ライフイズビューティフル

訪問記/書評/勉強日記(TOEIC930/IELTS6.0/HSK5級/Python)

敗者のゲーム (日本経済新聞出版) | チャールズ・エリス (著), 鹿毛雄二 (翻訳), 鹿毛房子 (翻訳) | 2022年書評#39

インデックス投資が好きな方であれば誰もが読んでるであろう本である敗者のゲームを読みました。

 

www.youtube.com

 

敗者のゲーム

本書のタイトルにもある敗者のゲームとは何なのでしょうか?

勝者のゲームとは勝者のウイニングショットにより勝負が決まるが、敗者のゲームとは敗者のミスによって勝負が決まるものです。

テニスで例えると、プロの試合は得点を勝ち取るのに対してアマチュアの試合はミスにより点を失います。戦争も同じ側面があり、戦略上のミスを最小にする側が勝つものです。

資産運用も多くの場合、ミスを最小にし損失を少なくする敗者のゲームとなってきています。旨味のある投資機会はごくわずかです。

アメリカの投資会社の多くの運用結果と市場平均との比較を見てみると、驚くことに多くの運用機関が市場平均に対して負けていることが多くあります。プロのアクティブマネージャーが市場平均を越えようと多くの売買を重ねてもこのような結果です。

そんな条件下でも勝ちたい場合はアクティブな運用機関は次の4つを満足しないといけません。

  1. 市場タイミングの選定
  2. 個別銘柄または特定グループの選定
  3. ポートフォリオの構成ないし戦略の変更
  4. 洞察力に富んだ長期的な投資コンセプトもしくは投資哲学

市場タイミングの選定の難しさに対してフィッシャーブラックは「投資家が市場から撤退した時も参加した時も、市場の方は平均すれば同じように順調に上昇している。」と言い一時撤退することにより上昇を逃すリスクを問います。さらに上昇をするベストの100日は全体の中でも3%程度でありこのベストの100日に株式を保有していることはとても難しいことになります。

時間が教える投資の魅力

投資にとって時間というものは大きな力を持ちます。

一年の保有では株式の変動範囲は大きく-40〜50%程度と大きくなりますが、5年、10年と保有することで次第に-の変動範囲が少なくなり、25年平均ではプラスの変動範囲へと収束しています。

アインシュタインも解いたように人間の最大の発見は「複利の考え方」と言われる所以はここにあります。

長期投資にあたり、最も大切なことは巨額のロスを避けることですが、人間心理として投資の際に株価が上がっている時に買いたくなり、下がっている時に買いたくなくなる、というようなことが起きます。ジェーソンツヴァイはソックスを買う時のように株式(ストック)を買えばうまくいくというよう言っています。

また、アクティブファンドでの運用結果を見るときに注意しなければいけないこととしては市場が上向きであったから、または同じセクターや中小型株市場などファンドの取引区分と比較してみると、市場平均と比べて連続して勝てているケースは多くないです。

個人投資家への助言

投資家は資産運用ゲームに参加する限り、現在及び将来の損失を覚悟しておかなければならないです。本書では長期的な利益のために避けられない真実をして受け止め、参加料として一時的な損失を受け止めるべきであるといいます。

個人投資家へとって最も大きい敵は何でしょうか?それはインフレです。

年率5%のインフレが続けば15年間で購買力は半減します。

これはまさしく2022年の世の中で起きていることで金融緩和の結果起こったインフレを抑えようと金利を上げ続けています。(日本を除く)インフレが続けば現金の価値が下がり続けるために、引退後の現金収入が無い人たちにとっては所有資産が目減りしていくことになるでしょう。

親身な助言10ヵ条

  1. プロを使うこと
  2. 人生の長期目標、長期資産運用計画、不動産所得計画などを文書にすること
  3. 長期運用計画がうまくいかなかった時に(株価が急落したとき)まずうつては2倍まで買いますこと
  4. 運用と投資家について勉強を続けること
  5. 貯蓄を続けること
  6. お金は全ての人にとって強い、異なったシンボリックな意味を持つこと
  7. 専門家にどの株が良いか聞かない
  8. 自分自身の判断が運用の長期的成功のために最も重要なこと
  9. ウォーレンバフェットのアニュアルレポートを読むこと
  10. インフレに気をつけること

感想

インデックス投資の優位性を語るほんとしては最も有名な本の一つであろう本書ですが、かなり昔(1999年)の本ではありますが今見ても重要であろうポイントが多く勉強になりました。

日本のアクティブファンドを見ていても、SP500と比べて続けて利益を出しているところなんておそらく無いように思いますし、これだけ手数料が少ないインデックスができるのであれば、多くの人にとっての投資選択はインデックス投資で良いように感じます。

本書の後半では個人個人がどれだけリスクを許容しながらリターンを欲しいかということを考えるために、5つの未知数を考慮に入れて計画をするべきとあり、次の5つの要素をライフイベントごとに整理することも大切だなと思いました。

  1. 運用利回り
  2. インフレ率
  3. 必要支出額
  4. 税金
  5. 運用期間

特に若い年代であれば、株式メインの資産運用でいいように思いますが、現在のようにインフレ率を意識して、インデックス投資への入金額を増減させたりするような辺りがスタート地点ではないでしょうか。

📚 Relating Books | 関連本・Web

  1. https://www.trendfollowing.com/whitepaper/the_losers_game.pdf 敗者のゲーム論文
  2. https://www.researchgate.net/publication/336511908_Challenge_to_Judgement challenge to judgment 判断への挑戦
  3. https://amzn.to/3T8ybo7 The Investor's Anthology: Original Ideas from the Industry's Greatest Minds (Wiley Investment Series) ハードカバー – 1997/2/27 英語版 Charles D. Ellis (著), James R. Vertin (著)
  4. https://amzn.to/3Ev6IZB Classics II: Another Investor's Anthology ハードカバー – 1991/7/1 英語版 Charles D. Ellis (編集), James R. Vertin (編集)
  5. https://www.berkshirehathaway.com/reports.html バークシャーハサウェイアニュアルレポート