財務、会計に強くなろうシリーズということで計数感覚を読みました。この本は決算書をよむというよりも日々の会社業務などの中で問題理解を細かく会計ベースで認識できるようなアイデアを与えてくれる本でした。例えば、万引きが合ったときに損失はいくらであり、何個分の利益に当たるのか?ホテルとスーパーであればどっちのほうがポイント付与すると良いのか?などのような問題を通してどのように合理的に判断できるのか解説してくれています。
ちょっと分かりにくい部分や、どうしても仮定が多くなる話であったり、現実は合理性だけでは無い部分もあると思うのでしっくりこない部分もありましたがそれは自分の理解の低さもあると思います。
ドリル形式になっているためそれぞれのケースからどう考えるのか解説を一通り読んでみるのは面白いのではないでしょうか。
📒 Summary + Notes | まとめノート
万引きされたときの損失とそれをカバーする売上は
120円で販売されているお菓子が1つ万引きされた場合の損失と何個売れば損失をカバーできるでしょうか?(仕入れ価格は100円、売上高営業利益率は5%)
仕入れが100円なので損失は100円で商品消耗損として計上されます。この損失に加えて機会損失は120円(販売価格)ー100円(仕入れ)で20円となります。この120円をカバーするためには6個販売すれば一個あたりの利益20円x6個で120円が必要になります。
さらに考慮しないといけないのは販管費(人件費、広告宣伝費、店舗代など)です。売上高営業利益率は5%になるために、120円を5%で割ると2400円になります。
こちら本書で書かれている解説になります。実際は廃棄率などあると思うのでモリモリに考えて2400円分の売上と同等と考えられはしますが、そこまで高くはならないのではないでしょうか。ただし、社内にアピールする時はインパクトの強い数値を出す方法も考えられる気がしますよね。
ポイント付与はスーパーもしくはホテルどちらが有効なのか?
最初に記載したドリルです。こちらはスーパーは変動費(労働集約)型、ホテルは固定費型のビジネスモデルであることがポイントになります。これらは限界利益に影響を与えます。限界利益は1個販売すると増加する利益のことと言います。
変動費型の場合限界利益率は20%台、固定費型の場合80%などと異なります。ポイント販促費は変動費になるために限界利益率が低いビジネス形態であれば利益を圧迫する要因になります。
こちらがドリルの解説になります。
一方で、ポイントは定着率の増加にも繋がるために実態としてはスーパーやコンビニでポイントがたまるように実際はなっていますよね。
https://researchmap.jp/read0154429/published_papers/19300348/attachment_file.pdf
また、ポイントとは少し違いますが、ギフトカードでは最近スタバがそこから大きな利益をあげているという事もありました。前払いにしてもらいキャッシュを持てる事も大きなメリットですがそれを使わない人が多いという点も企業側としては得することになっていますよね。
感想
具体的な課題に対してどのように考えるのかという事を会計や財務ベースに解説してくれている本で日常の仕事をするうえで役に立ちそうな、バイトの時給の決め方、有利子負債を減らす方法は何があるのか、などのクイズを解説していく内容の本でした。
理論ベースの話なので、ある意味MBA卒業者は要らないみたいな事を言われてしまうのはこういった視点が強すぎる場合なのだと思いますが、基礎として知っておいた方が良い部分は多くあると思うので読んで損は無い内容かなと思います。
このような理論が本当にそのようになっているか?というようなデータ分析ができるともっとインサイトが増えるだろうなと思うのですが、UKIさんのような分析ができるわけでも無くアナログで分析とデータドリブンというよりも四季報読んで見るみたいなアプローチにならざるを得ないところが辛いところです。
最近のデータサイエンスの経済学への適用はまさに、このような理論的な話とランダムにサンプリングしたときにその効果はどうだったのかを見れるようになってきた世界とも言えます。経済セミナーなど比較的新しい話題を統計を用いた手法で検証してくれているために、確かめ的に見てみるのも良い気がしますね。
分析できるようになれば楽しいでしょうしより発見が多いと思うのでいつかできるようになりたいと思いつつモチベーションが持てずずっとうだうだしてしまっています。
株式投資目線でみても統計を上手く活用してそこからインサイトを見つける方も多くて中々茨の道ではありますが、いつかリターンをしっかりと取れるようになれればと思います。