/ CDP
  2. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=410AC0000000117 地球温暖化対策の推進に関する法律
  3. https://www.nies.go.jp/gio/ 温室効果ガスインベストリオフィス
  4. http://www.natural-e.co.jp/green/about.html グリーン電力証明
  5. https://japancredit.go.jp/ Jクレジット
  6. https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/hikasekishousho_jirei.html 非化石証明
  7. https://minden.co.jp/ みんな電力

プラスチック・フリー生活 今すぐできる小さな革命 | シャンタル・プラモンドン, ジェイ・シンハ | 2022年書評#44

プラスチックフリー生活を読みました

📒 Summary + Notes | まとめノート

lifewithoutplastic.com

 

Life without Plasticの運営者が書いた本書。プラスチックフリーの生活は少し前から話題になっている一方その便利さから、自身の生活に落とし込むのはかなりハードルが高いように思います。

昔ブログでも取り上げた中国のYoutuber李子柒 Liziqiの動画はプラスチックが映り込まないように作り込まれ、中国の田舎で自然や天然素材で囲まれた美しい世界を作り上げていました。

ohtanao.hatenablog.com

www.youtube.com

なぜプラスチックフリーが良いのか、そしてどのようにしたらプラスチックフリー生活が始められるのか。この本を読めばたくさんのヒントがわかると思います。

一方で注意すべきことは、本書で取り上げられている危険とされる物質たち(BPAなどの内分泌撹乱物質)は体内に接種することが必ずダメなのかというと濃度によるという点も忘れるべきない点だと思いました。

これだけ化学物質に囲まれて生きていく時代であるからこそ便利さと健康に対する影響を考えながら本書を読み進めることはとても大切なことのように思います。

基本の考え方

プラスチックに対する本書のスタンスは次の7つのポイントです。これらを常に頭の片隅におきながらいると良いでしょう。

  • Refuse(受け取らない)
  • Reuse(繰り返し使う)
  • Repurpose(他の目的に使う)
  • Repair(修理する)
  • Reinvent(つくりかえる)
  • Recycle(資源化する)
  • Rot(コンポスト

スタートガイド

プラスチックフリー生活の基本はプラスチックの絶対量を減らすことからです。レジ袋、ペットボトル、プラスチックカップ、パッケージなど特に使い捨ててしまうようなものは極力受け取らないことは懸命な判断です。プラスチック生産量の1/4はパッケージです。

なぜプラスチックが悪いのか?

さて、プラスチックがなぜ危険な側面があるのでしょうか。プラスチックは例えるとパスタのような麺とソースのような組み合わせであり麺が絡まるような構造をしてフィルムや、糸など形作られます。その中でさまざまな機能を持たせるためにソースのようなものとして添加剤が使われ劣化を防いだり、光に強くなったり、抗菌性をもったりなど用途に応じて改質されます。

プラスチックがなぜ問題なのかと言うと、パスタの麺にあたる部分は自然界で分解されず細かくなったとしてもマイクロプラスチックと呼ばれるように小さくなり生き物の体内まで残ります。魚の中で濃縮されたり、また子供の体内では特に影響を与えやすいなどの危険性があります。

また、ソースの部分にあたる添加剤はものによっては、高温で染み出しやすく、染み出さなくてもマイクロプラスチックと一緒にさまざまな場所まで浮遊していきます。

登場する注意すべき化学物質とケーススタディ

細かくなぜ危ないのかはあまりに細かくなりますし、十分に安全に配慮されたプラスチックも多くあるのですがいくつかケースを見てみましょう。

  • 暑い日に日なたに放置されたペットボトル
  • 塩ビ性のシャワーカーテン
  • ポリスチレン製の断熱性の高いカップ
  • ポリウレタン製のマットレスやヨガマット
  • 缶詰のコーティング
  • テフロン加工のフライパン
  • プラスチック繊維の肌に触れる服
  • リサイクルしにくいシリコン製品

これらはどれも注意すべき化学物質が染み出す可能性があり、また高濃度摂取することで体へ影響がある可能性があるものです。

バイオプラスチックと堆肥化について

最近普及しつつあるバイオプラスチック。バイオというと環境に良いなんてイメージしがちですが4つの観点に注意してみましょう。

  • バイオ由来:天然かつ再生可能な炭素から成る
  • 生分解:バクテリアや細菌などの微生物により完全に分解されること
  • 分解:細分化すること
  • 堆肥化可能:有害な残留物が出ないかつ完全に分解されること

堆肥化可能であることはとてつもなく重要です。生ごみを家庭のコンポストなどで処理すると時間はかかるものの肥料にすることができます。

バイオプラスチックの多くは堆肥化可能でないものが多くあり、完全石油由来と比較するとLCA評価は良い物の、少しバイオプラスチックを混ぜただけのなんちゃって素材も多く存在します。

使い捨ては避けてリサイクルする

プラスチックフリーの思想で最も大切なことは絶対量を下げること。そのために使い捨ては極力避けることです。

そして活用しきったら今度はリサイクルです。リサイクルもバイオと同様マジックワードな側面があります。

使用済みプラスチックで作られる服なんて聞くととても素晴らしいことに聞こえますが、その洗浄過程ではマイクロプラスチックが多く流れ出します。

リサイクルにはどのような種類があるのでしょう

  • マテリアルリサイクル:溶かしてプラスチックとして利用
  • ケミカルリサイクル:分子レベルまで分解することや油化やガス化して燃料として使うこと
  • サーマルリサイクル:燃やして熱利用や発電をすること

この中でサーマルリサイクルは最後の手段であるべきことである一方で、多くの金額が動くビジネスであるため正当化される側面があります。また、ケミカルリサイクルは高コストであること、マテリアルリサイクルは品質が落ちるダウンサイクルであることも問題です。

日本ではリサイクル率84%とされていますが、ほとんどがサーマルリサイクルであり、これを省くと数値は27%までに落ちます。

一方でドイツはサーマルリサイクルは60%でその他のリサイクル率も40%近くあります。ただし、ヨーロッパの問題はマテリアルリサイクルの2/3はヨーロッパ圏外へ持ち出されていることなどもあります。

どう実践していくかの提案

さて、それでは実践案を見ていきましょう

  • ラベルを見る:製品表示を見て何が含まれているか見てみる
  • セカンドハンドで買う:日本であればメルカリで買うなど
  • プラスチック包装をカット:レジ袋をもらわない。コーヒカップの蓋を断る。ペットボトルを買わないなど
  • 洗える素材・修理できる素材:エコバックなど衛生面が不安な人は洗える素材で定期的に洗うなど
  • 備長炭による浄水:ペットボトルではなく浄水した水道水を飲む
  • 魔法瓶のマイボトル
  • 着古しても捨てない、誰かにあげる、お店に回収してもらうなど

感想

プラスチックフリー生活というキャッチャーなタイトルの一方で意外に真面目な中身であるというのが印象でした。

海外生活していた時と日本でのギャップに感じていたレジ袋の削減もやっと始まった一方で、そんなことしても意味ないというような風潮があるのは少し悲しく思う。

そういった言説がある背景に中国やアメリカの経済発展を第一にガンガン炭素使う世界がどうしようもないということは分かるものの、絶対量が減る方向に向かうことは嬉しく思います。

新しいものを買わないことであったり、長く物を使っていくなど資本主義社会と逆行する動きはあるものの、少しでも無駄な物事が減っていくことを望みたいです。

ohtanao.hatenablog.com

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. http://www.jbpaweb.net/ 日本バイオプラスチック協会
  2. https://www.storyofstuff.org/ The story of stuff
  3. https://amzn.to/3U8RfmK 沈黙の春
  4. https://lessplasticlife.com/ プラなし生活
  5. https://www.nhk-book.co.jp/assets_item/000000817782019/plasticfree_annotation.pdf 本書参考文献リスト
  6. Life Without Plastic - YouTube