前著に続いて会社四季報の読み方の本を読みました。前作の黄色の本は2020年のものであり、本著は2022年の更新版です。本書は前著よりも、情報をどう解釈したら良いかという点について多く書かれていたように感じます。
ただし、内容が同じ部分もそこそこあるために、どちらか買うのであればこちらの本だけでも良いように思いました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
会社四季報
会社四季報の強みとしては変化を捉えられる点です。変化を捉えるためには毎号読むのがおすすめというような紹介となっているのは出版する側の考えもあると思いますが、情報のデータベースを随時アップデートしている分厚い本であるというのは確かで、各人が変化が無いか注意して読むのには同意です。
例えば、ファーストリテイリングの社員が増えていたり、キーエンスの高収益に気がつけたりなど変化に気がつけば早い時期に投資を開始することも可能です。
四季報は季節ごとに出るのですが、各号で特色があり、前期との違いを見るのは夏号が一番良く売上も一番良いようです。
著者のおすすめとしては、どれか一冊選ぶならば秋号がおすすめのようで、理由は上方修正予備軍となる株価に織り込まれていない情報が一番多くあるためとのこと。恐らく事実ベースの情報よりも取材ベースの情報が秋号には多いのだと思います。業績を見てヒントになるものは、過去の修正履歴、進捗率、などあるようです。
四季報からの気づき
海外売上
キッコーマンやセブンの売上は海外比率が高く、国内でのイメージが強いですが海外の動向が重要な企業と言えます。サイゼリヤなどは中国での売上比率が高く中国の経済と大きな連動が伺えます。
主力事業
ホンダは自動車のイメージが強いですが、二輪の利益率がとても高い企業です。リクルートのインディード事業などはアメリカでの求人事業が主力でもあります。
マツキヨは他のドラッグストアと比較すると化粧品の売上が高くインバウンドの影響を大きく受け、他のドラッグストアは国内消費の食品や日用品の影響が大きいです。
主力事業が業界トップの企業も注目点であり、競合優位性や価格転嫁しやすい立ち位置でもあります。
業績欄
株の大きな要素は、需給、テーマ(人気)、業績です。需給を測る時は信用倍率の変化を見るのも一つの手です。
業績は増収率が大事な要素であり15〜20%増収が続くと成長が伺えます。特にグロース企業では増収の変化は抑えたいポイントです。
外国人投資家
日経の投資において外国人投資家の影響はとても多く約7割は外国人投資家による影響です。中でも欧州の投資家が大きなシェアを持ちます。外国人がどのような企業の株を買っているのかは大きな波に乗るのに良い指標でしょうか。
キャッシュリッチ
キャッシュフローが悪いと業績が良くても倒産に陥る企業もあるためキャッシュを多く持つかどうかは安全性を見る指標です。キャッシュリッチ企業の評価は現金同等物から有利子負債を差し引いたネットキャッシュで評価されます。
アクティビストはキャッシュリッチの企業に対して働きかけ配当などの助言をするためにアクティビストの動きを追っていく手法もあります。
また、アクルーアル(会計発生高)と呼ばれる純利益と営業CFを比べる指標もあります。
最高益
連続最高益ランキングは企業の成長を測る指標です。ヤオコー、ニトリなどは連続で増益している代表的な企業です。
連続最高益と同じく重要なのは変化を捉える久しぶりの最高益となるような企業です。ソニーグループなどは長年低迷していましたが最高益を更新し株価も同様に回復し大きく成長しました。
四季報オンラインでは「ぶり」検索でき、このような銘柄を見ることができます。
感想
会社四季報のガイド本を2冊読んでみましたが、とても面白い内容でした。年収アップや地方優良企業という観点も企業の好業績の要因や結果であるということも面白い視点でした。機械的な分析に活用というよりは地道に変化を見つけるための辞典みたいな印象になりました。
四季報の中に書いてある情報をどう解釈して少しでも大きな利益に繋げるかというのは結構ハードルが高い作業のような雰囲気にも感じますが、アイデアのヒントとなるような情報は沢山あることもわかりました。
情報をひたすら追っていくスタイルですと駄犬さんのようなもの、分析が使えるのであればUKIさんのようなアプローチが地道ではありますがスマートだなと感じます。
適時開示など読み込むためにも必要な知識や捉え方が書かれていたので株式市場のルールを知るという意味ではとても役に立つ本でした。