今年は久しぶりにバークシャーの株主総会がありバフェットとマンガーが講演を行いました。
マンガーはバフェットの七歳年上で同じ街で育ちます。バフェットの祖父が経営する食料品店で働いていた事もあるマンガーは、弁護士や気象学者として教育を受けましたが、投資や会計などに関しては授業を受けた事がない人物です。
大人になり再開した二人はベンジャミン・グレアムの話をして盛り上がり友人が帰ったことにすら気が付かなかったようで、意気投合します。マンガーは弁護士としての仕事を辞め、投資業に専念しブリティッシュコロンビア電力の株式にかき集められる資金を注ぎ込み大幅な利益を得ました。 バフェットの投資スタイルとは正反対とも言える投資をしていましたが二人はバークシャー・ハサウェイで1979年からともに働きはじめ、バフェット自身の投資スタイルであったベンジャミン・グレアムの手法からもう一歩踏み出し今日まで成功を収めています。
本書はマンガーのインタビューなどから考え方をまとめ、投資にどう向き合っているかを一冊にしているものになります。
📒 Summary + Notes | まとめノート
以下、書籍内の文章を引用しながら見ていきます。
お馬鹿にならないようにする
唯一注意しなければならないのは、愚かなことをしないこと。すなわち、良い投資機会を見出したのに何もしなかったり、わずかしか投資しなかったりすることである。たいていは怠慢が原因なのだが、こうした過ちをおかさずに正しく行動することは、実際にはそれほど簡単ではない
間違った価格づけをされた賭け
株価が下落すればするほど、間違った値幅が拡大していくものだ。こうした局面こそが、オッズが有利になる瞬間であり、迷わずに買うべきだ。‥企業の根源的価値が今後10年間にどこに向かおうとしているかについてしか関心がない。こうした投資スタンスの不一致こそが、株式市場において間違って価格づけされた賭けを生じさせる。
群衆
みなの真似をしていたら、平凡から抜け出すことはできない。
インデックスファンドに投資すれば、平均的な投資家以上には儲けられない。平均に勝つことができなければ、それは負けと同じことだ。
EBITDA
‥減価償却費に相当する現金が出ていくのは、たとえば工場や設備を置き換える必要が生じたときになるので、これは資本的支出とみなすことができる。資本的支出というものは、それさえ生じなければ偉大に見える会社の業績に大きなダメージを与えることができる。そのためマンガーは、もしも企業の利益を判断するのにEBITDAをいう尺度を使用するなら、本当の収益力や成長力を見誤ることになると主張する。
勝算を理解する
‥マンガーは何を学んだのだろうか。1つは、株価が上昇すると投資家にとって勝算は低くなり、株価が下落すると勝算は高くなるということ。そしてもう一つは、上昇相場で資金を目一杯に使って投資していると、相場が暴落したときに現金がなくなってしまうこと。もはや勝算なぞ関係ない。元手をなくしてしまえば、何も儲けることができなくなる。
唯一の法則はない
企業についての本を読むだけでは十分ではない。会計学や経済学を一通り学び、そのうえで、中央銀行について勉強することを推奨したい。‥良い投資先を見出すためには、さらに読むことを続けなければいけない。年200冊から300冊の年次報告書を読む必要があるし、ウォールストリートジャーナルには欠かさず目を通したほうがいい。
資産インフレ
資産を所有する人にとってインフレは友人であるが、現金や債権を所有する人にとっては的である。‥FRBが新たに紙幣を印刷し、市場で流通させると金利は低下する。これにより株式や不動産といった資産の価格が上昇するとともに、ドルの購買力が低下するために物価も上昇する。
飴と鞭
マンガーは、身を粉にして働くことの価値を信じている資本主義者である。‥私たちの祖父母の代が必死で働いたのは、決して欲の皮がつっぱっていたからではない。家賃を支払うことができないかもしれないとか、家族が飢えてしまうかもしれないという恐怖心を抱えていたからだ。
キャリアについての助言
良いキャリアを築くためのルールが3つある。(1)自分自身が買おうと思わないものを売らないこと。(2)尊敬しない人のために働かないこと。(3)いっしょに仕事をして楽しい人々とだけ働くこと。
教育の無駄
最も聡明な若者たちがなすべきことは世界の諸問題を解決することであり、ウォール街というカジノで勝利する方法を見出すために知性を浪費するのは間違いだと考えている。
無用な心配
自分が解決できないことを心配して時間を浪費するのは、建設的とはとても言えない。お金を運用するなら、何かとんでもない事態が起こるかもしれないと覚悟するしかない。それ以外は、愚かな楽観主義者でいればいい。
感想
バークシャー・ハサウェイの成長を支え、バフェットの投資スタイルに大きな影響を与えたマンガーの考えに触れる事ができる本でとても面白いものでした。
グレートな会社を割安に買うという考えは当たり前のように聞こえますがとてもむずかしいもので、企業の本質的価値を考えなければできませんし、基本的にかなり割安になっている状態というのは誰も目を向けていないような状態です。
ハワード・マークスの考えにもとても近いですが、危機が起きた時に全ては割安になりますのでそのタイミングで多くの現金を持っている事が求められます。そのためにはみんなが買いたい時、強気の時にポジションを減らしていくという行為が必要になってきます。
殆の人にとってはインデックス投資が正解でありながらも、個別株に対して積極的に投資していくためにある程度の枠は勉強用として活用して個別株の投資にも目を向けようと思います。本質的価値を見極めるために会計や財務などの勉強もしていきたいです。