パレートの法則や勝者総取りの話などでよくあるように世界の富の大部分は少数のものが総取りしているというのは良く知られたことです。企業の利益の80%は20%の事業から来ているなど大枠のイメージを与えてくれる法則として80対20の法則は有名ですが、その提唱者でもあるリチャード・コッチの本を読んでみました。
最近ではTim Ferrissとのポッドキャストで対談をしています。
日本でいうとザ・自己啓発本というイメージで本の内容もまさにそのような感じなのですが、個人的に印象的だったメッセージは重要な事は20%の部分、つまり目につきにくい部分にあるということで、自分の価値観や時間の過ごし方、仕事などをその考えを元に見直してみましょう、という考えは興味深いものかなと思います。
投資についてまとめてある章があるのですが、その部分は基本的ですが、とても良いことが書いてあるので内容のリフレッシュとして良いものでした。
📒 Summary + Notes | まとめノート
80対20の法則
この法則の期限は1897年のイタリアの経済学者パレートが提唱した「パレートの法則」「最小努力の法則」「不均衡の法則」などと呼ばれているものです。
当時パレートが発見したのは、所得の資産のバランスであり、20%の人々に資産の80%が集中していることをまとめました。それは他の国にも当てはまりました。
ハーバードの心理学教授ジョージKジップは1949年に最小努力の法則を発見し、算出の80%がわずか20%の資源から生み出されるという不均衡をまとめました。
職場でも、社会でも、この法則がはたらいていることを理解することで自分の周囲で起きていることを理解できると言います。
投資に関わる80対20の法則
後にトマ・ピケティがまとめたように、本書でも資産を増やすなら働くより投資であるとしています。自分でつくったコンサルティング会社の株を売った資金でファイロファックスの株を購入し3年後に何倍もの価値となり最後は買値の18倍となった所で売却。
長期投資の場合、資産増加の80%以上が初期投資の20%未満から生み出されます。その20%の選択を誤らずにできる限り集中するのが成功の秘訣であり、1つの籠を慎重に選びその中に卵を入れるというのが成功の鍵と言います。
最高してい企業は、最小限の努力で最大限の収益を上げられる市場、黒字を出している分野に資源を集中させるということをしています。不均衡を見つけて資源の分配をしている事が重要です。
フォードの大成功のように単純化の美しさは企業にとってとても重要です。複雑化の見えないコストは企業にとって大きく、経営幹部は物事を複雑にして仕事を増やす事が多いので注意が必要です。(ブルシット・ジョブ的な考えですね)
フォンマンシュタインが語った言葉で将校には4つのタイプがあり、勤勉で無能な人間が厄介であり即座に除隊を命じなければならないという話は滑稽でありながらも共感の多い部分でした。
これ、フォンゼークト方式(史実の裏付けなし)といわれてるやつが今度はマンシュタインの名前を借りたのか。。。もっともらしい話なんだけど本当は誰が言ったのか誰もわからない pic.twitter.com/Q33cM0x0DX
— 木再え告 (@kokudou_4) 2023年12月21日
悪い関係は良い関係を駆逐する。悪い仕事を維持し続けると良い仕事も駆逐されるほど損失を与えます。核になるもの以外は外部委託する事も検討するべきでしょう。
コッチの十戒
- 自分の性格にあった投資方針を決める
- 目標を定め投資を集中する
- 株式を中心に投資する
- 長期的に投資する
- 底値で買う
- 市場平均を上回ることができなければ市場平均並みを狙う
- 自分の専門知識を活かせる分野に投資する
- 新興国市場に注目する
- 早めに損切りする
- 儲けを再投資する
習慣
幸福になる7つの習慣
- 運動する
- 頭の体操をする
- こころを刺激する
- 他人に親切にする
- 友人と楽しいひとときを過ごす
- 自分をもてなす
- 自分を祝福する
幸福になる中期的戦略
- 支配力を最大化する
- 達成可能な目標を立てる
- ものごとを柔軟に考える
- すばらしいパートナーをみつける
- 幸せに暮らしている友人をもつ
- 仕事上の強い味方をもつ
- 理想とするライフスタイルを目指す
何でも疑い、悲観的に考えるクセは捨てよう。楽観的な見方もそうだが、悲観的な見方をすると自ずとそれが現実になる。進歩に対する信頼を取り戻そう。‥‥進歩には、少数の人々が達成したものを理解し、誰にとっても最低限の標準になるように要求することが必要になる。
感想
自己啓発的な側面と、あまり科学的な書き方でなくメタな分析というよりも1つ1つの事象をピックしてくて80対20に適応する事例を並べていく形だったこともあり流し読みになった所が多くありました。全体的に言っている事は共感する部分が多く、80対20も都市伝説的なものと思いつつも結果論としてそれに当てはまる物事も多いので、きっとこの世界の法則としても適合度が高いと思います。
本書でも書かれているように実際に80対20の割合かどうかは重要ではなく、大事なことは意外と少数の部分にあるよという部分だと思います。生きていくうえでどうでも良い事が大半であると思います。自分自身もAbemやPIVOTなど見て有識者たちが議論するのを見たりしますが1年前の動画とか見返すと本当にどうでも良いことを一生懸命議論しているなと思ったりもします。
重要な20%の物事を見つけそこにフォーカスするという事、80%はどうでも良いことなので楽観的にそのどうでも良い事をしてしまっても良いと考え、時折振り返って修正していくこと、ということが大事なのではないでしょうか。
ついつい見てしまうYoutubeやスマホのどうでも良い時間を減らす訓練をしなければと強く思いました。
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