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半導体立国ニッポンの逆襲 2030復活シナリオ | 久保田龍之介 (著) | 2024年書評37

総額1兆円の政府支援を受けた半導体の鍵とされるラピダス。

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2022年11月に発表されたラピダス設立会見。半導体で失敗した日本が半導体復活をかけて会社設立を発表しました。例えばアップルはTSMC半導体の製造委託をし、TSMCiphoneなどの多くのアップル製品の半導体製品を製造します。半導体はいまや殆どの家電製品や自動車に搭載され、また生成AIやデータセンターなどで活用されています。

今GAFAMと呼ばれる企業たちがこぞって高い資金を投入しているなど今後の産業の鍵となるものです。

📒 Summary + Notes | まとめノート

キープレイヤー

アメリ

インテルIBMアプライドマテリアルズ、シノプシスシーメンスEDAケイデンス

日本

東京エレクトロンSCREENホールディングス、キオクシア、信越化学工業ルネサスエレクトロニクスソニーグループ

中国

ファーウェイ、SMC、YMTC、SMEE

韓国

サムスン電子、SKハイニックス

台湾

TSMC、UMC

欧州

オランダASML、ベルギーimec

ラピダス誕生

ラピダスはトヨタ、NTTなどが出資しさらには政府援助を豊富に受けた半導体の新企業です。ラピダスのトップは小池社長と東会長という半導体産業の中心人物が担います。

半導体の生産能力は米国が15%、韓国23%、台湾21%、中国16%、欧州5%という中で材料などでは大きなシェアを握る日本が生産能力を期待してラピダスを設立しました。(日本は15%)

先端半導体と呼ばれる2ナノメートル世代の半導体を製造することを期待しています。

技術提供はIBMが行います。

ラピダスの目指す3ナノメートル以下の世代は現在のプレーナーFET、その後のFi nFET後の世代でありGAAナノシートと呼ばれ3次元的に構造を作ることから製造も設計も難しいものです。

台湾のTSMCは熊本に工場を設立し、誘致した政府は多くの資金を援助しました(JASM)。ただし、TSMCで作られる半導体は旧世代と呼ばれる12/16ナノメートルの世代の半導体を製造が中心です。

現在中国米国対立の影響もあり、半導体産業は自由貿易の時代からナショナリズムへ回帰しつつあります。国内で調達、製造できるようにアメリカではTSMCの新工場がフェニックスで建設されています。

微細化の競争により先端半導体を製造できるメーカーは限られており、7ナノメートル以下はインテルサムスン電子TSMCのみでそこにラピダスが参入予定です。このプロセスにはEUV露光装置が必須となります。

自国にファウンドリー企業が無いことが今後地政学リスクに伴う自国調達の需要が増すために今回のラピダス設立になりました。

登場企業

感想

日本の半導体事業は2000年以降国家プロジェクトとして奮闘しましたが、苦汁をなめる展開となっていました。エルピーダは経営破綻、ルネサスも厳しい状態まで行きなんとか復活した状態です。

政府の支援+半導体というワードはトラウマがあるような日本ですが、今回はそれを克服しようとラピダス設立のプロジェクトが動いています。

グローバル化として世界中へ国内企業が飛び出し安い人件費を求めていた時代からウクライナ侵攻もあり自国で完結させる流れへと回帰しているのは少しさみしい世の中にも感じます。世界中で国家の代表にナショナリズムを唱える人たちが選ばれる世の中は嬉しい姿とは思えませんが仕方のない流れでしょうか。

半導体産業について知るために読みラピダスについて少し理解はできたものの、中々平和な世の中には程遠いのだなと感じました。

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