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とにかく仕組み化 ── 人の上に立ち続けるための思考法 | 安藤広大 (著) | 2024年書評16

識学の安藤さんが書く3部作シリーズの3冊目のとにかく仕組み化を読みました。こちらは組織のトップに立つような人向けの本になり、数値化、リーダーの仮面はプレイヤー、チームリーダーたちへ向けてかかれた本です。

組織において、大事なのは個人能力に依存してしまわない仕組み化作りが重要になります。社会の歯車という表現がされており、その人でないと駄目な仕事が良しとされる風潮や、マニュアル仕事が悪いという考えは増えておりますが、以前読んだキーエンスの本などでも分かるように良い企業であればあるほど、徹底的なマニュアル化や仕組み化が行われており、適宜修正しながら良い仕組みを徹底して行う環境が整えられています。

誰かがミスをしたり上手く行っていない時に、個人を責めてしまうのはよくあるものの見方です。個々に依存した属人化してしまう仕事を減らしていくことを意識しなければいけません。

📒 Summary + Notes | まとめノート

5つの考え方

前著2冊でもありますが、安藤さんは今回も5つの柱となる考え方をまず提示しています。

  1. 責任と権限を手に入れる
  2. 危機感を利用する
  3. 比較と平等に気をつける
  4. 企業理念を再確認する
  5. 進行感を感じる

さらに、大前提の2点注意する意識があります。

  • 性弱説を前提に考えたほうがよい
  • 組織は放っておくと属人化していく

今までの職場にて起こっていないかチェックリストもあります。

  • 頑張れを多用していないか?
  • 締め切りを設定しているか?
  • ここだけのルールを許していないか?
  • あなたの仕事を誰かが引き継ぎできるか?
  • 全員の納得を得ようとしていないか?

責任と権限

組織の中で何が起こった時に責任と権限が誰にあるのか?という理解が共通している事は重要になります。「それは部長が決めること」と全員が一致して言える状態にするために、文章として明確な権利の範囲の設定が重要です。

文章になっていない悪い責任には既得権益などが例としてあげられます。このような悪い権限を打破するためにも仕組み化が必要です。

ルール設定にあたり、決まりを私が判断するといえる事が大事です。

勘違いされてたり、混乱を招く風潮として「リーダーは部下に仕事を任せる」などあります。これは無責任と同様とも言えます。本来の任せるとは「何をしなければいけないのか」「そのために何をやっていいか」を提示した中の範囲で自由にやらせるということです。

危機感について

仕事において適切なフィードバックは良い危機感を与えます。間違ったことをしていたら適切に指摘しなければいけません。最近ではパワハラや優しくすることが人を思うこと、というように捉えられますが、悪いことを適切に指摘するという行為が本来の優しさです。

危機感から脱出する方法は努力することでしかありません。明文化されていないルールで罰を与えるなどはせずに、フィードバックでは正しい逃げ道を提示することが求められます。

危機感を持つ一つの方法に制限時間を設ける方法があります。(締切効果)また適度な距離感を保つことも重要な要素です。他にも適切な距離で見届けるようなピアプレッシャーなど、人の目があることで緊張感を保てる方法もあります。

利益について

今リスキリングやフリーランスなどがバズワードになっています。得られる利益について個人よりも組織の方が圧倒的に大きいはずなのに、個人で小さい利益を積み重ねる事が良しという風潮を冷静に見る必要があります。

成長という観点で言うと会社で言われたことをこなす方が大きな利益を得られ、成長も体験できるはずなのに逆の考えがトレンドになりつつあります。

また、組織で仕事をすると適度な恐怖感や緊張感を利用することで適度な負荷をかけた状態で仕事に望めます。

リーダーと部下のほうれんそうで一つ邪魔となるのは言い訳です。言い訳の余地の無い具体的な指示系統にすることが振り返りも適切にできます。

比較と平等

組織において比較されることは避けられず、平等な機会が与えられることが大事と前著でもありました。言ったもの勝ちのような状態を避けるためにしっかりとした明文化されたルール設定が重要です。

忘れてはいけないのは会社であるために、全体の利益を最重要項目とすることです。

負けることや、上手くいっていないことを明確にフィードバックすることで全体最適な進め方をしなければならないでしょう。

面白かったエピソードに、人事異動は属人化を防ぐ良い方法であるという指摘です。1つの業務しかしていない人は幅広い視点が薄れ、挑戦が少なくなります。また仲良くなりすぎて危機感も薄れます。誰が担当しても同じパフォーマンスを生み出せるような状態を作り出すこと、は良い組織とも言えるでしょう。

企業理念について

企業に属する上で、給与としての対価も大事ですが企業理念がはっきりとしているという事はいつでも自分の立ち位置を見直せるツールになります。

GAFAと呼ばれる企業群はかなり明確で覚えやすい理念を掲げています。

理念の共有をして組織の利益を目指す事で組織内で個人の利益よりも教え合うような全体での利益を目指すようにもなります。

企業理念を意識することの重要な点の一つに、自分の理念と一致しているかを常に確認できることもあります。企業理念に共感できない場合は、その組織から抜ける事をしないといけません。

企業理念の理解が一致していることで、判断基準をぶらさないこともできます。

進行感について

物事を成し遂げる時に一人よりも集団での方がより大きなことをできるのは想像に易いです。会社が理念に近づいていく進行感は個々のメンバーにとってそこに所属する理由にもなり得ます。

進行感を組織で感じられるという事は「成長」の実感とも言えます。育つという感覚を持つためにも組織で行う進行感に注目しましょう。

会社でよくあるのは「解像度の低いぐち」です。「田中さんがもっと指示して欲しい」のような愚痴はよく聞きますが、具体性も低く、ルールへの適合も分からないために評価もしようがないものです。

言い訳ができないように明確なルール化の土台となる理念の重要性は進行感を掴むための基礎となります。

感想

三冊のシリーズをとても興味深く読みました。難しい内容も無く納得感のある内容で、組織で働くひととして抑えておきたい内容です。

以前読んだ日本的な表現とアメリカ的な表現である受け手側に責任のある文化か伝えてに責任のある文化なのかという話を思い出します。

ohtanao.hatenablog.com

日本的な考えであると受け手だよりのコミュニケーションが一般的であるために、ざっくりと伝えて相手側に解釈を求めるアウトプットを求めるという事がありますが、識学のシリーズ本で再三あるのは具体性を持つことです。

逃げとして責任を曖昧にする習慣を徹底的になくすことの重要性が書かれています。

気になるのはこれらのコンサルがどのように必要とされて繁栄していくかということです。識学のビジネスの土台となるコンサル業で今後結果がどうなるのかとても注目したい所になります。