2015年に書かれた人工知能に本です。当時の時代背景を考えると将棋ソフトとして人工知能がプロ棋士に勝てるかという議論の真っ只中であり、そして次々にプロ棋士に勝っていくタイミングでもありました。チェスの世界でもAlphaGoの勝利やクイズでもワトソンが優勝したような時代です。
今では人工知能の理解が進み人類よりも優秀である部分や問題の部分の認識が進んでおりますが、人工知能議論の先駆け的な本書を読み返してみました。
📒 Summary + Notes | まとめノート
人工知能とは
今ではAIという方が主流でしたが本書のタイトルは人工知能知能と表現されています。当時人工知能を活用した製品が溢れてきており人間を超えられるのか?という議論がひっきりなしに起きていました。
人間の脳は電気回路と同じであるために人工知能でできないはずではないという所が松尾氏の主張のスタート地点です。
議論を混乱させているのは人工知能の定義が様々過ぎて、マーケティングとして簡単な制御も人工知能などと表現されていることにあります。
単純な制御プログラムを人工知能と称していたり、機械学習を取り入れたものを人工知能と表現したりと様々レベルが異なります。
データの増加と機械学習
古典的な人工知能ではデータの入力を知識として蓄えさせることにより出力させる手法でしたが、その手法では中々実用レベルまでに達しませんでした。こうした中で発展したのが機械学習です。機械学習のポイントは学習とは分けることとして、分け方の精度を高めることでした。
機械学習の発展に加えて次のターニングポイントとなったのはディープラーニングでした。今年のノーベル賞にも選ばれたトロント大学のチームによるものです。
感想
人工知能の原則理解や方向性について知れる本だったと思います。今ではGPTが大きく発展し対話型でのAI活用に大きな発展があったこの数年ですが、人間を超える超えないという議論はあまりしても仕方がないという事も理解できる本でした。
AIの活用に一番大きな影響を及ぼしている事が広告最適化ビジネスであるという部分は少し悲しい活用方法ではありますが、これを都内の電車でみられる「脱毛」「転職」「世界がやばい」みたいな広告地獄から物理的な広告の必要性が少なくなり景観が良いまちづくりになっていってほしい気もします。
人間を超えるかどうかという議論はGPTで超える事が分かってきているのでタイトルの議論はこの10年で答えがでたのではないでしょうか。
今人工知能関連の本を読むのであればこのあたりの本の方が時代に即している気もしました。