一時期時価総額トップとなった今年のスター銘柄となったエヌビディアに関わる本ということで読んでみました。
著者は津田建二さんで、Nvidiaについて数々の記事をかいている方になります。
2007年頃NvidiaはパソコンオタクのツールというようなものでゲーマーがGPUを買うというので聞くような企業でした。
初期のセガとの取引の失敗、2011年には自動車のダッシュボード「Tegra2」の失敗などを乗り越えてAIやデータセンターの需要拡大によりGPUが必須となり一気に日の目を浴びることになりました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
Nvidiaのブレイクスルー
Nvidiaの急拡大のきっかけはAIです。2012年にトロント大学のニューラルネットワーク研究者のヒントン教授(先日ノーベル物理学賞を受賞)らが開発した「AlexNet」によりAIのビッグバンが起こります。
画像認識の国際退会ImageNetにおいて他の参加者を20〜30%以上上回る成績で圧倒的な優勝をしました。このAlexNetに使われていたのがNvidiaのGPUとソフトウェアCUDAでした。Nvidiaの提供するGPUというものを活用するとAI技術が飛躍的に発展することが見つけられました。
ファブレス企業
Nvidiaはファブレス企業として会社をスタート。ファブレスが成り立つ理由としてICチップの設計手法がミードとコンウェイにより確立されたことがあります。
ファブレス企業の良さはその身軽さにありましたが、NvidiaのGPUへの集中の背景にはスナップドラゴンで有名なクアルコムが特許を幅広く獲得しモバイルプロセッサへの隙間が無かったこともあったようです。
日本でもファブレス企業は存在し、最近では富士通とパナソニックのシステムLSI部門が統合したソシオネクストなどが有名です。
半導体では衰退した日本企業も、半導体装置や素材に対しては存在感が強く、東京エレクトロンやレーザーテック、KOKUSAI、レゾナック、信越化学など今では海外売上比率が高い企業が多くあります。
Nvidiaの始まり
引用:https://blogs.nvidia.com/blog/nvidia-dennys-trillion/
Nvidiaの創業者3人の、ジェンスン・ファン、、クリスマラコウスキー、カーティスプリエムじゃ異なる会社でマイクロプロセッサやチップの設計者でした。シリコンバレーにあるデニーズで3次元グラフィックスを描くためのチップのアイデアについて議論を重ねた事がNvidiaの始まりでした。
日本でゲームが流行っていることを見てゲーム業界でグラフィックスをより良く表現する確かな需要があるために売上の目処がたつだろうと予想していたそうです。
2016年には任天堂スイッチにTegraプロセッサが搭載されました。
グラフィックス部門ではGeForce GPU、ゲームストリーミングサービスのインフラとしてGeForce NOW、ワークステーションのグラフィックス向けにQuandro/NVIDIA RTX GPU、バーチャルコンピューティングのvGPUなどGPUをベースに売上を伸ばしていきます。
NvidiaのGPUは様々な開発分野ごとにソフトウェアが用意されており、かなり幅が広い部門で活用されています。
例えば自動車業界ではNVIDA DRIVEプラットフォームが多くの企業で使われております。恐るべしはその売上は現在のNVIDIAの売上構成のごく一部です。
自動運転のためのNVIDA DRIVE OSもまだこれからの技術です。
ヘルスケアではNVIDIA Clara、遺伝子解析ではParabricks、自然言語処理ではNemo、などAI活用の鍵を握っています。
AIの今後
AIの今後について書かれている後半は本書で一番興味深い部分でした。
TAIというエッジAIを活用している事例で、マグロの養殖現場、鉄道レールの点検などAIを使うことでより人の作業負担を減らす試みなど例として挙げられています。
ベンゲーツェルはAGIを活用することで様々な分野、選挙結果などの予想を行おうとしています。
Nvidiaはi am aiというビデオを作成しAIについて紹介をしています。紹介ビデオの中では各分野でAIを活用することでよりよい未来が示唆されています。
全開台湾でのスピーチは日本語訳を作成したのですが、カルテックでもスピーチをしていたようでそちらの紹介もされていました。
感想
今をときめくNVIDIAに関する本で、こういった本が企画されているということはそれだけ時代に中心の企業であるという証明であると感じます。
AIがまだまだスタート地点であることを思うとNVIDIAの存在感は今後強まる事が考えられます。先日Teslaが発表したロボタクシーにもNVIDIAのGPUが使われている?ように見えます。
台湾でのスピーチでは研究者がNVIDIAのGPUを活用して研究していることを見て感動したエピソードを話していましたが、自動運転にもNVIDIA、研究開発にもNVIDIA、生産管理にもNVIDIAともう全部NVIDIAでは、というような空気感です。
今後の世界の変化にワクワクします。