ライフイズビューティフル

訪問記/書評/勉強日記(TOEIC900/IELTS6.0/HSK5級/Python)

シャオミのすべて: 世界最強のIoTプラットフォームはこうして生まれた | 洪 華 (著), 董 軍 (著), 配島 亜希子 (翻訳) | 2022年書評#14

前回に引き続き、シャオミ関連の本ですが、今回はIoTプラットフォームをどう構築していたのかについてのストーリーになります。

日本に居るとあまりシャオミ製品と触れ合うことは無いかもしれませんが、アマゾンで多く販売されており特にMi Bandなどは代表的なヒット作です。

個人的にもMi band、Ninebot、空気入れ、ハンドクリーナー、体重計など多くのXiomi製品に触れてきましたが驚くべきは低価格、高品質。さらにアプリとの相性も素晴らしくIoTの覇権を揺るぎないものにしようとしています。

本書はそんなIoT事業に対してどう対処していったのかを紹介するものになっています。

amzn.to

f:id:ohtanao21:20220207004943p:plain

📒 Summary + Notes | まとめノート

Mi Ecosystemとは

過去Xiomiに関わる本は2冊読んだのですが、どちらもLei Junの生い立ちやXiomiの成り立ちの話でしたが、本書はXiomiが構築するMi Ecosystemの話についてです。Mi Ecosystemが何かというとXiomiのコミュニティーで出資やノウハウの提供、Xiomi製品との互換性を高める、製造の効率化などを行っています。

xiaomi-mi.com

36kr.jp

有名なものでいいますとXiomi Mi BandはHuami(ナスダックコード:ZEEP)という会社がXiomiのスマートバンドの製造を行っていたり、ZMI(ズーミ)がモバイルバッテリーを製造していたり、電動自転車ではQi cycle、モビリティマシンはセグウェイを買収したNinebotなどMi Ecosystemに入っています。

Mi Ecosystemはインキュベーターの役割を主に果たしており、投資やアドバイスはするものの各分野の一流チームに実務は任せ、各会社で開発・製造を実施。そして自走できるようになった場合、Xiomiブランドだけでなく自社ブランドの製品販売までも行われています。有名なものでいくとMi Bandを製造しているHuamiはAmazfitという高価格帯のスマートウォッチをXiomiブランドラインとは別で発売しています。

Mi Ecosystemの始まりは2013年。中国のモバイルインターネットの波を捕まえたXiomiが次の領域としてIOTに注目します。Lei JunはLiu DeにIOT市場の分析を依頼し、いい会社を引き抜き、いいプロジェクトを奪い取れと言います。

XiomiチームにはIOTエキスパートが居なかったため、優秀な専門家たち囲い育てる事を狙いにし、スピードを持って拡大しようとします。最初はスマートフォンに近い分野から始めるべくモバイルバッテリー分野をスクリーニングします。

Liu Deの友人がシャオミのECサイトにモバイルバッテリーを掲載してくれないか頼んできたことからモバイルバッテリーの本質はスマホタブレットであまった余剰ビジネスだと気が付き、低価格でかつ高品質なものを作れるようになります。第一号パートナーとしてZMIが誕生します。投資領域を階層分けし、最初は第1層から最終的には第3層までのパートナー構築を目指していきました。

第1層:スマホ周辺アクセサリー

第2層:スマートデバイス分野

第3層:生活証文品

Mi Ecosystemはエンジニアで構成される投資チームが率い、ビジネスプランよりも製品とテクノロジーを重視します。これだけ情報化が進んだ社会であると広告の効果よりもレビューなどで製品の本質的な価値が問われるために、良いものを作り出すために、Xiomiの基準を良く知ったベテランエンジニアたちで構成されました。

初期のパートナー起業の実績がとてつもなくすごく、イヤフォンの1MOREのXie GuanHongはフォックスコンの最年少社長、空気清浄機を出すZhimiのSu Junデザインのプロフェッショナル、など各業界のトップ人材ばかりでした。

面白かったのは炊飯器のChunmi。炊飯器の開発に向けて日本の象印など世界中の特許を調べ、旧三洋電機の内藤氏にたどり着き、熱意を持ってコンタクトし加入してもらうまでたどり着きました。

business.nikkei.com

tamakino.hatenablog.com

工業デザインのプロ、エンジニア、プログラマー、数々の優秀な人材を囲い込み、Xaomiの既存のノウハウをシェアしながらスピード感を持って事業を育てていく。中国のソフトウェア方面でもそうですが、容赦無い囲い込みは読んでいるだけでも圧倒されますね。

筍の成長スピード・竹林理論

Mi Ecosystemは筍を探すように投資先を見つけ出し、筍の成長スピードのように成長させ、成長しきった後は新陳代謝を大切にし自律を促していくという循環を大切にしています。

この成長のスピードをいかに早くできるか、という所にとても良いノウハウが蓄積されている様子で、投資しアドバイスはするが意思決定は専門チームに任せる、各組織のインセンティブを維持します。相互に価値が高まるような分野であることも大切にされており、たとえばMi bandで使用者が寝たことを検知するとライトが消えるようになるなどシステムも作られています。

また、モバイルバッテリーのズーミの製品をNinebotで活用しつつ、ズーミに依存しないサプライヤーチェーンの構築など適切なビジネスバランスを保ちつつも相互に助け合う環境を作り出しています。

インターネット時代においてスピードはとても大切な要素とし、資金が無くなる前に成層圏まで生き抜く、先駆者としてポジションを取りきることを重視します。

Xiomiで成功した中間層を削りとり、効率を良くしやすくなる分購入者へ高コストパフォーマンスのものを提供したり、また極端に安い値段で勝負することにより参入しにくい状態を作り出し市場の囲い込みをします。

以前の本からの変化点に、オフラインでの販売戦略も新たに加わりました。というのもサムスンが中国市場撤退を表明し多くできたスマホ市場のスペースにうまく対応したのはファーウェイでした。そこからオフラインの戦略も見直されつつあるそうです。

ズーミの面白かったエピソードがあります。日本のスマートフォンメーカーがアメリカのキャリアへ誤った見積もりを出したことで赤字を少しでも埋めるべくズーミに50ドルで対応してくれないか、というビジネスがあったそうです。その時点で50ドルで明らかにできないところ、長期的なパートナーとなる条件で49ドルでやると提示。結果日本のメーカーから多くの仕事をその後もらい、かつ開発の過程で大きく値下がりを成功させスマホ1台あたり9ドルの利益が出る状態まで持っていったそうです。最高効率を求めた結果でした。

Mi Ecosystemが良い製品を生み出す理由

過去30年中国の産業はあらゆるものが不足していたと言います。物が不足、精神が不足、価値観も不足、海外へ出た事がある人は少なく、視野が比較的狭い。今、中国はすべてのものがある時代に差し掛かっています。

そのタイミングに加え大量消費時代も迎えています。アメリカの経済発展の背景には消費増加が根本的な原因で大きな経済効果を生みました。

今や中国は人口ボーナスが大きくあります。一方でまだまだ普及率の少ない製品も多くあり、電動歯ブラシアメリカの普及率42%と比較し中国ではわずか5%などとポテンシャルを持つ市場が多くあります。

さらに、極端な高級品、粗悪な安物品の中間にある蟻市場と呼ばれる部分を、高品質・低価格帯で攻めていこうという戦略を立てます。価格帯から参入障壁が低い蟻市場で大切なのはスピードを持って市場を独占していくことになるので、最初の製品は低利益率で出すそうです。

製品づくりのターゲティングは練り上げられており、80%のユーザーの80%のニーズに商品をあて、コア機能以外のものは削ぎ落とし、簡単に扱えるUXにも注意をします。ニッチな機能をつけて使い勝手を悪くするのは避けるべきことでした。

また製品のペインポイント(製品使用時の課題)、業界のペインポイント(業界の問題点)、社会のペインポイント(大気汚染など)を理解しペインポイントの解決に注力します。業界のペインポイントを探すときにはECサイトの口コミ欄を見て多い課題を見つけ、浄水器で見つけた課題は「漏水」でした。多くのメーカーは気づいて居ながらも解決できないこのペインポイントに目をつけ適切な投資、開発をしたことで真似できない製品を開発することに成功しました。

①競争相手に根本的に勝ち目がないと思わせること②競争相手の邪魔が入らないために究極まで製品を作り込むことを実行しています。

これはAmazonAWSで行ってる戦略に近く、大規模でないと経済合理性が出ないレベルまで値下げし他社の参入を難しくし、それでなお品質も機能も良い、というものにすることで参入してこなくする、というものに近い考えではないでしょうか。

この本を読んで

本を読んでいて、中国のものづくりの進歩には目をみはる所が多く、実際にXiomi製品はクレイジーなレベルで低価格高性能です。IoT分野では世界でトップではないでしょうか。中国市場はかなりしっかりと囲い込んでいるので、今後は日本や世界にどう進出していくのかも注目したいです。

日本でもXiomi製品に囲まれて過ごすみたいな日がそう遠くないかもしれませんね。

www.youtube.com

 

www.youtube.com