戦場のメリークリスマスに引き続き坂本龍一さんが出演されているラストエンペラーを観ました。
ストーリー
中国最後の皇帝として激動の世を過ごした愛新覚羅 溥儀をモチーフにした物語です。
今まで無知で知らなかったのですが、幼少の頃から皇帝となり、移り変わる世の中と切り離されて宮廷の中で過ごし辛亥革命などを通じて紫禁城から追い出されてしまいます。
その後日本が建国したとされる満州国の皇帝となり日本がある種利用して現地の人々の代表とする形で国の代表となったが日本軍が敗戦となるとソ連の侵略と受け捕虜となります。その後労働鍛錬を乗り越えた後に庭師となり一般人として生活するものの文化大革命の大変革が起きており紅衛兵と呼ばれる若者たちが年配者たちを制裁していくという世界を過ごしていきます。
Wikipediaにとても詳しく書いてあるのですが、これほど時代の流れに翻弄された人は中々居ないのではと思える境遇です。
映画版はこの物語をモチーフにしてフィクションの部分を加えながら創作されたようではありますが、中国政府との長年の交渉の後宮廷を一週間借り切って撮影を行った映像はとても壮観です。
当時中国では外国人との交流が制限されていたために、撮影スタッフは地元の人たちと話していると通報されてしまい現地の人は施設に連行されてしまうなどあった時代のようでした。
感想
小学生ぐらいの時にテレビで放映されていたものを数分観て物語の良さも何もわからずにつまらないなあと思い見るのを止めてしまったような記憶があった映画なのですが、坂本龍一さんの訃報や本を通じて観る事ができました。
小さい頃にこのような映画を観て美しさなどを理解できる人間であったならもう少し感受性豊かな未来があったのかななんて思います。
戦争や歴史の映画が多いのは未来から見るととてもありがたい事であり、生存者がどんどんと亡くなっていく中で薄れていく記憶をよりビビットに記録して作り上げてくれるという映画や本という存在の素晴らしさを実感します。書物や映像リッチな世の中になり、今では誰でも日常をスマホで記録できるなんて素晴らしいなと感じます。
音楽に疎いので音楽が素晴らしいなどと語れないのは自身の才能の無さから世界が美しく見えずに見逃してるものがあるのだなと残念に思います。インストゥルメンタルの音楽でシーン毎に感情を高めてくれるという点で言うと音楽が無ければスッと過ぎ去り印象に残らないものも多くあったので音楽は非常に印象を決める要素なのでしょうか。
本であったのは役者として参加するにしてもサッと現地に行きあまり役者として入り込めておらずある種お客さんのような感覚で居たので演技は未熟なものだったと言っていた割にかなり重要な役回りをされていたので役者や表現者というのは自分の満足感と周囲の評価はすごく繊細なバランスで一致するものでもないのだなあと感じます。
映画そのものの物語は戦争の中で地位を失ったり利用されたり、文化大革命では過去の地位からターゲットとされたりと変化に戸惑いながらも適応して生き抜いていく姿に驚きました。恥ずかしながらこのような人物が存在したという歴史を知らずに居ました。
もう少し映画や本を通じて歴史を知り旅行などでの楽しみを増やして行ければなと思います。