ライフイズビューティフル

訪問記/書評/勉強日記(TOEIC930/IELTS6.0/HSK5級/Python)

全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦 | ジム クレイマー (著), 井手 正介 (翻訳), 吉川 絵美 (翻訳) | 2023年書評95

妙に高い値段がついているジム・クレイマーの本を図書館で見つけたため読んでみました。

www.youtube.com

ジム・クレイマーはアメリカで有名な投資コメンテーターであり、Mad MoneyやMad Dashが有名です。エンタメ要素も大きくかなり断定的なアドバイスもあるためとても人気な側面もあります。

www.cnbc.com

www.youtube.com

ジム・クレイマーのアドバイスに出た銘柄を分析したブログなどあったのですが結論ジム・クレイマーの助言銘柄とポジションを取っても特に良い事なさそうですよ、というまとめです。

medium.com

**Conclusion:**This study concludes that several stocks that Jim Cramer recommended buying went up, and several others that he recommended selling also went up. The period from 2016 to 2022 was a period of a general rise in the prices of shares listed on the American stock market, which generated positive returns for those who bought shares of good companies.

Analyzing the boxplots provided information that Jim Cramer doesn’t seem to be any more assertive than other people on average, and some of his selling recommendations ended in poor results for people who have followed them in the long term, as well as some buying recommendations that also generated losses in the short term.

In conclusion, the results suggest that Jim Cramer’s opinions regarding any given stock should not be considered the most important decision-making factor for buying or selling any stock on the stock market.

ということでこれらの事前情報を前提に読んでいく事が良いのかなと思いますが、書いてある事は基本的な株式投資のスタンスやセオリー、マインドセットなど書かれている部分は参考になる事が多いのではないでしょうか。

特に景気サイクルの表現は現代でも色々な所で見かけるもので、FRB金利政策を中学生教員にたとえ調子の良すぎる時は減速させる、調子の悪いときには刺激策を講じるなどの中央銀行の政策を理解しながら投資を行う事の重要性も紹介されています。

引用:https://seekingalpha.com/article/195092-were-still-early-in-the-energy-cycle

「バイ・アンド・ホームワーク」という表現などしっかり勉強が必要だよ、という事が何度も書かれていた所も好感が持てる部分でした。

📒 Summary + Notes | まとめノート

株価の考え

本書で度々書かれているのが、M ✕ E = P という式です。

M:株価収益率(PER)

E:一株あたり利益 (EPS)

P:一株あたり株価

株価が上がるためには、①PERが上がるか、②EPSが上がるかになり様々な出来事がこの2点にどう関わってくるかを先読みすることが株価の予測に繋がります。

PERに関しては、わかりやすく言うと期待部分です。成長が大きく見込まれている銘柄に関してはPERが高くなりますが、成長率が低くなるとPERは低くなり株価も結果期待部分が削がれていきます。

一方で、EPSは将来の成長性を考える上で一番最初にグラフにすべき部分とジム・クレイマーは言います。

foxorz.com

この部分は株式投資の基本なので株式投資を行う上で理解しておきたいと思います。

バイ・アンド・ホームワーク

印象的であったのは、若い頃に投資をする場合はある程度投機的なリスクの取り方をしても良いという点です。一方で老後などの生活費は失敗ができないために債権などのリスク許容度を制限した投資の仕方がおすすめされます。

「バイ・アンド・ホームワーク」と言うように買った銘柄についてしっかり勉強する事をジム・クレイマーは要求しれいます。そういった勉強ができないのであればインデックス投資をしている方が良く、例えば1週間につき1時間程度は少なくとも時間を費やすべきとしています。

勉強すべき内容については特別な事は無く、開示情報、カンファレンスコール、粗利益率、業界事の基準、成長率の速さ、などから割安・割高判断を随時確認する事が推奨です。

上述した景気サイクルの図ですが、成長株と言われる銘柄はこちらの景気循環を耐え凌ぐ力があるものがあります。本書の執筆タイミングのヤフー、イーベイ、アマゾン、などが該当のもので、金利水準がどうであれ自力で成長する力を持っているもので景気循環に大きな影響を受けにくいです。

買う理由の説明をできるのかどうか?という点も参考になります。

  1. この銘柄の株価が上昇すると期待できる理由は何か
  2. あなたが株価が上昇すると考えるタイミングでなぜ上昇すると言えるのか
  3. 今がベストな書い時と言えるか
  4. もうすでに遅すぎるのではないか
  5. もう少し株価が下がるのを待って買うべきではないか
  6. この銘柄に関してあなただけが知っていることはあるか
  7. あなただけが持っている有利な要素は何か
  8. 保有している他のすべての銘柄よりも魅力的と思うか、またそれはなぜか

この理由を考える時に自力がやり遂げるべきであるという事も重要です。どういった情報を見て自分がそう思うのか?そして他の人達は同じように考えているのか?違うように考えているのであれば何故か?というように自分の思考の精度を高められるように訓練していく必要があると思います。

感想

M ✕ E = P にて株価の上がる要因を考えるという点はとれも分かりやすくPERは美人投票的な要素、EPSに関しては実力ベースの話を加味してこれらが株価にプラスに作用する方向に移動すると予測できる理由探しをしにいくというのは良いガイドラインである気がします。

M:株価収益率(PER)、オッズのようなもの

E:一株あたり利益 (EPS)

P:一株あたり株価

感覚的にできる人も居るとおもうのですが、PERの上昇余地とEPSの上昇余地に割り戻して考えられると感覚的なものから具体的な考え方の道筋を立てられるように思います。

景気循環はマクロ的な視点でトレンドセクターを念頭に入れられる点は非常に有効で、インデックス投資から一歩踏み込んで投資を行いたい人にとっては頭の片隅にあると良い材料になると思います。ただ、時代によっても変化していくのと、日本のように低水準の金利下でも中々株価が上がらないような不思議の国もあるので、基本の考え方にプラスしてその時々のケースから理由探しをしないといけないのは難しい所だと思います。

本書を見ていて感じたのは、投資の段階として、生活費意外の現金余剰分ができてきてから、①(現金預金が十分にあるので)何か投資を始めてみよう→②インデックス投資米国株→③ETFや個別株→④債権、コモディティなど→⑤ショートやオプショントレードなど手法の多様化、のようにある中での②から③へ以降するフェーズぐらいでの参考になる本になると思います。

個別株投資でのプレーヤーやその思惑、特にヘッジファンド経験に基づいた彼らの制限やストレスなど紹介されている部分は短期トレードに関して大いに参考になるものがあります。

一方、①、②などのフェーズの人たちには他にいい本があるのでこの本の市場価値がかなり上がっている事に関しては不思議に思います。英語版は定価で存在するので、日本市場での歪んだ価格設定がされているものがある時に英語で読み物をこなせるというのは便利な技能であるなと感じました。

 

 

番外編

個別株への投資向いている人はコツコツと方向性良く勉強できる人なのでしょうか。

note.com

note.com

 

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://amzn.to/3ZVyFCU 欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア 単行本 – 1999/4/1 エドウィン ルフェーブル (著), Edwin Lef`evre (原名), 林 康史 (翻訳)
  2. https://amzn.asia/d/gOKULgD 勝ち馬を探せ!!―馬の絶対能力を数値化した、スピードインデックスによる競馬必勝法。 単行本 – 1990/4/1 アンドリュー・ベイヤー (著), 山本 尊 (翻訳)