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ドンキはみんなが好き勝手に働いたら2兆円企業になりました | 吉田直樹 (著), 森谷健史 (著), 宮永充晃 (著) | 2024年書評122

大成功を収めているドン・キホーテ。売上は2兆円を超えて小売企業ですとセブン&アイグループ、イオン、ファーストリテイリングに続く規模になりました。

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ドン・キホーテと言えば圧縮陳列という所狭しと並べる商品ビジュアルが印象的です。稟議がなく、店舗毎に異なる仕入れや売り方を実施しており、顧客第一に考える企業の秘密が垣間見れる本でした。

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📒 Summary + Notes | まとめノート

顧客最優先主義

安田会長のラブコールに入社することになった吉田現社長。入った際には「格好いい店はつくるなよ」とアドバイスされました。格好いい店というのは店舗側が主語になってしまいがちで、お客さまには関係ないことだというのを意識するためだったようです。

ドンキでは売り場のことを「買い場」と呼び、これはお客さんが買い物をする場所だからに由来します。

ドンキは新人でも4000万円の仕入れ権限があります。これはそこの従業員またメイト(非正規社員)がその地域のお客様でもあり最も理解している人間が仕入れる権限を持つことが重要と考えているようです。また、値段も商品も各店舗によって異なるのはその地域に依って売り方が異なるためです。

その自由がある一方で在庫の期限は1年と考えており、6ヶ月を超える在庫は「不稼働在庫」、3ヶ月を超える在庫は「興味期限切れ」と評価しており、管理はしなくても売るインセンティブが働きます。

そんなドンキの商品平均価格は400円、50億個売ることで2兆円を達成しています。お客様が店舗に来て楽しくなるような店舗をつくりコツコツとした積み重ねがあります。

情熱価格

情熱価格というドンキのプライベートブランド(PB)があります。ジーンズ690円などの型破りな価格設定を引き下げて開始しましたが、PBの認知度も高くなくリニューアルに踏み切ります。

リニューアルを考える上で「◯◯といえばドンキ」を増やすことを狙います。ドンキの物販を見てみるとカラコンはドンキのシェアが高く、テキーラなども10数%など特定の商品のシェアが高い状態にありました。

会社の状態を見直すとともにマーケティングの部署を設定します。狙いは4つ

  • 優れたデザイン
  • ブランディング
  • 面白いと感じてもらえる要素
  • リーズナブルな価格

そこへこの本の著書の一人森谷氏が参画します。そして森谷氏は博報堂に協力を依頼しました。(それが発展し現在会社立ち上げにも至ります https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/107410/)

ドンキらしさを追求する中でたどり着いた考えは**「驚きの面白さ」**

試行錯誤を重ねて生まれたのが「ド」が目立つパッケージです。グッドデザイン受賞にもなりました。

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このアイデアが生まれた時に安田会長には報告すると「任せたから」と意思を委ねられ、役員の説明に際しても「これでいけます」と言い決定に至りました。

驚きを伝えるうえでパッケージを利用します。売上を書くことで他の人も買っていると安心感をもたせたり、独断と偏見で、など担当者の愛を伝える、思わずくすっとなる気になってしまうようにメッセージを込めました。

引用:https://www.donki.com/products/good_design/

商品の魅力を伝えるためにHow3か条が作られました。

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  1. 顧客のメリットを表現できているか
  2. アイキャッチ力があるか
  3. ストーリーに納得感があるか

その他ドンキの工夫

  • ダイナミックプライシング

    需要と供給が一致する所に価格設定があると教科書的にはありますが、ドンキではよく売れるから値下げすることがある

  • テレビCMで社内に訴える

    会社の突然の指示で買い場のスタッフがすぐに取り組んでくれない組織体系にあります。そのためドンキでは社内に本気度を伝えるためにCMを行い、店舗でお客様から買い場のスタッフが質問されるなど需要を感じてもらうことでPBの売り込み促進を実施

  • エラい人の言葉もみんな仮説

    安田会長の口癖は「俺の言ってることも含めて全部仮説だから」と言います。確信があっても仮説であり、お客様がどう思うかはやってみないと分からない。

  • 他店の成功を真似するためのデータ共有

    ドンキでは「ベスレポ」と言う販売実績レポートが毎日レポートされます。各店舗がいくらで仕入れて粗利率がいくらであるのかを報告。成功事例を共有します。

  • プロセスをコントロールしないのが権限委譲

    安田会長の言葉「権限委譲とは、プロセスコントロールをしないこと」。現場の人たちに丸投げしないマネージャーは評価されない文化。

  • 権限委譲をするとたくさん失敗できる

    買い場担当者は「きっと喜んでもらえる」と思い様々挑戦しますがそれでも失敗します。消費行動の曖昧さやわからなさを受容するには失敗しかない。

  • 入社後に大変身する

    ドンキでは幅広い人材を受け入れるために、準備万端に整った履歴書ばかりにならないように採用。はじめは戸惑う人も多いようですが「ドンキという場を利用してやる」「好き勝手にやる」という人が成長していく

  • 買い物は自由度の高い行動

    ドンキでは電気ケトル99円で売っても全く売れず、500円で売った所即完売。不信感を呼ぶような価格設定ではマイナスに反応。自分で決めたいという人間の本能を理解した出来事。

感想

ずっと前の印象で地元ではマイルドヤンキーが毎晩たまり治安が悪い店舗ぐらいのイメージしかありませんでしたがいつの間にか2兆円を超える売上企業へと成長していたドンキの秘密を知れる本でした。

ドンキ好きの会社の人と話していると「地方に行った時にドンキに行けば意外とお土産がたくさんある」など聞いたことがあり、まさに店舗毎に全く異なる仕入れをしているのかと実感できました。

安田会長のスタンスも明確で権限委譲。経営者や組織のトップに立つ人で大事なのは権限委譲とモチベーションの維持に感じました。権限委譲すると各個人が意識的に取り組め、さらにそこにインセンティブがあると自由に頑張れるわけですよね。一方、指示待ち人間と言われるような打ち返しスタイルの仕事の人だと苦労するような気もします。明確な指示のほうが作業しやすい人も居ると思いますし。

本書を読み進める中で自分の仕事感で大切にしたいことは何であろうかと考えるきっかけにもなりました。またまとめて書きたいと思います。