旅行に行ってから興味もって情報収集してみると旅行前にしっかり調べればと少し後悔しつつ感じます。特に海外や中々行けない土地にせっかく行ったのでもっと良い楽しみ方の引き出しを準備しておけば良かったと思うものの、その行き当たりばったりやちょっとした心残りを作っておけばまた行くきっかけになるかもしれません。
今回もベトナムに関わる本になりまして、ベトナム建築を纏めた今年出版の本であるベトナム建築行脚を読みました。改めてベトナム建築を調べてみるととても素敵な建築が至る所にあります。
本書はベトナム生活図譜の内容に加筆・修正を加えて構成されている部分も多く、ベトナム生活図譜を見るだけでベトナムについて知れる事が多く書かれています。旅行の前にはぜひ読んでみたい内容でした。
本書の写真撮影をされている大木さんはベトナム建築のウェブサイトを見ると至る所にクレジットを見る方なので、日本人として異国の建築撮影のプロによる写真もとても魅力的でした。
📒 Summary + Notes | まとめノート
文化
ソ連から輸入された段地
ベトナムの公共住宅にはソ連からの技術でプレキャスト・コンクリートパネルという手法で組み立てられた無骨な住宅が多くあります。蒸し暑いベトナムの気候とはマッチしておらず、内部も狭かったので増改築を行い、様々な柄の鉄格子(タイガーケイジ)と呼ばれる鮮やかなデザインの格子で区切られるようになりました。
戦争の影響を残すホテル
ハノイにあるソフィテル・レジェンド・メトロポールはハノイの老舗ホテルであり戦時下から営業されているために、防空壕が設置されております。2011年にプールを拡張する工事の際に偶然見つけられて長く忘れられていた防空壕ですが今では宿泊者は見学できる状態です。
ヴォーバン式要塞
日本の五稜郭のような星型の要塞は大砲が防衛手段として使われていた当時数多く好まれた形状でした。その地形が今でも残っている地域や施設もあり、衛生写真で見ると面白いものです。
新しい建築
新しい建築郡もとても目を見張るものが多く自然や植物と調和したデザインが美しいです。
- TTC Elite Ben Tre Kindergarden
- Restaurant of Shade
- Gentle House
- Floatin house
紹介されている建築家
オーギュスト・アンリ・ヴィルデュ Auguete Henri Vildieu
エルネスト・エブラール Ernest Michel Hebrard
en.wikipedia.orgフイン・タン・ファット Huynh Tan Phat
ゴー・ヴィエット・トゥー Ngo Viet Thu
本書で紹介される建築リスト
1 | モン王王宮 | ハザン |
2 | 少数民族の集落 | ハザン |
3 | X-House | フート |
4 | Step House | ヴィンフック |
5 | Bamboo Wing | ヴィンフック |
6 | Suoi Re Village Community House | ホアピン |
7 | ナムディン大聖堂 | ナムディン |
8 | ハイリー教会 | ナムディン |
9 | ロン市場 | ナムディン |
10 | ファッジエム大聖堂 | ニンビン |
11 | 古都ホアルー | ニンビン |
12 | Tera Cotte Studio | クアンナム |
13 | コントゥム大聖堂 | コントゥム |
14 | ダム市場 | カインホア |
15 | トゥーザウモット市場 | ビンズオン |
16 | TTC Elite Ben Tre Kindergarden | ベンチェ |
1 | 鎮武観 | ハノイ |
2 | 北門教会 | ハノイ |
3 | 北門 | ハノイ |
4 | タンロン城址 | ハノイ |
5 | ホーチミン廟 | ハノイ |
6 | 一柱寺 | ハノイ |
7 | ベトナム美術博物館 | ハノイ |
8 | 文廟 | ハノイ |
9 | ハノイ駅 | ハノイ |
10 | 越ソ有効労働文化宮 | ハノイ |
11 | 総労働組合連合ビル | ハノイ |
12 | ホアロー収容所 | ハノイ |
13 | ホム市場 | ハノイ |
14 | ハノイ国家大学 | ハノイ |
15 | ハノイ・オベラハウス | ハノイ |
16 | ベトナム国立歴史博物館 | ハノイ |
17 | ソフィテル・レジェンド・メトロポール | ハノイ |
18 | ハノイ大聖堂 | ハノイ |
19 | フランソワ・チャールズ・ラジスケ旧邸宅 | ハノイ |
20 | タンロン水上人形劇場 | ハノイ |
21 | ドンスアン市場 | ハノイ |
22 | ハンダウ給水塔 | ハノイ |
23 | ロンビエン橋 | ハノイ |
24 | タンロイホテル | ハノイ |
25 | コーロア城 | ハノイ |
26 | タンロン橋 | ハノイ |
27 | ザンヴォー団地 | ハノイ |
28 | Sadhu-Vegetarian buffet restaurant | ハノイ |
29 | キムリエン段地 | ハノイ |
1 | ホアビン・シアター | ホーチミン |
2 | 給水塔 | ホーチミン |
3 | ベンタイン市場 | ホーチミン |
4 | 総合化学図書館 | ホーチミン |
5 | クー市場 | ホーチミン |
6 | ホテル・マジェステック・サイゴン | ホーチミン |
7 | Myst | ホーチミン |
8 | ホーチミン市民劇場 | ホーチミン |
9 | ホテル・コンチネンタル・サイゴン | ホーチミン |
10 | サイゴン中央郵便局 | ホーチミン |
11 | サイゴン大教会 | ホーチミン |
12 | 統一会堂 | ホーチミン |
13 | Restaurant of Shade | ホーチミン |
14 | サイゴン動植物園 | ホーチミン |
15 | Apartment in Binh Thanh | ホーチミン |
1 | グエン朝王城 | フエ |
2 | フラッグタワー | フエ |
3 | 安定宮 | フエ |
4 | 虎園 | フエ |
5 | トゥ・ドゥック帝廟 | フエ |
6 | カイディン帝廟 | フエ |
7 | ミンマン帝廟 | フエ |
感想
建築という窓を通してベトナムの歴史や気候、文化などを感じる事ができる本でした。旧ソ連や中国、フランスなど様々な国の影響を受けた建築物が時代に応じて増改築され変化しており現代の生活様式に変化している様子や、植物やエアコンが無くても過ごしやすいサステイナブルな視点が多分にある建築物は自然との共存をより感じる事ができるものではないでしょうか。
ベトナムでオーダーメイドの建築をすることは日本と違ってそこまでコストがかからない事からあるようで、建築家にとってはとても楽しみな場で創造力を十二分に発揮して様々な提案がされるように思います。
昔と今が絶妙に混ざり合いながら変化していく記録が建築に現れるのはとても興味深かったです。
一方で戦争で様々な建築が失われたというのもあると想像します。戦争や災害は建築などがリセットされる機会とも考えられ、残す事はできないものの、東京のように刷新していくという点では都合のよいものなのでしょうか。
最近麻布台ヒルズがオープンされ、ベトナム発のピザ屋(確か日本人が経営)も入っており華やかな建物が多くの人を魅了する一方で、再開発という名の元に古いものは刷新されるという事も両側面あるものだなと感じます。
建築は歴史文化や経済を表すものだと思うので近所の散歩であったり、旅行時には少し注目して見てみたいと思える本でした。
📚 Relating Books | 関連本・Web
- https://amzn.to/3Nw33OW 建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ 単行本 – 2006/4/1 大田 省一 (著), 増田 彰久 (写真)
- https://amzn.to/4apE6yq ヴェトナム現代政治 単行本 – 2002/2/1 坪井 善明 (著)
- https://amzn.to/470yJ66 増補新装版 ベトナムの世界史: 中華世界から東南アジア世界へ (UPコレクション) 単行本 – 2015/9/12 古田 元夫 (著)