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シャオミ(Xiaomi) 世界最速1兆円IT企業の戦略 | 陳 潤 (著), 永井 麻生子 (翻訳) | 2022年書評#13

今となってはスマホ販売数No.1(2021/8現在)となったXiomi。Xiomiが年商1兆円になったスピードはトヨタよりも、AppleよりもGoogleよりも速いたったのわずか5年間。そんなXiomiついて書かれた本を読みました。

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www.counterpointresearch.com

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過去に別のシャオミ本も書評しているので併せてどうぞ!

ohtanao.hatenablog.com

📒 Summary + Notes | まとめノート

シャオミ

年商1兆円までたったの5年でたどり着いたシャオミ。Googleは9年、Amazon13年、トヨタ60年、もちろん時代は違うので同じ1兆円の価値は異なるのでしょうが、それを差し引いても素晴らしい結果だと思います。

雷軍(Lei Jun)は多くの成功を収めている一方で、正当に評価されていないと思えるような苦汁をなめる経験を多く味わってきていました。

「風の吹くところに立てば、豚だって飛べる」

良いものを作りあげても時流に沿っていない、そんな事を味わってLei Junはこの言葉を残しました。2010年7月、シャオミ創設3ヶ月時点でLei Junは5つの補足を導き出しました。

  1. 流れに乗ること。状況が悪いところを進んではいけない。
  2. まったく新しいことをすること。真の「インターネット思想」をもってよく考えなければならない
  3. 人の欲というのは天の理である。消費者の欲望があるからこそ社会が発展する。
  4. 幅広くいい人との緑を大事にすること。
  5. 集中すること。やることを絞れば、そこに多くの力を投入できる。

これらはさらに4つのキーワード「集中」「究極」「口コミ」「スピード」にまとめられています。

2011年には重要な3領域を「鉄のトライアングル」と良い「ソフトウェア」「ハードウェア」「インターネットサービス」を高い次元でつなぎ合わせる事が大事と言います。

チームづくり

Lei Junの風が吹くところに立て、という考えは自身の経験から来ています。大学時代にセキュリティソフトを作り商売を始めており猛烈に勉強ししていた彼は、金山でCEOとして働きます。これは16年に及びIPOも経験し多額の資金を手に入れた一方で、ライバル企業の評価と比べ金山の評価価値が低く失望します。第一線から退き、投資家として活躍をするのですが、最後もう一度何かしようと思い仲間を探します。

投資活動から繋がりのあった元Googleのプログラム研究所の副所長であう林はスマホマニアでLei Junと良くスマホいついて議論していました。林のつながりでマイクロソフトのプログラム研究所の主席エンジニアである黄と面会し、すぐにこの二人と仕事をしたいと言いました。

サプライチェーン、デザインの一流プレーヤーたちを仲間に加え計7名のチームが完成します。1000人以上にあって1ヶ月に1人のペースでメンバーを決めたそうです。

創業以後シャオミは規模を拡大していくのですが、優秀なメンバーを集めるために報酬の考えをグローバル基準に設定し、Googleマイクロソフトモトローラーなどから優秀な人たちが参加しました。透明化し利益共有することで社員の指揮をあげるような工夫もします。

「ビジネスの成功で最も大切なことは、友人を増やし、敵を減らすことだ」と言いました。

製品・イノベーション哲学

Lei Junは早くから未来のスマホをパソコンとして使う、という目標を掲げパソコン同等性能をスマホに詰め込む方法を模索します。当時世にあった最もパソコン性能にちかいものはHTCの3G携帯でしたがユーザー志向が乏しく「ユーザーを友だちに」というキーワードと共にユーザー志向を高めた高機能スマホ開発をします。さらに直接販売モデルで効率化できた流通コストをユーザーに還元しようと低コスト化にも取り組みます。

ユーザーとの蜜なコミュニケーションを行うことにより不満を一つずつ潰していき、発売当初品質問題などに見舞われていた製品は徐々に改善されていきます。それはイヤホンコードの平型化や携帯電話をIDカード化するなど細かいことにまで及びました。

Lei Jun自身も多く意識しているApple製品と多く通ずる哲学を持っています。

Xiomiには失敗を許容する文化があり、イノベーションをするためには失敗を受け入れろと言います。起業するにあたり失敗を受け入れる勇気を持つことを大事にしたいと思い、安定した投資家生活を抜け出しました。

イノベーションの基盤となる4つの改革を考え、オンライン販売、鉄のトライアングル、短期間で部品を更新、ファン経済、を軸に旧来のビジネス習慣に変革を起こしていきました。

またイノベーションの真髄は創造することにあり、決して新しいことではない。世界を変えるような発明やイノベーションはすべて、段階的な改良から生まれている、なのでまず真似して学ぶことを大切にしています。模倣を必要以上に蔑む価値観はあるのは事実にある一方で、Lei Junは模倣して学んで改善していくことも重要としているそうです。

「大成功したければ、努力だけではまったく足りないんだ」

サプライチェーン

Xiomiで画期的であったことの一つにサプライチェーン構築があります。工場を自社で持たず、販売チャンネルも持たないことにより低コスト化に挑戦。ECでの販売によりユーザーとのコミュニケーションを実現していきます。

Xiomiの初期メンバーは段取りのある仕事経験が多く、無名の会社がサプライチェーン構築のために無限にあるスマホパーツを揃えていくという作業に苦悩しますが、サプライヤーに熱意を伝え、透明性や一貫性を持って安定した関係作りをしていったと言います。

所有しなくて良いものは可能な限り所有しない戦略で研究開発に資金を注げ、ユーザーとのコミュニケーションにも時間を使う事ができました。これはアメリカの学者ロジャーナーゲルが1991年に打ち出した概念「バーチャル経営」やタイラー博士の理念に近いものと言えます。

ECサイトによる販売で実現した、「予約ー注文ー配送」「予約ー計画作成ー生産」というモデルにより効率よく生産から販売まで実現でき在庫も減らすことができます。

本書を読んで

本書は2015年に書かれたもので少し前のものではあるのですが、ゼロからスマホを開発、販売し今となっては驚くことに世界No.1となっています。2015年からの変異を見るとAppleSAMSUNGが横ばい傾向である一方で一社だけ右肩上がり。

驚くべきなのは、Xiomiはスマホだけでなく、白物家電と呼ばれるような部類のものから、空気入れや体重計、スマートウォッチなど幅広く、かつ素晴らしいプロダクトを世に出しています。

個人的にも多くのXiomiグッズを愛用していますが、優れたものが多いですしその製品ラインナップの多様性やモバイルとの親和性の高さには驚かされます。

その背景には今までの普通を壊し、工場無し、EC販売のみ、会社内マネジメントの低階層化、透明性、ユーザーとのコミュニケーションなど多くの変化をもたらした結果、良いものが作り出せてユーザーに選ばれるという結果なのでしょうか。

Lei Junは個人的に好きな偉人の一人なのでまた今後もXiomiの本を読んでみたいと思います。

 

 

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/雷軍
  2. https://amzn.to/34lNS7N コ・イノベーション経営: 価値共創の未来に向けて 単行本 – 2013/7/19 C・K・プラハラード (著), ベンカト・ラマスワミ (著), 一條 和生 (その他), 有賀 裕子 (翻訳)
  3. https://amzn.to/3rqC1hs 明日を支配するもの――21世紀のマネジメント革命 Kindle版 P・F・ドラッカー (著), 上田 惇生 (翻訳)