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サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット | 投資にまつわるエトセトラ | 2021年書評#11

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📒 Impression and Review | 感想

投資の世界には心理的な面がとても重要であるとし、投資の教訓に関わる事例とともに理由を紹介してくれている本になります。

「もっと富を得たい」「富を見せつけたい」というように欲望のゴールポストを動かさずに「幸せとは自分で人生をコントロールできること」と認識しそのために必要なお金は何かを考え過剰な富を追い求めずに運の要素の無い部分にフォーカスしつつ、福利のちからを享受する投資手法を紹介してくれています。

ロナルドリードやバフェットの資産の殆どは50歳以上で築かれたなど興味深いストーリーが散りばめられており興味深く読みすすめることができますし、投資の出来事やインデックス投資の重要性について理解するのにとても良い本に感じます。

投資に関わる本の一冊目としても良いですし、投資に関わる勉強として読むのも面白い良い本に思いました!

著者Morgan Houselのブログも面白いのでおすすめです。

Blog

https://www.youtube.com/watch?v=uOoTyxkP2JE

📒 Summary + Notes | まとめノート

生まれた環境によって投資判断は変わる

株式相場が好調な時代を経験している人は株式相場に参加する率が多く、インフレ経験を持つ人は債権購入する率が少なかったりと、生まれる国や時代の環境によって投資判断に影響を与えると言います。

日本でも定期預金の利率がとても高かった時代がありその呪縛にとらわれている人が多く預金や現金主義の文化は根強いものです。

本書では経済的成功の鍵は「ソフトスキル」=「サイコロジーオブマネー(お金の心理学)」がとても重要であり、「ハードサイエンス」だけでは得られないものであり「知識<行動」がメインテーマになります。

その中で一つの成功事例としてロナルドリードという清掃員であった投資家が9億もの資産を残していたことなどをあげております

Ronald Read (philanthropist) - Wikipedia

投資をしていく中でどのような成功があったのか失敗があったのか、その中で心理的な要因にどんなものがあったのかを紐解いていきます。

もっと富を得よう

ラジャット・グプタは億万長者であったにも関わらずビリオネア(資産10億以上)になりたくインサイダー取引をし、バーニーマドフはポンジスキームによる詐欺を行っていました。共通していたのはふたりとも十分な資産を持っていたにも関わらずさらなる富を求めた結果でした。

これらのことからの教訓

1.動き続けるゴールポストを止めよ

2.「富の比較ゲーム」に参加してはいけない

3.吐くまで食うな

4.大きな利益が得られる可能性があっても、危険を冒す価値のないものは多い

福利の力

ウォーレン・バフェットの純資産845億ドルのうち842億ドルは50歳移行に築き上げたものであるといいます。一方でウォーレン・バフェットの投資成績は投資家の中でもNo.1と言えるものでは無くルネサステクノロジーのジムサイモンズと比べると遥かに低いです。

最も賢い億万長者上・下 | シモンズの投資手法 | 2021年書評#1/2 - ライフイズビューティフル

その中でなぜウォーレン・バフェットがそこまでの資産を築くことができたかと、若い頃に経済基盤を築き、長期間にわたって投資を続けたことにあります。長期的な経済成長を信じる限り投資で最も重要な言葉は「黙ってじっとまて」であると言います。

福利の力を教授するためには長く投資し続ける=サバイブする事が重要になります。サバイブできなかった投資家にはリバモアやゲリンなど多くのレバレッジをかけていち早く裕福になろうとした投資家たちが居ます。

1.大きなリターンを得ることよりも、経済的に破綻しないことを目指す

2.あらゆる計画でもっとも重要なのは、計画通りに進まない可能性を踏まえて計画すること

3.未来に楽観的であれ

過去SP500の多くの会社は潰れる一方で成功する企業が入れ替わり牽引していく中で指数は成長していきました。ディズニーやアマゾン、ネットフリックスは多くの失敗事業をカバーする少なく巨大なヒットの元に成り立ちます。

ピーター・リンチは優秀な投資家でも10回中6回程度しか成功はしないと言いジョージ・ソロスは正しい時に多くを稼ぎ間違う時の損失をへらす事が重要だと言います。つまり成功の数は少なくても大きな成功により数ある失敗をカバーしている事が殆どであり、相場に居続ける事が大事ということになります。

お金は「時間をコントロール」させてくれる

アンガスキャンベルは「The sense of wellbeing in America」において幸せについて高収入であっても高学歴であっても不幸を感じる人は一定層存在する事に気が付き、「人生を自分でコントロールしている」というはっきりとした感覚が幸せをもたらすと見つけます。

The sense of well-being in America: Recent patterns and trends

著者のモーガンハウセル自身もこの「心理的リアクタンス」を体験している。自身が好きで仕事内容も楽しかったファンドのインターンシップに対しあまりに自由の無い労働環境に嫌気が指していたことです。

また本書は貯金も時間に対して柔軟性をもたらせてくれる大切な要素だと言います。投資の世界であればキャッシュ比率を上げることよりもリスク資産を増やす事が重要視されますが、貯金が十分にあることにより仕事が嫌な時に行かなくて良いや転職する余裕など多くの柔軟性をもたらせてくれます。これは貯金によって「時間がコントロール」できる好例です。

合理的になれるか?

現代ポートフォリオ理論でノーベル賞を受賞したハリーマーコウィッツは面白いことに自分の研究成果とは反して債権と株式を半々にして持つポートフォリオを持つと語っています。それは「将来の後悔を最小限にする」ためと言います。

現代ポートフォリオ理論 - Wikipedia

これは医学分野でも似たような物事があります。発熱は耐え難いほど苦しい一方で感染症対策で効果的な事象であるのに多くの人は発熱を抑えようと解熱剤を服用します。それは誰しも苦しいことが嫌いだからです。最善策ではなく「腑に落ちる」方法を選んでしまうのは人間の性質なのでしょうか。

サプライズ!

ブラック・スワンの著者ナシームタレブは著書「まぐれ」の中で未来を過去と同じようにならず予測不能なサプライズ(アクシデント)は起こるものだと言います。人はなぜか過去と同じような物事しか起きないというバイアスは誰しも抱えているものですしリスク管理の基準としてしばしば使われます。

過去の著名な投資家のルールが今後通じるのかどうかも同様です。「証券分析」「懸命なる投資家」のグレアムは自身の著書の方法を時代毎にアップデートし手法を何回も変更してきました。語り継がれるものの現在で同様の投資手法ができるかといえばNoです。

投資の世界では「今回は違う It’s different this time」という言葉がよく使われており投資家のジョン・テンプルトンが危険な単語であると言っていました。

「歴史をさかのぼり得るものは一般論」であり、欲望や恐怖との戦い、ストレス下での行動、インセンティブへの反応などは時を経ても学ぶことが多いが具体的なトレンドや取引、因果関係や投資先などは時代に学ぶことでは無い。

投資での誤りの余地

歴史から一般論を学び将来の投資にどうすれば良いのか?そこで大切なのはサプライズに備えられる誤りの余地になります。

ラスベガスをぶっつぶせで有名になったカードカウンティングの達人ケヴィンルイスは統計的には勝てるものの49%の確率でカジノが勝つために不運が続いても十分な資金が必要であると言います。つまり100回やって49回連続で負け続けることもあるために50回目を迎えられる資金が無いといけません。

投資における誤りの余地は1.ボラティリティに対して十分な許容量による投資であるか2.老後資金のための資金計算にある。生活費が圧迫され相場資金を切り崩すことや撤退する事が無い方が良いですし、計画していた老後の生活ができなくならないほうが良いです。

特に、レバレッジがかかった失敗があると大きなダメージになるため注意が必要です。

福利を得るための入場料

過去のダウ・ジョーンズ指数において最高高値から5%以上下回っていた期間は全体の95%の機関に及びます。市場は1950年から3190倍になっている一方でボラティリティの影響を殆どの期間で受けております。このボラティリティこそが代償、つまり入場料と読んでいます。

このボラティリティを避けようと多くのファンドが努力している一方で、インデックスファンドよりもドローダウンが低かったファンドは1/4しか無く112ある投資商品のうち9本しか株式60%債権40%の従来型ファンドの成績をアウトパフォームしたものは無かったそうです。

市場のゲーム

自分が30年などの長期的なスパンのゲームに参加しているのか、10年ほどの中期的なものなのか、1年以内の短期的なものなのかを把握することが大事です。

「お金は儲かるところに引き寄せられる」(モメンタム)という法則があるため短期的なリターンを得たい人は割高と言われるものを買う価値は十分にあります。これは「フリッパー」と呼ばれる不動産投資の投資家たちにも同じ事が言えて彼らは値が上がるかどうかだけが重要であった。

短期トレーダーによってバブルは作られますが、まずは自分のゲームがそこにあるのか、参加するのであれば短期で参加するというような前提を意識しておくこと、書き出しておくことがとても重要です。

また人々は悲観論がとても好きで悲観論は一夜にして広まります。

2008年にWSJという一流メディアにイゴールパナリンによる今後のアメリカについて語られオカルト的な内容であるアメリカ方向について記事が上がりました。

As if Things Weren't Bad Enough, Russian Professor Predicts End of U.S.

その一方でライト兄弟が成し遂げた偉業は当初オカルトだと言われ信頼する記者が取材するまでは詐欺同然の扱いを受けていたと言います。

イギリスの作家ダニエル・デフォーはペスト大流行時に如何に予言や占星術が人々の中で流行ったか語っています。

人々は「自分が真実であって欲しいと望んでいること」と「客観的に真実であること」がはっきり区別できず投資の世界でも同様です。あたってない予想に耳を傾け心労し不安になる。人は都合よく解釈して予想したがる生き物であると認識する必要がありますね。

歴史もそうです。リデル・ハートは著書「Why don’t learn from history?」の中でこう書きます。

歴史は想像力と直感の助けを借りずに解釈できない。証拠の量が膨大なため、取捨選択をしなければならないのである。選択があるところには意図がある。史料を読む者は、自らが指示する考えの正しさを証明するものや、個人的な意見を確認するものを探しがちだ。彼らは自らの歴史観を守ろうとする。自分の考えを肯定し、それを否定する考えを論破するために史料を読むのである。誰もが正しい側にいたいと思っているので、不都合な真実には抵抗する。戦争を終わらせるために戦争を始めるのと同じように

誰もが都合よく解釈したがっているのですね。

ではどう投資するのか?

医師の世界では「医師の世界では患者の治療であり、治療方針について患者がどう思うか関係ない」と思われていたそうです。

一方で最近では病気の治療から患者の治療ということで患者にとって最善を選ぶ事へシフトされてきているそうです。

ファイナンスの世界でも投資家が納得する投資は人それぞれ異なり、本書の最後でまとめられているのは普遍的な教訓になります。

  • 物事がうまくいっているときには慎重に、うまくいかないときには寛容に
  • エゴを減らせば、豊かになれる
  • 「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべり
  • 投資で結果を出すための最大の秘訣は、時間軸を長くすること
  • うまくいかないことがあっても問題ないと考える。半分は間違っていても、資産は増やせる
  • 自分の時間をコントロールするためにお金を貯め、使う
  • 他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう
  • 貯金をする。ただ貯金をする。貯めるのに特別な理由は必要ない
  • 成功のために必要な代償を見極め、それを支払う準備をする
  • 「誤りの余地」を何よりも大切にする
  • 極端な経済的判断は避ける
  • リスクを好きになること。リスクは、時間の経過とともに利益を生む
  • 自分がしているゲームを明確にする
  • 多様な意見を認める

貯蓄に対する考え方

「経済的に自立」を目標に毎朝家族と自分の好きなことを好きなようにできる生活を求めているそうです。そこには散歩をし読書やポッドキャストを聞くというようなお金のかからない事が大半であり、若い時に決めた欲望という名のゴールポストが動くことは無かったようです。

貯蓄も一般的な人よりは高い比率であり、ローンは組まずに一括で住宅は購入しており、これらは安心して眠る日々とのトレードオフだと言います。

投資に対する考え方

「投資では努力と結果にほとんど相関関係がない」と確信しておりベースの考えは3つの楽観的な考えです。

1.高い貯蓄率

2.忍耐力

3.世界経済は今後数十年にわたって成長を続ける

そのため今では殆どのお金はインデックスファンドで運用しており個別株は保有していないそうです。個別株をアクティブに運用し市場平均を上回ることに挑戦するのには否定しないが、それはおもっている以上にも難しいことであるといいいます。

長期間保有できる環境下で、福利の恩恵を受けるためにインデックスファンドという選択をしているそうです。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. 天才とは周りの誰もが正気を失っているときに普通のことができる人である。ナポレオン
  2. https://amzn.to/3Er5LOr 1000人のお年寄りに教わった30の知恵 単行本 – 2013/10/22 カール・ピルマー (著), 月谷真紀 (翻訳)
  3. https://amzn.to/3Fv9yf2 The sense of wellbeing in America
  4. https://amzn.to/32tSsQ1 人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか 単行本(ソフトカバー) – 2021/9/16 ビル・ブライソン (著), 桐谷知未 (翻訳)
  5. https://amzn.to/3z76eo4 まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか 単行本 – 2008/2/1
  6. https://amzn.to/3HdidmJ 証券分析 Kindleベンジャミン・グレアム (著), デビッド・L・ドッド (著)
  7. https://amzn.to/342znW5 賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 単行本 – 2000/9/1
  8. https://amzn.to/3emDpdB ラスベガスをぶっつぶせ
  9. https://amzn.to/3yWb8nL  Bull!: A History of the Boom and Bust, 1982-2004 (English Edition) Kindle版 英語版 Maggie Mahar (著)
  10. https://amzn.to/30XN72Y 繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史 Kindle版 マット・リドレー (著), 大田 直子 (著), 鍛原 多惠子 (著), 柴田 裕之 (著)
  11. https://amzn.to/32wagtQ ペスト (中公文庫) Kindleダニエル・デフォー (著), 平井正穂 (翻訳)
  12. https://amzn.to/3pBahG9 Why Don't We Learn from History Audible Logo Audible版 – 完全版 B. H. Liddell Hart (著), Will Staff (ナレーション), Archieboy Audiobook Production (出版社)
  13. https://amzn.to/3EmZ5Ru SILENT WORLD OF DOCTOR AND PATIENT, THE ハードカバー – 1984/4/1 英語版 Avner Katz (著)
  14. https://www.zocalopublicsquare.org/2011/11/30/how-doctors-die/ideas/nexus/ HOW DOCTORS DIE It’s Not Like the Rest of Us, But It Should Be