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中国のスティーブ・ジョブズと呼ばれる男ー雷軍 | 中国ITオタクの挑戦 | 2020年書評#23

2019年Xiomiは本格的に日本市場に参入を始めます。

2010年に創業し2011年にスマートフォンをローンチ。

そこから怒涛のスピードで中国のスマートフォンを含む家電製品のシェアを奪った、今最も成功している企業の一つです。

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CEOの雷軍はXiomiを創業したのが40代の時で、成功を収めていた反面心の底から納得できる成功を得られていなかったため最後のチャンスとしてXiomiを始めます。

中国で今最も熱いIT企業の背景にはどんな物語があったのか知るためにとてもおもしろい本でした。

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 「風の吹くところに立てば豚だって空を飛べる」

雷軍は生粋のITオタクでした。プログラミングの卓越した技術を持ってキングソフトプログラマーとして入社します。キングソフトでは29歳という若さで総経理になります。

若い頃の雷軍は18歳の時にジョブズのように世界一流の会社を作りたいと思った。と語り愛読書は「パソコン革命の英雄たち」でした。

キングソフトは2007年に香港証券取引所に念願の上場を果たす一方で、評価額は雷軍の想像に及びませんでした。翌月に上場したアリババはキングソフトの20倍にも及ぶ値段が付けられ、また、バイドゥキングソフトを上回る価格評価をされます。

はっきりとした理由は述べられませんでしたが同年の12月に雷軍はキングソフトを健康上の理由にて去ることを決めます。

さしたる中身もないのに時流に乗って成功した連中を皮肉するために「風のふくところに立てば豚だって空を飛べる」という言葉を残します。

キングソフトの上場で多額の資金を得た雷軍は投資家となり、多くのスタートアップ支援を行いますが、原点であったジョブズのような企業を作る、という夢を40歳で再び追うことになります。

「中国にはまだ本当の意味の『ファン』がついている企業は少ない」「世界を変えたい」と「風の吹くところ」に挑戦します。

雷軍の生い立ち

湖北省に生まれ、幼い頃から聡明であった雷軍は友人たちを一緒に武漢大学に進みます。コンピューターと出会った雷軍は熱狂しPASCALというプログラムを1年生の時に作り、2年生の時には大学の教材として使用されます。

武漢大学の奨学金制度を総なめし、また武漢の電脳街ではビジネス用ソフトウェアを販売し頭角を現します。

雷軍の作るソフトは様々で、暗号化ソフト、アンチウイルスソフト、財務用ソフト、CAD用ソフト、中国語システム、さらには電気回路の設計やはんだづけにまでスキルがありました。

アンチウイルスソフトはとても秀逸なできであったのだが、発売しようとした直前に中国国内で他の誰かがアンチウイルスソフトを発売したため、「一番手でなければ市場はとれない」と思い販売を諦めます。

ビル・ゲイツの成功などもあり企業ブームが雷軍の周りにも及び、仲間内を企業をしますが内輪もめも多く大学卒業前に解散し企業へ入ることを選択します。

新卒入社した会社はすぐに辞めキングソフトに入社。キングソフトは憧れのプログラマー求伯君による声掛けでした。

北京キングソフトへ入社した雷軍は事実上ソフトウェア開発部の責任者として席を置きます。

キングソフト:金山時代

キングソフトは<WPS>というオフィススイート製品を軸にパソコン市場にて存在感を出していました。

その後<盤古>というソフトを開発しますがこちらがおおゴケ。マイクロソフトが中国市場へ進出し一気に独占していきます。

この大敗北は雷軍が27歳の時で、あまりのショックで辞表を出したと言われています。求伯君に引き止められ6ヶ月の休みをもらい、その間ひたすら反省をします。

休み期間中に思いついた、複雑な作業が必要なコンピューターを誰でも使えるようにと工夫が効いたソフト<キングプレーヤー>を休職後に取り掛かり大ヒットを生み出します。

インターネットと卓越網

息を吹き返したキングソフトに次はインターネットの波が訪れます。当時インターネットの概念がなかったがヤフーなどウェブの情報を調べやすくする機能が求められていました。キングソフトは卓越網というサイトを作成します。

様々な分野のソフトウェアをキングソフトは作成するのですが、特に熾烈な争いだったのはアンチウイルスソフトです。周鴻禕率いる奇虎360は無料でリリースし、またソフト同士の衝突を避けるためにどちらか一方のソフトしかパソコン内に存在させることができませんでした。

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アンチウイルスソフトキングソフトが資金をかけて開発下にもかかわらず、開発攻防で勝つことができず大敗をしました。

中国では会社規模で名指しでの製品批判や人物批判を行い、消費者を惑わしたり獲得するという事が行われています。

周鴻禕は後にスマートフォン市場でも対決することになります。

投資家を経てXiomi創業

冒頭でも書きましたように、キングソフトは香港証券取引所で上場を果たしますが評価額は雷軍の思うほどよいものではありませんでした。

上場時に得た資金で投資家として人生を歩み始めた雷軍は、企業しようと40歳で決意します。

まず最初に狙ったのはスマートフォン市場です。優秀なメンバーを集めソフトウェア開発、ハードウェア開発を行い、2011年ついに発売までこぎつけます。

ファンを獲得する方法は多彩でスマートフォンはオンライン上で発売開始されすぐさま完売をしました。

その一方でたくさんのバトルが起きます。XiomiのチャットアプリMitalkとテンセントのWechatは競合し、またテンセントのQQと奇虎360も戦いが繰り広げられます。これら3者のCEOは中国政府の工信部に呼び出しを受け、争いは幕を閉じます。

さいごに・どんな人におすすめか

中国のIT業界の様子がとてもよく分かる上に、Xiomi創設の背景がしれて雷軍のファンにならざるを得ないような素晴らしい人物である様子が伝わってきます。

日本ではどこか中国の物語が入ってこない印象があるので、中国のIT界隈の様子が分かるのはとても新鮮でした。

何より企業間の戦いが半端でないほど激しいもので、大量の資金での顧客獲得や、無料での提供。非難し信頼を失わせようとするなど、そんなのありなんですか…といった事が多々ありました。

その中でもたくましく、ハードワークの上、多くのアイデアを持って戦う姿は非常に生き生きとしたもので一読の価値ありだと思いました。

Xiomiの携帯も所有してみたいです。

Quotes

人は夢があるからこそ偉大な存在になれる

もしおまえに夢があるなら、その夢を守り通さなきゃだめだ。自分では何もしない人たちは『おまえはそんなことができる人間じゃない』と言うだろう。でも、もし理想があるなら、叶える努力を続けろ

人の欲望は自然の摂理、市場の波にのれ、良い縁を結ぶのが大事、シンプルイズベスト、常識を打ち破る逆転の発想

参考ブログ

tamakino.hatenablog.com