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一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 | cis的投資のススメ | 2020年書評#13

はじめに

2017年の仮想通貨バブルで日に日に金融商品の価値が変動することや、

2020年のコロナパンデミックによりマスクの値段が急騰することなどを見ていたら、

ものの値段は需要により変動するのが当たり前なのだなあと感じます。

会社員であれば確定拠出年金をやっている方も多いかもしれないのですが、

投資の入り口程度に1年ほど見ていると、ある時はREIT銘柄が好調であったり、ある時はコモディティの金銘柄が上がったり、米国株関係銘柄が相変わらずの右肩上がりであるのを見ていました。

このように需要の波(価格変動)により資産を移し替えていけばもう少し資産も増えるのでは無いかと思い投資に興味を持ち始めました。

cisさんについて

過去フラッシュ・ボーイズに見られるフロントランニングのことを知ってみると、これほど壮絶な中で素人が利益を上げるのは難しいのかなという思いでした。

ohtanao.hatenablog.com

cisさんを知ったのはビットコインバブル期のTwitterでした。 

個人でもこれだけ稼げるのかと思い驚いたのを覚えています。 

そのcisさんが本を出されていたので今回はそれを読んでみました。

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

  • 作者:cis
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: 単行本
 

cis的投資哲学

本書の中でも語られているのですが、cisさんはゲーミフィケーションの達人的なところがあります。 

物事をうまく、効率的にやることを考え、さらにその場が技術的な要素だけでなくギャンブル的な要素が含まれる場でこそ注力します。

  • 上がっているうちは持ち続ける(上昇局面でのロング)
  • 損切りが一番大切。ナンピンしない。
  • 押し目買いなど割安な時に買うのは下げのリスクがつきまとうのでしない
  • 株に関して何勝何敗という考えはない
  • 人間の感情が大きく揺さぶられるときは大きく設けるチャンス
  • リスクヘッジは益を薄める 

過去の相場事例から学ぶ

長年相場にいると大きく設けるチャンスがいくらか出てくる。

ジェイコム株の誤発注により大きな儲けを得たBNFさんの話であったり、日経平均採用による株価変動。

こういった場面で冷静な取引をするためには、相場の仮設を立て考えておくことがとても重要なようだ。

cisさんもジェイコム株の誤発注により即座に判断が必要な場面で、誤発注の可能性を確認し取引を行った投資家の一人である。

そのためには相場の歴史を知り、法則を掴むことが大切で、メディアに掲載されるほど知り尽くされたものに旨味はもうなくなっている。

情報収集は2チャンネルなどリアルタイム性の高いものが多いようでテレビや雑誌などは信じていないそうです。

相場を注視しているとインサイダーの雰囲気や、仕立て株など見極めがつくようになってくるそうで、また細かいイベント(トランプ大統領選出やイギリスのEU離脱など)の人の感情が動く場面では先頭の市場である日本で売られすぎる傾向があるため、逆張りをすることが多いそうだ。

また大口の投資家たちの資金流入には可能な限り乗っかることで利益を狙っている。

投資は効率が大事

長期投資は有名投資家でも非常に当てづらい。専門家でも50%程度の精度だというのでほとんど素人と同じようなものです。配当狙いなどの長期保有は予測精度が落ちるため短期の取引が基本のようです。

資金がある程度増えてくると、自身の売り買いが相場の流れに影響を与える。また儲かりそうな相場に資金をつぎ込むのが良いため、株、ビットコインを含めオールラウンダーになる必要がある。

不動産投資は事務作業が多く罰ゲームのようで、年金投資は報酬目当てのヘッジファンドが手抜き運用をできる可能性があるので好まないそうです。

cis的育ち方

駄菓子屋のあたりに関して期待値を計算し、中3でパチンコをはじめ20歳までに2000万円の資金があったそうだ。麻雀と出会ってからは新しい勝ち方を色んな人から学びカメレオンのように変化した。勝負に勝つことよりも納得できる戦略で勝負できることを大事にする。

最初に投資を始めたときは1000万ほど溶かしたそうだ。

神がかっている今現在から振り返っても、うまいトレーダーでも勝つか負けるかは紙一重で、市場金利、経済成長率、国債金利、インフレ率などの経済指標で勝手に上がるような分以上に勝てる投資はたまたまでしかない、との哲学である。

1000万ほど溶かしたあとの転機となったのは2chの飲み会で、ここでuoaやすくる〜じとびびりおんなどの有名個人投資家と出会ったこと。

このとき、勝っている人ほど、短期の値動き、かつチャート、指数組入れなどの理由がある株を買っており、「今ある優位性」に張っていた。重要な情報ほど口コミで聞いていた。

その後6000万まで資産が増えたところで、中国出張時の取引制限などから会社員を辞めた。

これから株を始めるなら

さて、それでは投資を始めるならどうすれば良いのでしょうか。

経済は相対的なものなので基本的にはゼロサム・ゲームです。富の総量が増えておりゼロサムゲームではないのでは?と思っていても、そういった時はお金の価値が落ちています。そう考えると、投資をせず資金を貯蓄しているのは自動的に目減りしていることになってしまいます。

一方、現代は様々な取引環境が整っているので個人でも億り人になれる可能性が増えてきました。

人々が恐怖を感じる時ほど、大手の会社は資金が無くなるリスクを避けるために大損を回避しようとします。チャイナ・ショックのように日経が大幅に売られた時に冷静に買い転じることで儲けを出したと言います。

市場での最大のリスクは倒産や株が上場廃止になること。

投資は早い人はいつでも早く、遅い人はいつでも遅い。ジェイコム株誤発注の際に発注できるような早い行動がとても大事である。

情報を集めるのが苦手な人は、不況時の赤字会社などの長期投資が狙い目だそうだ。景気は循環するので好況時の買いは注意が必要です。

仮想通貨バブルのときのように本質的な価値は変わらないのに空気だけでガクッと値動きする時もチャンス。

相場の世界には努力とリターンのスパイラルというものが存在し、基本的には勉強した人が勝つ。勝つと気分が良くなるからさらに勉強する。

資本主義は人類最大のゲームではないかとcisさんは言います。

さいごに

投資を始めたいと考えている人にとってとても良い本であったと思う。

というのも、勝ち負けの体験が両方書いてあり、勝ち方について仮設の大切さや相場の波について儲けが出やすいタイミングで勝負することの大切さが書いてる。

長期での投資を好む人にはcisさんのスタイルは合わないかもしれないし、リスクを取りたく無い人(本当はリスクをとっていないことがリスクかもしれないが…)、ゲーム的に相場のことを語る部分を好まない人がいるかも知れない。

ただし、書いてあることは相場の残酷な真実だと思う。

資本主義というゼロサム・ゲームの中で利益を上げるためのヒントが散りばめられており空気感を掴むのにとても良い本でした。