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習慣の力 | チャールズ デュヒッグ (著), Charles Duhigg (その他), 渡会 圭子 (翻訳) | 2024年書評72

習慣の本の代表作といえばということでチャールズ・デュヒッグの習慣の力を読みました。物語はリサという人物の人生の好転の話から始まります。そのきっかけとなった行動が禁煙でした。たばこを辞めるという習慣により他の習慣も好転していき、ジョギングを始め健康になり、睡眠の質も上がる。

ウィリアムジェームズは「私たちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない」と書いています。毎日行っている選択は意思決定だと思っているものの、習慣であると。毎日の行動の40%は習慣でありその場で決定したものではなく、そしてさらには健康や効率、経済的安定、幸福感に大きな影響を与えます。

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📒 Summary + Notes | まとめノート

習慣とは

ラットにT字路のどちらかにチョコレート(報酬)が置いてある道にて最初の2、3回はにおいを必死にかぎ、右にいったり左にいったりしながら脳の基底核が活発になり情報を整理していました。

しかし、実験を何度も行うことによりラットは次第ににおいを嗅ぐのをやめ方向を間違えることもなくなり脳の活動を使わず報酬までたどり着けるようになっていきます。意思決定や記憶に関わる脳の機能は次第に低下していき、まさに習慣だけで行動していくようになっていきました。

この時、ラットに起こっていたプロセスは3段階のループです。

  1. きっかけ
  2. ルーチン
  3. 報酬

時間がたつにつれてこれは無意識的なものになっていきます。習慣ができると脳が意思決定をすることなく体が動くようになります。このループが習慣です。

マクドナルドなどのチェーン店は顧客が注文しやすいように店舗間の同質化・標準化を行いルーチンにつながるようにしています。

習慣を活用した事例

経済活動でも習慣をハックしヒットを生み出した製品が多くあります。

広告のプロ、クロード・ホプキンスは消費者の間にいかに新しい習慣を作り出せるのか、という視点を広告の世界に持ち込みました。石鹸やシリアルで新しい習慣を作りヒットを生み出したホプキンスは歯磨きという習慣づくりも作り上げました。

ホプキンスが最初に目をつけたのは彼が歯に常時ついている濁った膜を感じさせることでした。これは歯磨きやうがいをしたら一時的になくなるもののすぐに元通りになり、当時の歯科医も含め膜を剥がすことには何の意味もないと指摘されていました。

「歯を舌で触ってみてください」ということで消費者に問いかけ、それをペプソデント(すっきりした感覚を与えるもの)を含んだ歯磨き粉を使うことを促します。ペプソデントは膜を剥がす行為には何も関係がないものの、それは報酬として働きました。

きっかけ:舌で歯を触る

ルーチン:歯磨き

報酬:美しい歯

(ひりひりした爽快感)

という習慣を作りあげました。当時歯磨きの習慣は少なかったのですが、ペプソデントにより歯磨きは習慣になりました。

ファブリーズも同様に習慣の力を利用したマーケティングをしました。元々は悪臭のするペットが居る家庭に売り込もうということで使用調査をしていましたが、商品提供した人々は、そもそもペットのにおいを悪臭と認識していることもなく棚に眠る状態になっていました。

そこで、使用している人たちを調査したところ別に使用をしていることが分かります。よく利用している人たちは掃除して、シーツをぴんと伸ばしたあとにファブリーズをスプレーしていました。ファブリーズを利用したあとにリラックスできる空間になったこをと喜んでいました。ファブリーズは消臭する効果のみでしたが、これにより香料をつけて特徴的な香りをもたせるようにしました。

きっかけ:掃除

ルーチン:スプレー

報酬:良い香り

悪習慣対策

習慣の3ステップが理解できたら、悪習慣に対応することもできるでしょう。ルーチンの部分を変えるために何がきっかけ、報酬となっているかを理解してルーチンを変えるためにきっかけが起きた時にどのように対処すれば良いのか見つけていきます。

NFLのコーチ、ダンジーは習慣に目をつけ選手が決まったプレーをすることの重要性を考えました。しかし、ここ一番の場面で選手はより良いプレーをなどというストレスによりルーチンが崩れてしまいました。

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禁煙の失敗や禁酒の失敗も同様に多くのケースでは習慣の失敗はストレスがかかった場面で起こります。

本書で言及されているのは、「信じる力」「集団の力」です。ダンジーは何度も選手にやってきたことを信じることを伝え成功しました。

習慣を変えたければ、①代わりのルーチンを見つけること②集団の力を借りること③信じることは必須、という内容でした。

悪習慣を打破するために、キーストーンハビットの理解も大事になります。キーストーンハビットとは、いろいろな習慣に連鎖して成功に導く重要な習慣のことです。小さな勝利を積み重ねることで連鎖的に好循環となります。

上述した、日々の習慣がストレスのかかる場面でうまくいかないと述べました。これは転換点と言うものであり、普段と異なる場面に直面すると集中力が途切れ自制心が失われてしまう場面です。

スターバックスではこのような転換点においても自制心を保てるようにロールプレイングするプログラムがあります。LATTEメソッドと呼ばれる方法をもとにロールプレイングを行いました。

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Listen to the customer:お客様の声に耳を傾ける

Acknowledge the problem/situation:彼らの不満を認める

Take action and solve the problem:問題解決のための行動をとる

Thank the customer:お客様に感謝する

Explain what you did:なぜその問題が起こったのか説明する

メモ

  • 信じる力はとても重要。信じようとする意思が変化を起こさせる
  • 習慣の力を活用すれば意思だけでなく半機械的に実行できる
  • 習慣による変化は自分で選んだものであると、選択した結果という認識が大事

習慣化ガイド

変化の枠組み

  1. ルーチンを特定する
  2. 報酬を変えてみる
  3. きっかけを見つける
    • 場所
    • 時間
    • 心理状態
    • 自分以外の人物
    • 直前の行動
  4. 計画を立てる

感想

日々の生活は小さな習慣で作り上げられており、その習慣の仕組みを3ステップで考えるという視点がとてもおもしろく、様々な習慣にまつわる事例もまとめられており面白い内容でした。

自分がしている行動の原動力を立ち止まって考えてみるという事は多くの人が実行できていない、過小評価していることに思います。うまくいっていない状況の時に何が起きていたのか、うまくいっている時に何が起きていたのか、転換点の共通性はあるのかどうか。

また、信じる力がベースラインと書かれている点はとても共感が持てます。英語を勉強し始めたときに感じていたことは英語なんて使える想像がついておらず、学生時代ずっと苦手科目の1つでした。大きな変化を与えてくれたのは新卒入社した会社でTOEIC満点や海外大卒者が実際に居たために、ロールモデルを見つけられ実際にできるんだという信じる力が持てたことでした。結果として英語には助けられ仕事で使用しつつTOEICも930点まで伸ばすことができました。(満点取れないというのはがっかりしていますが‥)

勉強や読書で気分が乗らない時に支えられているのは集団の力です。図書館やカフェに行って頑張っている人を見つけることで読書も年間100冊ほど読める習慣にできつつあります。

日々の生活から変えたい習慣を見つけ出し(部屋を綺麗にする、中国語を勉強する、旅行をするなど)見直していくことで、本書に書いてあるような人生を好転させるということを些細なことから始めようと思います。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/4cuwn1W 広告でいちばん大切なこと 単行本 – 2006/11/1 クロード C.ホプキンス (著), 伊東 奈美子 (翻訳)
  2. https://aajapan.org/12steps/ AA12のステップ
  3. https://amzn.to/4fOjhja 人生を導く5つの目的 増補改訂版: 自分らしく生きるための42章 単行本 – 2015/12/1 リック ウォレン (著), Rick Warren (原名), 尾山 清仁 (翻訳), 小坂 直人 (翻訳)