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フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則 | 細谷 功 (著) | 2024年書評63

具体と抽象でおなじみの細谷さんの新刊を読みました。

具体と抽象の話からそこにフローとストックの考えを付け加えて、考えやイノベーションでの考えの移り変わりについてわかりやすくまとめてくれています。

ohtanao.hatenablog.com

📒 Summary + Notes | まとめノート

世の中はフローとストックでできている

世の中にはフローとストックという区別で物事を見ることができます。フロー(行為)とは流れを意味しており、流入や流出の部分のこと、ストック(状態)とは蓄積や積み上げのように貯まるような物事です。

フローは変化させる側、ストックは変化させられる側とも見ることができます。

  • 毎日の行動(フロー)が、経験(ストック)として蓄積される
  • 日々の勉強(フロー)が、知識(ストック)として蓄積される
  • 日々の他人とのやり取り(フロー)の積み重ねが、その人の信用(ストック)となる

ビジネスでもよくストックビジネスと言われたりしますが、フロービジネスとストックビジネスで傾向があります。

フロービジネス

  • 個々の取引に依存
  • その場限りの関係
  • 個々の単品が収益源
  • 毎回の努力が必要
  • 蓄積がものをいわない
  • スイッチングコスト低

ストックビジネス

  • それまでの蓄積に依存
  • 長期的関係
  • 売ったあとが収益源
  • 黙っていても儲かる
  • 蓄積がものをいう
  • スイッチングコスト高

狩猟社会から農耕社会へと切り替わったのはフローからストック型の生活に変化したとも見ることができます。所有という概念は現代社会でとても重要な考えになっていますよね。

思考回路においてもフロー型であるのかストック型であるのかで性質があります。

フロー型志向回路

  • イマコココレを重視
  • 変化を志向
  • 絆を嫌う
  • ないものからの発想
  • 攻めの姿勢
  • 能動的
  • 思考と創造を重視

ストック型志向回路

  • 過去の経験を重視
  • 安定を志向
  • 絆を好む
  • あるものからの発想
  • 守りの姿勢
  • 受動的
  • 知恵と経験を重視

考えの変化(イノベーション)が起きるためにはストックとフローの思考変化が重要になり、ここに具体と抽象を加えたマトリックスをCAFSマトリックスとして紹介しています。

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引用:https://amzn.to/45RQQMs

具体と抽象

人類の発明に抽象化があるのは前著でも書かれていました。動物の世界では見える世界が重視されており、人類は見えない世界(抽象)が発明です。

考えるということについて具体と抽象の行き来であるということが前著ではまとめられていましたが、本書でも再度説明されています。抽象化というのはグループ分けしたり線引したりするということです。

CAFSマトリックス

動物的な世界はCAFSマトリックスで言うフロー、具体の左下のボックス、人間の世界はストック型で抽象の世界が主な領域です。具体と抽象を行き来することは上と下半分を行き来するという事ですが、本書のテーマはフローとストックを行き来するという考え方です。

考えや物事の成熟の過程は4象限でいうと左下→左上→右上→右下→左下→‥という転回です。

バラバラの具体的な情報を抽象化しまとめ、それを知識として蓄えて、具体的に活用していきます。

面白くわかりやすい表現に、フローの世界はイノベーションの世界、ストックの世界はオペレーションの世界であり、日本人が得意な決まった変数の中で改善していくような物事はストックの領域、仕組みを見つけていくようなイノベーションの領域はフローの領域です。

4象限の転回を部屋の整理で考えてみると、スタートは混沌と散らばった状態から整理→ルール化→秩序→混沌‥といった転回です。社会制度も同様で最初に秩序のないところからルール化を整理して秩序を作り右下に落ち着いていくということがルール化になります。

とても難しいのはストックからフローに切り替わる、右下から左下への移行です。固定化した常識を解体して考え直すことがそれにあたり、本書ではアンラーンと表現しています。イノベーションも同様の類ですね。

いわゆる不連続な変化です。

本書で表現されているのは、この4象限のマトリックスが科学革命などにより1段階進んだマトリックスが誕生し次の4象限のループに進化していくことを発展のように見ています。

企業の繁栄と衰退のサイクルも同様であり、左下から右下へ移行していくサイクルであり、右下から左下への移行がイノベーションを必要とします。

感想

思考方法について毎回ながらとても分かりやすい内容でまとめてくれているサクッと読めて理解した気になれるとてもおもしろい本でした。

思考するという表現で指示されるよりも、具体と抽象を考えてみよう、ストックとフローを考えてみようと言われると思考するという概念がとても伝わりやすいなと思います。

なにか勉強するに当たっても最初はバラバラの情報に接することから始まっていくのでそれを体系立てることは抽象化してフローからストックに移行してまとめ上げる・理解するということは情報が整理できてルール化されているということだと思います。

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英語の勉強なども新しい単語や文章に触れていくことはフロー的ですし、それをストック化することはより整理していくことであり、イノベーションと呼ばれるストックからフローへの変化は実践したり応用したりテストを解く事で、それによりレベルアップができていきます。

概念をこのようにわかりやすく分解して伝えられるというのはとても関心しますし自分でもできるようになれたらと思います。