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「ザ・ロスチャイルド」大英帝国を乗っ取り世界を支配した一族の物語 | 林千勝 (著) | 2023年書評90

追記

先日YoutuberのNaokimanさんのセカンドチャンネルで本書の著者林さんとの対談が行われていました。

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ロスチャイルドと言えば世界を牛耳っているなどの陰謀論的に語られる一族です。実際に戦争や世の中の大混乱期に多額の富を築いたのは事実なのですし、資金提供を行っていると書く世代の主要人物を良くも悪くも繋がっているのは確かなのでしょう。

本書ではそのロスチャイルドがどのように生まれ各世代のキーパーソンと繋がっていたのか歴史を見ていく内容です。以外にも日本に関わる主要人物も多く意外な発見もありました。

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https://www.youtube.com/watch?v=6sM3KOYPL_A

 

📒 Summary + Notes | まとめノート

ロスチャイルド家の始まり

ロスチャイルドの初代はマイアーで、フランクフルトのゲットーで生まれます。当時は20人生まれれば10人亡くなってしまうというような時代ではありましたが、生き抜いたマイアーは小銭商を始めロスチャイルド商会を立てます。徴兵ビジネスなどもあり次第に成長した会社は銀行業にシフトしていきます。

マイアーの3男であるネイサンはイギリスへと派遣され、織物業界にと入り込みます。産業革命で良質な織物を製造できるようになったイギリスはこれらをドイツやその他諸外国へ売ります。その影響もありイギリスは金融業も勃興。それに伴いネイサンはシティへと移り住みます。当時ライバルであったベアリング商会もシティに居ました。

マイアーの息子立ちはヨーロッパの主要都市、フランクフルト、ウィーン、パリ、ナポリ、ロンドンに拠点をもち商会をつくっていきます。

マイアーが亡くなるとネイサンが後を継ぎロスチャイルド2世となります。ナポレオン戦争でイギリスを資金的に支援しイギリスの勝利を支えます。ナポレオン戦争ワーテルローの闘いの後、ロスチャイルド家の資産は七万倍増えたとも言われているそうです。

金本位制であった当時の金融システム下において、ロスチャイルド家は金の所有を進め、世界に流通する多くの金を財産下に収めます。そうすると銀行はロスチャイルド家抜きではどうしようもできなくなり、国家レベルにおいても戦争などで多額の資金が必要な際にはロスチャイルド無しにどうしようもできない状態へと移ります。

世界とのつながり

ネイサンが亡くなると次にライオネルが後を継ぎます。ロスチャイルドは当時郵便システムも実施しており、ビクトリア女王の郵便やホテルの予約サービスなども実施しており、女王ととても密な関係を持ちます。

またイングランド銀行ロスチャイルド家フロント企業となり、次第に中央銀行として大きな影響力を持つようになりました。

カール・マルクスロスチャイルドと深く関わりを持っていたとも言われています。マルクスユダヤ人であるためにドイうつや移り住む土地で迫害を受けました。パリ、ベルギー、そしてイギリスへと移り住みますが、マルクスの思想は有名になり革命思想が注意されます。30年間定職に付かず、大英博物館のリーディングルームに朝から晩まで入り浸っていたようです。直接的にロスチャイルドから資金を得ていたという情報は無いようなのですが、マルクスのイギリス滞在を支えたラッセル首相はロスチャイルド家とつながりが深く、何かしらの交流があったのでは無いかと言われているそうです。

アメリカでのロスチャイルド家の発展の影響は大きく、メディアも傘下に置きました。イギリスの鉄砲メーカーアームストロング社はアメリカでの戦争で使われる銃に大きく貢献し、スポンサーはロスチャイルドでした。南北戦争では南北双方のスポンサーが辿るとロスチャイルドに行き着くとういうような状態だったようです。リンカーンの暗殺の背景にもこの一族が居たのではという憶測もあるようでした。

また、日本の伊藤博文がイギリスで勉強をした際に関わりがあったとも言われているようで、日本の最初の鉄道はロスチャイルド・サンズが支援してイギリスの技師が指導して完成しました。

感想

抽象というネガティブな印象をもたれる表現について抽象に関する意味や理解を深めつつその重要性を教えてくれる一冊となっています。

物事を理解する時に、抽象と具体のバランスを考えてみるのって大事だなと読んでいて思いました。計画を立てる時もどこまで具体的に計画するのか、抽象的なテーマだけ決めるだけではうまく行かないですし、具体的な物事を決めるだけでは方向性の正否がわかりにくいです。

仕事でもトラブルが起きやすいのは具体と抽象のバランスの悪さで、抽象的な話し合いだけで具体的な事を認識できていない人たちの想定の甘さがスケジュールの実行可能性が低い見積もりを提示してきたりします。共通理解の無さや、階層認識が悪い事を理解せずに何回も同じミスをしたりするのもよく見られます。

国が違ったりすると余計にそうです。言語的な問題もあるとは思いますが、それ以上に文化的な違いの認識が甘く問題に発展したりします。

相手がどういう階層にいるのか、より具体的な話をして理解を確かめるべきか、抽象化して表現で同じ認識ができているのか、理解するという中で具体と抽象のバランスを確かめながら物事を見れるように注意したいと思いました。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/44c3mnP ロスチャイルド自伝 単行本 – 1990/10/1 ギー・ド ロスチャイルド (著), 酒井 伝六 (翻訳)
  2. https://amzn.asia/d/bQEdnsc ロスチャイルド自伝―実り豊かな人生 単行本 – 1999/10/1 エドマンド・デ ロスチャイルド (著), Edmund de Rothschild (原名), 古川 修 (翻訳)
  3. https://amzn.to/44iSBQC 男爵夫人は朝五時にご帰館 単行本 – 1985/10/1 ナディーヌ・ロスチャイルド (著), 長島 良三 (翻訳)
  4. https://amzn.asia/d/0x7TDz1 ロスチャイルド世界金権王朝―一極世界支配の最奥を抉る! 単行本 – 1993/2/1 ショージ・アームストロング (著), 馬野 周二
  5. https://amzn.asia/d/cF6WRoE ロスチャイルド〈上〉―富と権力の物語 (新潮文庫) 文庫 – 1995/4/1 デリク ウィルソン (著), Derek Wilson (原名), 本橋 たまき (翻訳)
  6. https://amzn.to/3YFSHk6 ロスチャイルド王国 (新潮選書) 単行本 – 1975/10/1 フレデリックモートン (著), 高原 富保 (翻訳)
  7. https://amzn.asia/d/3g2CD7D 地球の支配者 銀行―ロスチャイルドからモルガンまで 単行本 – 1984/10/1 ジャン・ボミエ (著), 黒木 寿時
  8. https://amzn.to/3RKiDth ロスチャイルド家 ユダヤ国際財閥の興亡 (講談社現代新書) Kindle版 横山三四郎 (著)
  9. https://amzn.to/3RYmrHJ 広瀬隆『赤い楯』全4巻セット (集英社文庫) 文庫 – 2012/2/1 広瀬 隆 (著)
  10. https://amzn.to/3PGVdSW ロスチャイルドの密謀 単行本(ソフトカバー) – 2007/1/20 ジョン・コールマン (著), 太田 龍 (著)
  11. https://amzn.to/3PvHRJe ロスチャイルド 200年の栄光と挫折 単行本(ソフトカバー) – 2012/6/26 副島 隆彦 (著)
  12. https://amzn.to/45hi514 スパイキャッチャー〈上〉 (朝日文庫) 文庫 – 1996/2/1 ピーター ライト (著), Peter Wright (原名)
  13. https://amzn.to/3t8ebu2 核開発をめぐる国際競争―秘録 (1970年) - ベルトラン・ゴールドシュミット (著), 矢田部 厚彦 (翻訳)
  14. https://amzn.to/3PGAfU6 イギリスの社会小説―1830-1850 (1958年) - ルイ・カザミアン (著), 石田 憲次 (翻訳), 臼田 昭 (翻訳)
  15. https://amzn.asia/d/12gqzfg イングランド銀行の300年―マネー・パワー・影響 単行本 – 1996/11/1 リチャード ロバーツ (編集), デーヴィッド カイナストン (編集), Richard Roberts (原名), David Kynaston (原名), 浜田 康行 (翻訳), 小平 良一 (翻訳), 宮島 茂紀 (翻訳)
  16. https://amzn.to/3ZF9kNp 大英博物館の話 (中公文庫) 文庫 – 2017/2/21 出口 保夫 (著)
  17. https://amzn.to/3PziypL 観光コースでないロンドン (観光コースでないシリーズ) 単行本(ソフトカバー) – 2014/7/14 中村 久司 (著)
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  20. https://amzn.to/3LHNWB8 ユダヤを知る事典 単行本 – 1994/5/1 滝川 義人 (著)
  21. https://amzn.to/3PZKwMT 巨大穀物商社―アメリカ食糧戦略のかげに 単行本 – 1980/10/1 ダン・モーガン (著), 日本放送協会 (著)
  22. https://amzn.to/3tgruc7 国際石油争奪戦夜話―石油資本はこうしてできた (1966年) - – 古書, 1966/1/1 錦織 尚 (著)
  23. https://amzn.to/3PYr1nP 巨大財閥の秘密 (三一新書) 単行本 – 1994/8/1 赤間 剛 (著)
  24. https://amzn.asia/d/1Pfb43s 民間が所有する中央銀行―主権を奪われた国家アメリカの悲劇 単行本 – 1995/7/1 ユースタス マリンズ (著), Eustace Mullins (原名), 林 伍平 (翻訳)
  25. https://amzn.asia/d/45RmOOZ ロツクフェラー対ロスチャイルド―巨大対立軸のなか、日本の進むべき道を探る! 単行本 – 1994/7/1 藤井 昇 (著)
  26. https://amzn.to/46eOKWC 20世紀を動かした人々〈第9〉世界の富の支配者 (1962年) - – 古書, 1962/1/1
  27. https://amzn.to/46axEsU ウォーバーグユダヤ財閥の興亡 下 単行本 – 1998/11/1 ロン チャーナウ (著), 青木 榮一 (翻訳)
  28. https://amzn.asia/d/cHch0c3 ユダヤ財閥がヒトラーを育てた―莫大な資金をいかなる方法で援助したか ヒトラーへの使者が暴露した超一級極秘資料 単行本 – 1997/6/1 シドニー ウオーバーグ (著), 牛山 火壱 (翻訳)
  29. https://amzn.to/48seJv0 日米戦争を策謀したのは誰だ! Kindle版 林千勝 (著)
  30. https://amzn.asia/d/1k3wFUX ロックフェラー回顧録 下 (新潮文庫) 文庫 – 2014/11/28 デイヴィッド ロックフェラー (著), David Rockefeller (原名), 楡井 浩一 (翻訳)
  31. https://amzn.asia/d/gj3f2me ロックフェラー財団―その歴史と業績 (1956年) - – 古書, 1956/1/1 レイモンド・B.フォスディック (著), 井本 威夫 (翻訳), 大沢 三千三 (翻訳)
  32. https://amzn.to/3PBU1Ag タイタン 上 単行本 – 2000/9/14 ロン チャーナウ (著), Ron Chernow (原名), 井上 広美 (翻訳)
  33. https://amzn.asia/d/f5CPum6 ロックフェラーがアメリカ経済をダメにした―世界統一支配をめざす妖族の正体 (トクマブックス) 新書 – 1989/10/1 エマニュエル・マン ジョセフソン (著), 馬野 周二 (翻訳)
  34. https://amzn.asia/d/8UW8y0A アメリカの経済支配者たち (集英社新書) 新書 – 1999/12/1 広瀬 隆 (著)
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  37. https://amzn.asia/d/i759Yrc 悪魔(ルシファー)最後の陰謀(プログラム)―ロスチャイルド家1999年の予言書 人類の半数は殺され日本人は奴隷になる 単行本 – 1993/6/15 小石 泉 (著)
  38. https://amzn.asia/d/f4RseRX 世界の覇権企業最新地図: その恐ろしさを日本人は知らない… (KAWADE夢文庫) 文庫 – 2019/6/11 現代ビジネス研究班 (編集)
  39. https://amzn.asia/d/aAFMiDl ルーズベルトの責任 〔日米戦争はなぜ始まったか〕 (上) 単行本 – 2011/12/21 チャールズ・A・ビーアド (著), 開米潤 (翻訳), 阿部直哉 (翻訳), 丸茂恭子 (翻訳)
  40. https://amzn.to/46cIRsL 裏口からの参戦 上: ルーズベルト外交の正体1933-1941 単行本 – 2018/8/23 チャールズ・カラン・タンシル (著), 渡辺 惣樹 (翻訳)
  41. https://amzn.to/3EZsYdb ルーズベルトは米国民を裏切り日本を戦争に引きずり込んだ Kindle版 青柳 武彦 (著)
  42. https://amzn.asia/d/dm0apJC 操られたルーズベルト―大統領に戦争を仕掛けさせた者は誰か 単行本 – 1991/10/1 カーチス・B. ドール (著), 馬野 周二 (翻訳)
  43. https://amzn.to/3rz3aSc 共産党宣言 (光文社古典新訳文庫) 文庫 – 2020/2/4 Karl Marx (原名), Friedrich Engels (原名), マルクス (著), エンゲルス (著), 森田 成也 (翻訳)
  44. https://amzn.to/3F06yZs マルクス 資本論 1 (岩波文庫) Kindleエンゲルス (著), 向坂 逸郎 (著)
  45. https://amzn.asia/d/dDW2HYi [完訳版]第二次世界大戦 1――湧き起こる戦雲 単行本 – 2023/8/17 ウィンストン・チャーチル (原著), 伏見威蕃 (翻訳)