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人生フルーツ @恵比寿 野外シネマ FOODIES' PICNIC | 伏原 健之 | 2024年映像・映画評#2

恵比寿の野外シネマFOODIES' PICNICにて好きな映画である人生フルーツが上映されるということで、家から近くということもあり観てきました。

life-is-fruity.com

恵比寿野外シネマFOODIES' PICNIC

恵比寿の野外シネマFOODIES' PICNICは移動映画館「キノ・イグルー」が主催する映画祭です。ガーデンプレイスの広場にて19:30〜金・土・日と映画が上映されるのですがセレクションも面白いものが多く、知らない映画だけど観に行ってみようかなどと新しい映画に出会う機会になるのがとても素敵です。

キノ・イグルーの主催有坂さんは映画に関わる本やサッポロビールとコラボした映画の余韻というビールを出しているなど、映画を軸に様々な活動をされている方です。

人生フルーツ

youtu.be

人生フルーツというドキュメンタリー映画東海テレビが作成したもので、建築家であった修一さんとその奥さんである英子さんとの二人の生活を記録したものになります。

 

修一さんは高蔵寺ニュータウンと呼ばれる日本でも大規模の行われた都市開発に関わるエース社員。当時、修一さんは会社を急に休み、1週間ほど来なくなったために後輩が見に行くと家でスケッチが出来上がっているなどあったようです。

ニュータウン開発に伴い、多くの建築家は自分は住まない大規模な開発を遠く好きな所に住みながら設計する。そういった事が許せない性分であったようで、修一さんは高蔵寺ニュータウンに引っ越し自身で住みながらニュータウンのまちづくりをしていきます。

www.kozoji-nt.com

そんな二人は小さなことからコツコツと、と言うように自分たちの庭も作り上げ、キッチンガーデンと言うコンセプトの生活をします。何でも自分たちで作り、そうすれば時間がかかるけれども何か見えてくるものがある。大規模開発の資本主義社会による変化を見て疑問に思ったからこそたどり着いた考えなのでしょうか。

ちょっとした世捨て人感はあるのですが、思いやる二人の人柄が垣間見れるとても素晴らしいストーリーです。

修一さんはいつでも誰かのためになれば協力するという姿勢であり、映画の後半では伊万里の医療センターの草案を書き上げる様子など、90歳にしても現役の仕事をされていました。

www.saga-s.co.jp

上の記事にあるように、映画の途中で修一さんは亡くなられてしまうのですが、それも突然で庭仕事をして昼寝をしていたらそこから起きることは無かったと、本当に突然の出来事でした。

その後奥さんの英子さんが一人になってしまうのですがどこか寂しい様子は印象的です。

風が吹けば、枯れ葉が落ちる。
枯れ葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。
こつこつ、ゆっくり。
人生、フルーツ。

 

感想

戦争では厚木飛行場で設計の仕事を行い、当時若い台湾人を連れてきて自分だけいい部屋で寝泊まりするのはと台湾人たちの宿舎で寝泊まりしていた話など修一さんの人生哲学と共鳴した英子さんの人生がとても素敵でした。

二人は戦争を経て、荒れ果てた土地に家を立てる大規模開発の資本経済を目の当たりにしながら金銭的な対価よりも自然を尊敬する意思が感じられます。

自分で設計したニュータウンに引越してくるというように、自分が計画した物事に責任を持って関わるという姿勢は何人もできることではないでしょう。

ニュータウンではどんぐりの木の実を植えて森をつくろうとしたり、風の通り道を考える。自分の家ではプラスチック製品は避けて自分でできる野菜・果物づくりは全部して、ジャムやパンも作る。子どものドールハウスは自分でつくるし、障子の張替えも自分たちでやる。

人にお金を払って見えなくなる物事は思ってる以上に多いものだなと感じました。

昔ポレポレで観てから会社のPCのパスワードを「Life is Fruity」にを入れたものにしており、いつも忘れないで居た映画だったので、この機会に見れてとても良かったです。

最後にキノ・イグルーの有坂さんが「人生フルーツ」が好きな人におすすめする映画日本も紹介してくれていました。老夫婦が登場する映画で、暗くなりがちなものではなく明るく観れるものをおすすめしてくれました。

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