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労働法 | 水町 勇一郎 (著) | 2024年書評58

雇われ生活を過ごしていると、会社とトラブルになるケースを見かけます。今回は同僚が懲戒処分を受けて労働裁判をやる中で労働法の理解をすべく労働にまつわる本を読むことになり、こちらの本を読みました。

雇われ人になっている人は多くいると思いますが、自分の周りの同僚含め雇われることに対して無頓着になってしまっているケースが殆どで(もちろん無頓着で居られる≒良い会社に巡り合っている)あると思います。ただそういった場合にトラブルが合った時にどうしたら良いか分からない、客観的な判断をしにくい状態に陥ってしまうというのも悪い側面だと思います。

今回は会社内で見かけたトラブルに対して振り返りも踏まえ少し落ち着いた状態ながらも記憶が薄まらないうちに記録しておきたいと思います。

おそらく専門的に不正確な部分も含まれると思いますので、必要に応じて専門家の意見にアクセスしていただきこちらのまとめは参考程度に捉えていただければと思います。

📒 Summary + Notes | まとめノート

労働とは

日本では度々過重労働など労働問題があります。労働とは社会性や経済性で誰しもに切り離せない物事である一方で、人々の自由で働く権利を守る必要があり労働法が存在します。

労働法の発展は労働の歴史とともにあるようなものであり、産業革命や1930年代のアメリカやフランスなどの世界から存在します。このような歴史のある雇用主と雇用者の関係を日本のケースに当てはめたものが労働法になります。

労働者と使用者の労働をめぐる関係は①強行法規②労働協約就業規則④労働契約が法源です。

法規的な側面は就業規則よりも根底にあるものですが労基法がそれにあたり、①最低基準性②一律性の2原則があります。どの従業員にも一律に守られる必要があります。

労基法とともに重要なものが就業規則です。就業規則はいわば各企業のマイルールのような印象で、作成が義務付けられており、アクセスしやすい所に保管する必要もあります。就業規則に対して企業は意見徴収や周知の義務もあるために、「そんなの知らないよ」と言われないようにしっかりと教育をする、記録を残す、必要であれば修正する事が求められます。

例えば就業規則変更に対して企業がサイレントで変更することは認められませんし、就業規則の変更が必要性も含め従業員との合意の記録が必要です。

懲戒権

企業側の権利として懲戒(罰則の付与)があります。日本の場合この懲戒権は企業側にはかなり厳しい条件が無いと実質活用できない権利が実態に見えます。

企業側が実施できるケースには刑事罰にあたるようなケースや、社会通念上問題と認定できる程度のものなどです。

懲戒処分の種類には①けん責②減給③出勤停止などがあり懲戒処分の最も重たいケースには懲戒解雇もあります。

社会としてコントロールしなくてはいけないことに懲戒権の乱用があります。特に懲戒解雇は労働が突然できなくなり経済的にもダメージが大きい事象です。認められるケースには①経歴詐称②業務命令違反③職場規律違反④無断欠席⑤会社物品の私用⑥私生活上の非行⑦二重就職・兼業規則などがあります。

解雇するケースにも様々ルールがあります。解雇予告義務や弁明の機会の付与や理由の質問権を認めないといけないとされます。

企業側として難しいのは、調査のためにプライバシーに侵害するような調査も業務に関わるものの範囲であるかが重要となり、個人情報を第三者に伝えるような行為はプライバシー違反となり得るケースもあります。

事例の振り返り

職場で発生した事例は、とある従業員に対して「ハラスメントの疑惑」があるとして人事部が周辺に聞き込みを開始した所からその従業員が懲戒解雇をうけるという事例でした。

各フェーズでの反省も踏まえ時系列に沿ってみていきたいと思います。

通常時:

就業規則は雇用主と雇用関係に当たるうえでの根底的なルールになり同意したことになります。そのため就業規則はしっかりと読み、質問がある部分は質問しておく、またローカルで所有しておく事が良いと思いました。

就業規則を殆どさっと目を通したぐらいで注意深く読んでいなかった事は大いなる反省点です。特に懲戒解雇の条件など理解しておくことが大事です。

調査時:

社内で調査するにあたり、概ね内部告発などで意見を人事部または上司にあたる人物が収集して問題が発覚する流れだと思います。そういった場合に重要となるのは音声データやメール履歴などです。保管できるエビデンスは所有し会社のPC外に記録してあることが理想です。

客観的に問題と捉えられる記録があるかないかが大きな変化を生むこともあります。人によっては記録が残らないように電話のみで問題発言の記録を残さない人物も居るためそのような時は音声記録が重要です。

人事部などからコンプライアンスなどの教育記録も重要になり得ます。また制度変更時の説明義務や不利益変更に該当しないかの説明が明確にない場合や意見の収集をしないケースも記録しておきましょう。

ヒアリング調査の対象になったとした時は自身の発言を振り返られるように録音が適切と思います。その際に明確にその旨を伝えるのも一つの手であると感じます。

処分時:

懲戒処分や懲戒解雇に突然なったケースで重要なのは急な呼び出しなどで内容が理解しきれてない限り同意のサインを行わないことです。一部状況にサインをしないと解決できない問題があったときなどは無効となるケースもあるようですが、サインをすることは同意した証拠になり得ます。

処分や解雇の理由をしっかりと客観的に見ることも重要です。明らかに過大にバイアスのある事項になっているケースも往々にしてあります。会社側は理由を明示しなければならず、その各理由に対して質問された場合明確に答える必要があるために質問することで具体的なエビデンスの開示が行われます。不明確な理由事項の場合、このエビデンスが無いケースもあり得るため気が動転している中で難しいと思いますが、事項の確認が大切です。

どうしようもならない場合:

上記が実施されてしまった場合、争う場合は労働裁判を取り扱う弁護士さんと相談になります。その際に重要になってくるのは時系列で何が起きたか第三者に伝わる資料です。そこに解雇事由とされた内容がどこで発生したと考えられるのか、それが事実であるのか、または虚偽の可能性があるのかなど客観性のある資料を集めていきます。労働裁判の場合、どうしてもある程度時間がかかってしまうと思いますが、この資料作成が気持ちが折れる作業でもあり、解雇されたショック、経済的なダメージ、周囲のサポートが少なく情報整理がしにくい(解雇後に社内の記録にアクセスできない)、などからもう踏ん切りつけて次の職探しとなってしまい、泣き寝入りするケースも少なくありません。

ただし、日本の事例ではかなり多くのケースで労働者が有利になっているために、雇用者は解雇が難しくなります。

感想

かなり掻い摘んで書いてしまいわかりにくい部分が多くなっていると思います。今回大きな学びとなったのは、就業規則をしっかりと理解すること、就業規則に関して労基法から逸脱するケースが無いか、従業員に対して不利益な箇所が無いか、質問や説明の場はしっかり設けられているのかなどを見る事が重要だと知りました。

労働監督署などに相談することで就業規則の正当性をより精通した人の意見を聞いたりすることができますし、問題があれば企業に対して指摘が入ることもあります。

今回のケースは会社の人事部に異常に征服欲が強い人間が入社した事で異常な頻度の懲戒処分・解雇が起きたことから勉強へと繋がりました。企業側から説明責任があるのにもかかわらずそれを怠る企業は多くあるようにも感じます。

一方で、この状況をうまくハックした労働者が裁判をして解雇の不当性を訴えるケースなどもあると思います。

一番はこういった物事に時間を割くことが無い労働環境に属することが根本的に大事なことであり、ある種通常なことだとは思いますが、あまりに無頓着だったために少し理解を深められた事は良い経験になったとも感じます。