先日PIVOTでOktaのCEOが出て日本市場への意向を強く感じられます。あまり詳しく無いのですが、Oktaは企業向けのSaaS企業であり、パスワード管理などをしてくれ覚えておかなくてよいようなもの、セキュリティ関連のソフトウェアと認識しています。
Oktaのトレンドレポートは内容も面白く資料構成も美しくアップデートを楽しみにしています。
Zero to IPOの書籍サイトにあるポッドキャストも面白いです。
IPOまでの道のりを赤裸々に記しているZero to IPO。度々資金ショートの危機に陥る様子がビビットに書かれており読んでいながら胃がキリキリしたりします。売上、利益が落ちてきた役員報告では誤魔化すためにどうでもよいスライドを最初に沢山挟んでから本題に移ると見る見る役員の顔が暗くなり、誤魔化している事もバレて怒られる。
顧客営業には悪天候の中車を走らせて実りのない打ち合わせを重ねる。
投資家から資金調達もうまく行かなずもうだめかもしれないという思いの中資金が調達できたりする。
IPOまでの多くの失敗経験を綴る書籍はあまり多くなく、こういった情報や知恵が誰かの役に立てばという思い出書かれたものと言います。
📒 Summary + Notes | まとめノート
心に刻むべき3つのルール
- 時間こそが最も貴重な資産:ベンチャーキャピタルから資金を調達したら利益を生み出さなければいけない
- 優先順位を常に意識する:最も重要なことはなにか常に考える
- 売れるまでは何も起こらない:結局は売上がないのならどれもたいしたことではない。
創業者に欠かせない性質のチェックリスト
- [ ] 不確かでもうまくやれる能力
- [ ] 売り込む才能
- [ ] EQとIQのバランス
- [ ] 組織と規律
- [ ] エネルギーと推進力
- [ ] やる気を促すリーダーシップ
- [ ] 自信
- [ ] 回復力
アイデアについて
セールスフォースで働いた後にMBAを行き復職について考えている所で起業したいという思いから起業へと舵を切ります。当初は企業がオンプレミスしているソフトウェアの管理に使用するクラウドを思いついたがニーズ調査している中で、クラウド上で使用するソフトウェアへのアクセスを管理する事にニーズがある事に気が付き当初のアイデアを捨てます。
アイデアは色々な人に話して揉むべきだと言います。キャンバを立ち上げたメラニーはシリコンバレーの企業家から声をかけられるもNDAを締結しないと打ち合わせをしないとしていたが最終的にNDAを締結するなんて時期尚早だと言うことに気が付き自身から面会を申し込み、最適な人材を紹介してもらうことでアイデアを実現できました。
マーク・アンドリーセンはアイデアがあっても3つの要素を同時に満たせない限り成功する可能性はほとんど無いとしています。
経済面:消費者にとって手頃な価格で生産し流通できるか
心理面:世の中に受け入れる準備があるか
資金調達について
2009年、オクタは資金調達に挑戦していたがベンチャーキャピタルを回るもどこからも資金を得られず苦しんでいました。12枚のプレゼンフォーマットを毎回利用していたが、最後には情熱を持った会話をして元々もプレゼンを使用せずに物語、なぜアイデアに自身があるのかを語ったことで50万ドルを調達します。
口説き落とすためには、未来を描くこと、類比を使うこと、情熱的になること、はやりの言葉は使わないこと、顧客意識を忘れないことです。
リーダーシップについて
リーダーは絶えず火中に放り込まれます。特にスタートアップ企業では必要な情報が無い中で常に決断を迫られる事態に陥ります。
優先順位をつけるときには、緊急・不急、重要・些事の4象限にて考え、すぐにやること、誰かにまかせること、あとでやること、破棄することに分けます。やることリストを常に管理し続けて書き換えていく事が必要です。
指示するときには長すぎる説明は避け、手短に伝える訓練が必要です。また少ない社員が全員集中できることや、権限を与えて、問題解決をさせることも組織を最大限力を発揮させるためには必要なことです。
感想
企業からIPOまでの物語を綴った本なのですが、当たり前ながらもかなり泥臭い営業を行い続けて売上を地道に伸ばし、資金繰りに翻弄されながらも日々の支払いや入金に目を向ける話。顧客を獲得したらその顧客を通じて自社の製品の良さ・改良点を見つけ出し真剣に活用してもらいながら顧客にコミットし続ける話など、日々の仕事をする上で根本でもありながら、なかなか向き合いきれないような事に責任を持って取り組む様子が面白い内容でした。
スタートアップなんて人も居なければ資金もいつ途切れてもおかしくない。顧客が見つからないのもそうですし、中々売上が上がってこない。自分で全ての事をやっていたら何もできることが増えていかない一方で全てをケアしたくなるという矛盾に対してどう向き合っていくのかのコツが書かれています。
企業としては、真剣に仕事に集中してもらえる社員をどう増やしていくのかという事が鍵ですので、キーエンスのように集団での教育システムや協力な報酬があるのも大きなインセンティブでしょう。スタートアップも結局のところ情熱をどこまで社員たちにシェアして維持できるかのように思います。
Zero to Oneはよりも具体的なストーリーを織り交ぜながら想像できる話が多くOktaに興味が持てる本でした。
📚 Relating Books | 関連本・Web
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