仕事の関係もありある程度の教養として再エネ関連本を読んでみました。
欧州が比較的成功しているということもあり、ドイツの成功事例を参照しながら日本のモデルとの違いについて書かれている本になります。
📒 Summary + Notes | まとめノート
日本のFIT制度の問題点
- 再エネの優先接続が原則として保証されない
- 認定時に買取価格が決まる
- 再エネ発電の規模を考慮しない
- 割高な買い取り価格設定
- 都市計画制度、森林・農地制度の不備
- 割高な負担のツケが国民に押し付けられる
本書を読む限り日本のFIT制度はかなりの失敗事例に感じるものになります。買取価格は高く設定されているために、事業者が設けられるために多くの森林や農地が太陽光発電施設へと切り替えられてしまいました。ドイツでは施設規模が大きくなるとFIT制度が適用外となるためにある程度小規模制限として規制が働いていましたが日本では大規模なものも同様に扱われており大きな土地を改良するインセンティブが働いてしまいます。それはバイオマスも同様で最近破産が増えています。
感想
本書ではドイツやオーストリアの成功事例をまとめてあり、日本の導入事例との違い、とりわけ日本での問題点に焦点を当ててまとめてあります。
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/091_01_00.pdf
海外の成功事例ばかりあるので、失敗事例がどれほどあるのか分からないのですが、読んだ限りは日本のシステムはグダグダになってしまっており、その地域の環境を壊してでも短期的な経済的メリットを業者が享受できるものにあるため中々厳しい状況に見えます。
田舎へ旅行すると大規模なソーラーパネルが目立つようになり、エネルギーの地産地消でその土地の電気料金支払いが低下するなどの地元でのメリットが享受できるのであればまだ良いように思いますが、その地域で利用されない事例も多くあり、その土地では景観が崩されて恩恵も無いというような負の側面があるように見えます。
ここから予想されるのは再エネ電力のクレジット価格が上昇していきよりその土地と関係が無いような企業が、カーボンオフセットのために購入していき資本の安定した大企業が優先してオフセット達成したというCSR報告が始まるように思います。
ますますその土地での活用が阻害されるインセンティブが発生しそうであり、持続可能を謳う背後には持続可能ではなくなる市場原理のみで資本力の勝負が起こりそうです。