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金子文子と朴烈 | イ・ジェフン (監督) | 2024年映像・映画評#1

ブレイディみかこさんの両手にトカレフを読んだのを機に金子文子さんの映画を見ました。

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金子文子と朴烈 [DVD]
ストーリー

金子文子というアナーキスト関東大震災時に同居関係のパクヨルら朝鮮人たちが混乱を乗じて朝鮮人が放火や犯罪をしているという疑いをかけられて自警団に虐殺される対象とされました。

金子文子とパクヨルは多く捕まえられた朝鮮人の一部であり、刑務所までにも自警団が殺害に来るという狂気を体験します。

 

捕まった二人は裁判にかけられますが、関東大震災をきっかけとした虐殺を公にすることでこの実情を世界に広める事になりました。

当時の日本での朝鮮人への迫害や差別が色濃く書かれており、裁判の死刑判決も天皇命令で変更されるなど国際情勢を鑑みた判断がされるなど様々な問題が見受けられます。

 

その中で金子文子は獄中で執筆活動をしてこの事実を記して残そうとすることや、一部の作家などからは面会で応援されこの事実に対して異を唱える日本人の様子も描写されていました。

 

金子文子自身は獄中で自殺されたとされており、国家権力と天皇に対しての抵抗活動は最後まで行われました。パクヨルは断食し獄中内で死ぬことを試みます。

 

感想

韓国人の映画監督による作品で、韓国では人気になったようです。金子文子の東京に来るまでの背景は触れられていないですが、日本でどのように朝鮮人が迫害されてきたのか、時には虐殺されたのかと描かれています。

引用:

『金子文子と朴烈』イ・ジュンイク監督 | 一般社団法人 「北朝鮮帰国者」の記憶を記録する会

bunshun.jp

日本での朝鮮人差別の背景はその背景や日本という単一国家民族性から想像に易いものですし、実際に今や数十年前でも実体験として記憶にあるものである一方で、中々語られるものでなかったために興味深く見ました。

パッチギなども記憶にある日本での朝鮮人を描いた作品です。

 

哀しいかな日本人の外国人への苦手意識や偏向視点など今でも多く残っていますが、現代は幸運にも世界中へ移動することが簡単になったためにマイルドになってきていると思います。

これからきっとこういった感覚は薄れていって欲しいという希望とともに、過去に起こっていたと思われる事実をどこかに記録して後の世代に伝わって欲しいと思います。