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リーダーの仮面 ── 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法 | 安藤広大 (著) | 2024年書評15

識学の安藤さんが書く3部作シリーズの2冊めリーダーの仮面を読みました。数値化の鬼はプレイヤーレベル、リーダーの仮面はリーダー、次のとにかく仕組み化はよりひとの上の立場の人たちへの本になるのですが、内容もわかりやすくかつポイントが的確なのでどれもとても面白い内容となっています。

リーダーの経験が無い人が部下ができ始めた時に、

  • 手取り足取り指導する人
  • 部下についてこさせようとする人

というような大きくわけて2つよくあるパターンですがこれらは否定されています。

タイトルのリーダーの仮面とありますが、リーダーは仕事で大事なことを遂行していくために、優先順位をつけて大事な5つのポイントに集中することを本書では仮面をかぶると表現しており、なぜ大事なのかということをまとめてくれています。

 

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📒 Summary + Notes | まとめノート

5つのポイント

日本の社会は古くから空気を読むことが徹底的教えられます。会社の良いリーダーというのは個人的な感情は横に置かざるを得ません。

ただし、感情を出すポイントもあります。感情は一度上がると下がるものです。仕事をする一番気持ちが高まる計画する時や人情的な会話をした時に感情を高めては長続きしない一方で、結果が出たときは最も感情を出して良いタイミングです。

モチベーションに左右されてしまわない組織づくりをするために感情に惑わされないポイントは5つ。

  1. ルール:言語化されたルール
  2. 位置:上下の立場によるコミュニケーション
  3. 利益:利益の有無で判断
  4. 結果:プロセスは評価せず結果
  5. 成長:目の前の成果ではなく未来の成長

安心して信号を渡らせる

小学校のとき夏休みの宿題で自由研究というものがありましたが、何でも自由にと言われると行動できないものです。一方である程度の絞られた指示があると迷わないようになります。

自由にやってよいはプレイヤーにとってとてもストレスになります。

仕事も同様でルールが無いとプレイヤーはストレスに感じます。また、ルールが無いことにより平等性が無くなります。仕事をしていく上で大事なのは、頑張った人が評価される平等性です。みんな同じようにという平等ではなく、一定のルールがありそこで結果を出した人が評価されるという差を受け入れる平等性が成長を生み出します。

ここで言うルールとはどんなものでしょうか。著者は誰でも守れるルール、「行動のルール」「姿勢のルール」と表現しております。

ルールは主語を具体的にしてルールの設定はリーダーが決めます。

「今週は田中さんが金曜日の掃除を昼休み後にする」などの明確なものであり、かつ守ろうと思えば守れるレベルのものしましょう。

ルールが無いと動きにくい、ルールがあることで一体感が得られチームとして感じられるようにし、上からの空気感を読んで伝言役になってしまわないように注意しましょう。

位置について

会社組織は立場によって見える景色が変わります。プレイヤーはより具体的な仕事、リーダーはより全体的な仕事を見ることになります。リーダーは長期的に考え未来を見据えた決断が必要とされます。

安藤さんのスタンスは上下関係は徹底することであり、変に対等を意識したための問題点を指摘します。

  • 決定権が上司にないこと
  • 責任の所在を曖昧にすること

うまくいかない部下が居るときの対処法はほうれんそうの頻度を上げること、それでもうまく行かないときはさらに頻度を上げる。

相談については注意が必要で、すべき相談は下記を迷ったときにします。

  • 部下の権限では決められないこと
  • 部下が自分で決めて良い範囲なのかどうか

現代社会ではパワハラと言う問題もあるため、これを淡々とやれるリーダーという役割が大切です。

利益について

今リスキリングやフリーランスなどがバズワードになっています。得られる利益について個人よりも組織の方が圧倒的に大きいはずなのに、個人で小さい利益を積み重ねる事が良しという風潮を冷静に見る必要があります。

成長という観点で言うと会社で言われたことをこなす方が大きな利益を得られ、成長も体験できるはずなのに逆の考えがトレンドになりつつあります。

また、組織で仕事をすると適度な恐怖感や緊張感を利用することで適度な負荷をかけた状態で仕事に望めます。

リーダーと部下のほうれんそうで一つ邪魔となるのは言い訳です。言い訳の余地の無い具体的な指示系統にすることが振り返りも適切にできます。

結果について

人は必ず評価される生き物です。他社と結びつけられた社会で生きる以上逃れられないものですが、他者評価を好ましく思わない風潮もあります。

仕事ができるということは評価者が求める成果を出していること。

関係が近いから評価されるという状況は避けなければいけません。

また会社という組織の結果を求めるために、顧客に寄り添い過ぎる対応も避ける必要があるときがあります。

評価判断が鈍るものには、「残業アピール」「いい返事」などです。頑張っているように見える、事実が伝わらない希望的な報告などは辞めるべきことでしょう。

結果が出ていないとき感情に惑わされない正確なフィードバックをすることもリーダーのしごとです。長期的な視点を見据えて、できていないことに対しては冷静に指摘し次の目標やKPI設定をして(考えさせて)いくことも必要でしょう。

成長について

組織活動となると、競争状態が生まれます。この良い競争状態は良い緊張感を生み出し成長の糧となります。

チーム内で結果を出し成長してく人が出てくると、周りも引き上げられていく。組織としてこの成長の場を全員に与えなければいけません。

リーダーが経験の無い仕事や、過去の経験が活きなくなった仕事がある場合は部下が先頭にたち経験を積み上げていく必要があります。

本書の中に何回か出てきますが、リーダーと部下は競争せず部下の中の誰かを先頭にいかせる事が必要になります。

経験の場を設けて実行させることで成長を積み重ねていきましょう。

感想

リーダーに関する本ということで読んでみました。

個人的に今まで感じた社会人生活での問題は以下のようなものです。

  • リーダーが煙に巻くことが多い
  • リーダーに責任感が乏しく、恐怖感だけが多い
  • ポイントを捉えていないことが多い
  • 指示ができていない(組織の規律が無い)、曖昧である
  • 評価が平等にできない、順番待ちのボーナス制度
  • 顧客立場を利用した短期的な視点しか無い注文に対応できない

日本社会の会社制度に感じる問題は

  • 数年レベルの短期的な部署異動:責任感の希薄化
  • リーダーの決裁権が乏しい
  • 評価が平等でない
  • 労働法によりサボる労働者の利益が大きい

など感じられます。

さらに、みんなそんなに成長を求めてないという印象もあります。最近思うのはバブルの頃死ぬまで働けますか?などのフレーズが流行ったのは結局対価があり、成長というよりも金銭的なリターンがはっきりしているからというようにも思います。

所得が低い国の人が遠い国に一人で行き家族のために仕送りをするのも結局は金銭的な対価がはっきりしているから、孤立した生活も耐えられるものです。

そこに成長という副次的な要素を原動力とできる人も居ると思いますが、成長ドリブンでいつ金銭的な対価があるかが分からない、みたいな状況は心と経済的な余裕のある人しか選択しにくいものでしょうか。

成長意欲のある人たちにとっては本書の内容はとてもおもしろく、組織運営の注意点に関して完結にまとめられているので読んでみて損は無いでしょう。