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マクロ金融危機入門:なぜバブルは繰り返すのか | マーカス・K・ブルネルマイヤー (著), リカルド・レイス (著), 栗林寛幸 (翻訳), 小谷野俊夫 (翻訳), 青木浩介 (解説) | 2025年書評2

マクロ金融危機についての事例を危機の前段階、破綻時(引き金と増幅装置)、政策と回復の3段階についてそれぞれ実際に起きた事例を例に何が起きていたのかを振り返る本になります。

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あまり著者について詳しくないのですが、前著レジリエンスな社会から推測するには危機とそれからの立ち直りについて題材にした研究をしている方に思いました。

In his book, The Resilient Society, Brunnermeier conceptualizes the notion of 'Resilience'. He argues that rather than simply avoiding risks (and therefore opportunities), the key is to distinguish between risk from which one can bounce back and risk that can trigger an adverse feedback loop. Across various policy areas, he describes how societies should be set up to increase societal resilience, which differs from individual resilience and resilience of a system

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📒 Summary + Notes | まとめノート

危機の前段階

バブルが起きる際にはケインズ美人投票理論が紹介されております。バブル開始時にはファンダメンタルな価値よりも高い価値で取引が行われるようになり、洗練された投資家集団はバブル開始から20期間移行には抜けており3分の1が高値で売り抜け3分の2は損を出します。

他にも日本のバブル、2000年のインターネットバブル、ポルトガルの経済低迷、チリの破綻などが紹介されています。

引き金と増幅装置

引き金の章では銀行の関わりが紹介されています。(金融システムのシステミック・リスクを自己生成)

紹介されているのは2000年代のアイルランド銀行、銀行のバランスシートのストレステストを公開で実施して銀行の貸出削減に追い込まれないかを各銀行に周知させました。欧州では限定的な効果でしたがこれは米国では効果的でした。

1931年のドイツ銀行の破綻、ギリシャ国債危機、では流動性債務超過の難しさの例に挙げられています。

次にはソブリン債がもたらす負のループについて、実体経済がマイナス成長で税収が減る際の銀行債務リスクのループが紹介されています。

政策と回復

回復については為替レートによる回復の考えをメキシコのテキーラ危機を例に紹介しています。これはペソのドルペッグを切り離したことにより米ドル建てメキシコ債の返済が難しくなり経済も悪化、ペソ価格も下落。(理解不確かかもしれないので注意ください*)

伝統的金融政策について紹介は中央銀行の役割インフレ率を目標値へ近づけること、失業率の抑制が紹介されています。1988年移行の日本インフレ率上昇を目指した量的緩和が例として挙げられており

感想

マクロ金融危機の事例を紹介しながらそれぞれの関わり合いとバブルの発生や方向、そこからの回復についての紹介本でした。あまりこれらの分野に明るくないために理解は良くなく、とりあえず読み進めるというような形になってしまいもう少し理解しながら読めるようになりたいなと感じます。

著者が言うレジリエンス(回復力)という視点でいうと年々政府含め金融機関が学んできた事により回復力が上がっているような印象があります。コロナ危機での政府や金融機関の対応は大きな不況を防いだと個人的には感じていました。

シリコンバレーバンクの破綻などについても政府が預金の保証を伝えたりと一つ一つの危機パターンに対して対応力が上がりレジリエンスも上がってきているように思っており、より金融市場に資産をおいておくリスクは下がっている気がするというのが個人的な見解です。

最初にあげたYoutubeの著者による公演での結論はこちらです。

ChatGPT要約:

主なポイント

  1. 金融の回復力(Financial Resilience)の重要性
    • マクロ経済において、金融の回復力が最優先であること。
    • バブル対策:「Lean(事前に対処)」 vs. 「Clean(事後に対応)」。
  2. 回復力管理(Resilience Management)の必要性
    • 単なるリスク管理にとどまらず、回復力の管理が求められる。
  3. トラップや転換点の影響
    • 非線形性(non-linearities)によるトラップや回復力を損なう要因の検討。
  4. 安全資産(Safe Assets)とその役割
    • 個人(ポートフォリオ調整)とマクロ(バブルや過剰特権)への影響を考慮した分析。
    • 回復力のある財政政策と引き換えに地位を失うリスク。
  5. 金融セクターの影響
    • 金融セクターにおける回復力の波及(Co-Resilience)がマクロ経済に影響を及ぼす。
  6. 政策の役割
    • 金融政策、規制や救済措置(Bailout)、財政政策が回復力を支える。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/41RAeEI レジリエントな社会 危機から立ち直る力 単行本 – 2022/8/20 マーカス・K・ブルネルマイヤー (著), 立木勝 (翻訳), 山岡由美 (翻訳)
  2. https://amzn.to/40dvM1S 熱狂、恐慌、崩壊: 金融危機の歴史 単行本 – 2014/9/1 C.P.キンドルバーガー (著), R.Z.アリバー (著), 高遠 裕子 (翻訳)