プラスチックフリー生活を読みました
📒 Summary + Notes | まとめノート
Life without Plasticの運営者が書いた本書。プラスチックフリーの生活は少し前から話題になっている一方その便利さから、自身の生活に落とし込むのはかなりハードルが高いように思います。
昔ブログでも取り上げた中国のYoutuber李子柒 Liziqiの動画はプラスチックが映り込まないように作り込まれ、中国の田舎で自然や天然素材で囲まれた美しい世界を作り上げていました。
なぜプラスチックフリーが良いのか、そしてどのようにしたらプラスチックフリー生活が始められるのか。この本を読めばたくさんのヒントがわかると思います。
一方で注意すべきことは、本書で取り上げられている危険とされる物質たち(BPAなどの内分泌撹乱物質)は体内に接種することが必ずダメなのかというと濃度によるという点も忘れるべきない点だと思いました。
これだけ化学物質に囲まれて生きていく時代であるからこそ便利さと健康に対する影響を考えながら本書を読み進めることはとても大切なことのように思います。
基本の考え方
プラスチックに対する本書のスタンスは次の7つのポイントです。これらを常に頭の片隅におきながらいると良いでしょう。
- Refuse(受け取らない)
- Reuse(繰り返し使う)
- Repurpose(他の目的に使う)
- Repair(修理する)
- Reinvent(つくりかえる)
- Recycle(資源化する)
- Rot(コンポスト)
スタートガイド
プラスチックフリー生活の基本はプラスチックの絶対量を減らすことからです。レジ袋、ペットボトル、プラスチックカップ、パッケージなど特に使い捨ててしまうようなものは極力受け取らないことは懸命な判断です。プラスチック生産量の1/4はパッケージです。
なぜプラスチックが悪いのか?
さて、プラスチックがなぜ危険な側面があるのでしょうか。プラスチックは例えるとパスタのような麺とソースのような組み合わせであり麺が絡まるような構造をしてフィルムや、糸など形作られます。その中でさまざまな機能を持たせるためにソースのようなものとして添加剤が使われ劣化を防いだり、光に強くなったり、抗菌性をもったりなど用途に応じて改質されます。
プラスチックがなぜ問題なのかと言うと、パスタの麺にあたる部分は自然界で分解されず細かくなったとしてもマイクロプラスチックと呼ばれるように小さくなり生き物の体内まで残ります。魚の中で濃縮されたり、また子供の体内では特に影響を与えやすいなどの危険性があります。
また、ソースの部分にあたる添加剤はものによっては、高温で染み出しやすく、染み出さなくてもマイクロプラスチックと一緒にさまざまな場所まで浮遊していきます。
登場する注意すべき化学物質とケーススタディ
細かくなぜ危ないのかはあまりに細かくなりますし、十分に安全に配慮されたプラスチックも多くあるのですがいくつかケースを見てみましょう。
- 暑い日に日なたに放置されたペットボトル
- 塩ビ性のシャワーカーテン
- ポリスチレン製の断熱性の高いカップ
- ポリウレタン製のマットレスやヨガマット
- 缶詰のコーティング
- テフロン加工のフライパン
- プラスチック繊維の肌に触れる服
- リサイクルしにくいシリコン製品
これらはどれも注意すべき化学物質が染み出す可能性があり、また高濃度摂取することで体へ影響がある可能性があるものです。
バイオプラスチックと堆肥化について
最近普及しつつあるバイオプラスチック。バイオというと環境に良いなんてイメージしがちですが4つの観点に注意してみましょう。
- バイオ由来:天然かつ再生可能な炭素から成る
- 生分解:バクテリアや細菌などの微生物により完全に分解されること
- 分解:細分化すること
- 堆肥化可能:有害な残留物が出ないかつ完全に分解されること
堆肥化可能であることはとてつもなく重要です。生ごみを家庭のコンポストなどで処理すると時間はかかるものの肥料にすることができます。
バイオプラスチックの多くは堆肥化可能でないものが多くあり、完全石油由来と比較するとLCA評価は良い物の、少しバイオプラスチックを混ぜただけのなんちゃって素材も多く存在します。
使い捨ては避けてリサイクルする
プラスチックフリーの思想で最も大切なことは絶対量を下げること。そのために使い捨ては極力避けることです。
そして活用しきったら今度はリサイクルです。リサイクルもバイオと同様マジックワードな側面があります。
使用済みプラスチックで作られる服なんて聞くととても素晴らしいことに聞こえますが、その洗浄過程ではマイクロプラスチックが多く流れ出します。
リサイクルにはどのような種類があるのでしょう
- マテリアルリサイクル:溶かしてプラスチックとして利用
- ケミカルリサイクル:分子レベルまで分解することや油化やガス化して燃料として使うこと
- サーマルリサイクル:燃やして熱利用や発電をすること
この中でサーマルリサイクルは最後の手段であるべきことである一方で、多くの金額が動くビジネスであるため正当化される側面があります。また、ケミカルリサイクルは高コストであること、マテリアルリサイクルは品質が落ちるダウンサイクルであることも問題です。
日本ではリサイクル率84%とされていますが、ほとんどがサーマルリサイクルであり、これを省くと数値は27%までに落ちます。
一方でドイツはサーマルリサイクルは60%でその他のリサイクル率も40%近くあります。ただし、ヨーロッパの問題はマテリアルリサイクルの2/3はヨーロッパ圏外へ持ち出されていることなどもあります。
どう実践していくかの提案
さて、それでは実践案を見ていきましょう
- ラベルを見る:製品表示を見て何が含まれているか見てみる
- セカンドハンドで買う:日本であればメルカリで買うなど
- プラスチック包装をカット:レジ袋をもらわない。コーヒカップの蓋を断る。ペットボトルを買わないなど
- 洗える素材・修理できる素材:エコバックなど衛生面が不安な人は洗える素材で定期的に洗うなど
- 備長炭による浄水:ペットボトルではなく浄水した水道水を飲む
- 魔法瓶のマイボトル
- 着古しても捨てない、誰かにあげる、お店に回収してもらうなど
感想
プラスチックフリー生活というキャッチャーなタイトルの一方で意外に真面目な中身であるというのが印象でした。
海外生活していた時と日本でのギャップに感じていたレジ袋の削減もやっと始まった一方で、そんなことしても意味ないというような風潮があるのは少し悲しく思う。
そういった言説がある背景に中国やアメリカの経済発展を第一にガンガン炭素使う世界がどうしようもないということは分かるものの、絶対量が減る方向に向かうことは嬉しく思います。
新しいものを買わないことであったり、長く物を使っていくなど資本主義社会と逆行する動きはあるものの、少しでも無駄な物事が減っていくことを望みたいです。