投資の情報収集をする中で良く聞く「会社四季報を通読せよ」のようなアドバイスを聞きます。会社四季報は東洋経済が一年に4回それぞれの最新決算情報などをまとめた本になります。
企業の情報は生物なのでその情報をいち早く、中立的立場の東洋経済の記者たちが追いかけたまとめているために長く愛されています。
📒 Summary + Notes | まとめノート
会社四季報の情報フォーマット
会社四季報はおおよそ12ブロックにまとめられています。
会社の情報
会社情報:①、②
株主:⑦
経営:⑧
短期・中期業績
記事:③
業績数字:④
前号比修正・予想:⑤
その他
配当:⑥
財務:⑨
資本:⑩
チャート:⑪
株価指標:⑫
まず見るところ
四季報公式におすすめされているのは、業績の部分です。こちらは企業の開示情報とさらに四季報の独自の予想がされており、企業について詳しい記者の情報が反映されています。併せて欄外の→や顔マークで業績が分かるようになっています。
③の記事部分にも短く業績が表現されており、【絶好調】【V字回復】などで表されます。
四季報を継続してウォッチする理由には事実情報と変化を読み取れることです。株価が動く要素として企業の変化があり、特に改革などがある際にはこの部分に記者の取材から分かる情報も反映されます。
会社情報
海外売上比率
会社情報には、海外売上比率や主力の事業が書かれています。最近の円安局面では海外の売上が高い企業であると為替差益も増えると思いますので、国内か海外どちらで収益をあげているのか理解は大事なものです。
従業員1人あたりの売上高や年収
四季報には従業員数も表示されています。売上を従業員数で割ると一人当たりの売上がわかります。また年収も表示されているために、年収の変化なども会社業績や成長を表す指標と言えるでしょうか。
取引先・仕入先
取引先や仕入先の情報も記載されており、それらの会社が業績が良いと一緒に仕事をしている企業も業績が良くなるツレ高と呼ばれる現象などもあります。
儲かっている会社
業績を見る中で基本的な項目は6つ。売上高、営業利益、経常利益、純利益、1株益、1株配です。企業の基本は売上高です。売上高は売上数量x販売単価が基本になりますし、それぞれの企業の売上高を上げる要素を理解しておくことは大事でしょう。
引用:https://toyokeizai.net/articles/-/357612?page=2
営業利益は企業の独自性を図れる指標の一つでもあり、営業利益が高い企業は高くできる理由がある=業界内で強い地位にあるとも言えそうです。
将来性の見方
業績欄の後半に材料欄があります。こちらに企業の動向が記載されており、資金調達、M&A、自社株買い、設備投資などの動きが記載されます。
中期経営計画は企業評価を考えるうえで注目されるポイントであり、中期経営計画のまとめなども業績欄にまとめられます。
企業の設備投資は長期目線で重要な項目になり、設備投資や減価償却、研究開発費などの項目は注目すべきでしょうか。設備投資費が減価償却を上回っていると事業拡大の意欲が伺えます。
最近は伊藤レポートなどでROEが語られるように資金の使い方は重要視されてきています。キャッシュフローでお金がどのように増減しているのか確認して、資金が効率よく使われているのか確認できます。
CFは営業CF、投資CF、財務CFからなり、営業CFは本業の営業活動で獲得したお金なので基盤となるものです、営業CFがマイナスになりつづけている状態は良くないでしょう。投資CFは成長企業の場合マイナス続きになりがちであり、成熟企業であればプラスになる傾向があり、堅実な経営では営業CF>投資CFが続きます。財務CFは借入金の返済すればマイナスとなり、資金調達すればプラス、本業でお金を稼いで借入金を返済している企業はマイナスとなります。
CF的な理想の形は営業CF+、投資CFー、財務CFーのような状態のようですが、もちろん規模フェーズや経営方針により目標が異なるでしょう。基本的に営業CFがマイナス続きなのは十分な資金が稼げていない状態と考えられます。
安全性
現在ROEなどの改善が見かけられるものの、企業で大事なのは成長性、収益性、安全性のバランスです。成長していても、CFが不安定で安全性の低い状態は健全とは言えませんし、逆に成長をしていなくてキャッシュが溜まっている場合は株主にとって嬉しいことには思えないです。
利益剰余金がたまり内部留保が多い事は問題視されるケースもよく見かけられます。
四季報には経営状態が良くない破綻リスクの企業もまとめられているため、そのような企業への投資はギャンブル性がとても高くなるために、参考にしてみる事が良いでしょう。
オンライン版活用項目
- 業績予想の修正は水曜日深夜
- 自己資本比率の水準
- 配当の推移
- ネットキャッシュ÷総資産
- ネットD/Eレシオ
感想
「四季報読んだほうが良いよ」などの解像度の低いアドバイスに対して、四季報には何が書いていて、どのように見てみると何が分かるのか?という点に対して解説してくれているのが本書になります。
あくまで会社四季報も情報のまとめ集という性質があるために、細かな情報は企業ごとの開示情報が良いですが、変化を手早く捉えるという点では四季報はとても良いツールに感じました。
四季報オンラインの活用もしたいなと思えます。
投資をするにあたり難しい事は用語の理解とそこからの考察です。本書では用語の概要と基本的な考え方が載っており、業績判断のセオリー的なものを幅広く学べるようになっている点はとても勉強になりました。
四季報やSNSなどはあくまで企業認知のツールなので、そこから自分で企業分析して投資判断をできるように工夫できればと思います。