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今と未来がわかる半導体 | ずーぼ (著) | 2024年書評54

半導体産業に投資をしようと思ったことがきっかけで、半導体関連の本を読み漁っているのですが、その中でもわかりやすくかつ完結に、そして網羅的なまとめになっている本がこちらでした。

半導体というとかなりざっくりといろんなものに活用されていて、AIから自動車、様々なセンサーとして使われている印象です。

著者のずーぽさんはYoutubeやブログもやられているため、説明もとてもわかり易くまとめも初心者に優しいものだったと思います。

 

www.youtube.com

note.com

www.semiconductor-industry.com

📒 Summary + Notes | まとめノート

半導体とは何か?

半導体は電気を通す導体と通さない絶縁体の中間の性質という特徴を活かしたものであり、増幅、スイッチ、変換、という3つの主な機能としてあります。

増幅:マイク、スピーカー

スイッチ:計算、記憶、人工知能

変換:太陽電池発光ダイオード

世界半導体市場統計(https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/index.html)によるとICと非ICに分けられます。

IC(集積回路

  • ロジック
  • メモリ
  • マイクロ
  • アナログ

非IC

シリコン(ケイ素、Si)は地球上に多く存在しているため、ほぼ無尽蔵にあると言われているようです。ここから純度の高いイレブンナインと呼ばれる99.999999999%の純度まで生成してウエハに活用されます。

ICの中の各半導体でも様々あります。

ロジック半導体

汎用IC

カスタムIC(ASIC)

メモリ

揮発性メモリ ー DRAM

不揮発性メモリ ー フラッシュメモリ

半導体の製造の流れ・作り方

半導体の製造の大まかな流れは下記のようになります。

設計工程

フォトマスク作成

ウエハ製造

シリコンウエハ製造

製造工程(前工程)

バイス形成(何度も繰り返す)

洗浄

成膜

フォトリソグラフィ

エッチング

不純物注入

熱処理

ウエハ検査

配線形成(何度も繰り返す)

洗浄

成膜

フォトリソグラフィ

エッチング

平坦化

ウエハ検査

検査

ウエハ電気特性検査

製造工程(後工程)

組付け

ダイシング

ダイボンディング

ワイヤーボンディング

モールド

検査

最終検査

設計呼応体ではEDA(Electronic Design Automation)というツールを使いフォロマスク(設計図)を作成します。半導体では設計資産がIP(Intellectual Property)、知的財産として活用されるために、IPベンダが重要な役割をします。ARMはIPベンダとして有名な企業です。

半導体には純度の高い材料や精度の高い工程が求められるために、プラント設計もクリーンルームを持つFab棟、制御を行う事務棟、その横に、電力設備、超純水システム、排水システム、ガスプラント、排ガスシステムなどが併せて設計されます。

ウエハ設計にあたり、ケイ石を入手後、金属シリコンが製造されインゴットを作成。その後ウエハに切り分けされます。金属シリコンの作成には高熱が必要であるために電気代の安い地域である中国、ブラジル、南アフリカノルウェーアメリカなどで実施され輸入することが多いようです。

ウエハになった後の前工程では濡れた状態で行うウェット、乾燥状態で行う

ドライ洗浄があり、成膜がその後行われます。ざっくりと言うと薄い膜を成膜しエッチングして部分的に剥がすという工程を繰り返します。

ウエハ検査では、膜厚測定、寸法測定、アライメント精度測定に加えて、異物や外観の傷を確認した後に、電気特性を検査し歩留まりが決まっていきます。

半導体市場

半導体市場規模は2022年に約87兆円となり、2000年の3倍ほどに成長しました。アメリカが54%とシェアを持ち、その他の多くが韓国、台湾、日本、中国などのアジア圏となります。2030年には100〜150兆円規模にまで成長すると言われています。

半導体業界のプレーヤー

半導体メーカー

IDM垂直統合型)

ファブレス

ファウンド

半導体製造装置メーカー

  • アプライドマテリアルズ
  • ASML:EUV露光装置
  • ラムリサーチ
  • 東京エレクトロン
  • KLA
  • アドバンテスト:電気特性検査のテスタ
  • SCREEN:バッチ式洗浄装置
  • ASMインターナショナル
  • Kokusai Electric:成膜装置、熱処理炉
  • テラダイン
  • 日立ハイテクエッチング装置、計測、検査装置
  • SEMES
  • ディスコ:ダイシング装置、グランド装置、ポリッシュ装置
  • NAURA
  • ダイフク:ウエハ搬送装置
  • レーザーテック:EUV光のマスク検査装置
  • 村田機械:ウエハ搬送装置
  • キャノン:露光装置
  • ニコン:露光装置

半導体材料メーカー

半導体商社

日本の半導体メーカー

  1. キオクシア
  2. ルネサスエレクトロニクス
  3. ソニーセミコンダクタソリューションズ
  4. ローム
  5. 東芝
  6. 日亜化学
  7. 三菱電機
  8. サンケン電機
  9. 富士電機
  10. ソシオネクス

感想

今回まとめ無かったのですが、半導体の仕組みや歴史についても触れられておりとても体型的に勉強できる内容でかつ、細かい部分も言及されており非常にコンパクトにまとまった良い本でした。

半導体業界はかなり複雑であり、多く企業が関わっているので半導体産業に関わりがない人からすると結構イメージつきにくく、また過去の衰退の印象もあり全容の把握が難しそうな所がありますが、最近では半導体産業の復活とともに投資熱も高まりさらに投資リターンとしても大きく注目されてきています。

小さい製品にものすごい高い精度のものづくりのために最高峰の技術が詰め込まれているというのはものづくりの世界でロマンがあります。日本のメーカーもかなり多く関わっておりますし、自動車業界に変わる産業になる要素も多分に含まれているので勉強しながら業界の情報を追っていきたいです。